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PCの冷却とはなにか?

おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。12月も8日となり上旬から中旬へと移行する時期になりました。今日は御事納めということで、農家の方々が1年の農作業を終了する日となっているそうですが、イチゴ農家の方はむしろ来年4月まで続くいちごの旬を迎えますのでこれからが繁忙期という農家さんもいらっしゃるのではないでしょうか?白菜や大根も旬ですのでなかなか御事納めとは行かないのが現状ではないかと思います。

さて、前回のブログではゲーミングPCの中でもBTOパソコンと自作PCはどう違うのかについてお話させていただきました。BTOパソコンはPC専門店で選んだパーツを組み上げて1つのPC製品として販売しています。そのためPC1台に対して保証がついています(場合によってはつかなくなるため販売店に確認してください)。一方自作PCの場合は部品単位で個人が購入し個人で組み立てるPCであるため、PCそのものには保証がつきません。部品単位での保証はありますが、その部品が完全に初期不良や故障していることを証明できなければ保証されることはありません自作PCは基本的に自己責任です。しかし、ハードウェアに詳しくなれたりUEFI設定やOSインストールなど、普段できない経験ができるため知識やスキルを身につけるという意味では悪くない選択だと思います。

コンピュータの冷却とはなにか?

では、今回のお話であるコンピュータの冷却についてのお話をしていきたいと思います。まず、コンピュータに限らず家電は使用中は熱が発生しているということを皆さんはご存知かと思います。車もそうですがエネルギーは消費されることで動力となります。が、同時に熱も発生します。車であれば冷却が足りないとエンジンがオーバーヒートして動かなくなりますよね。家電やコンピュータも同じで熱が出すぎたりこもったりするとオーバーヒート状態になり、動作が重たくなるのはもちろんですが最悪動作しなくなります。コンピュータは特にCPUとGPUが熱を出しやすいです。家庭用ゲーム機にもCPUやグラフィックを担当する部品に対しては冷却用のクーラーが取り付けられているはずです。PCも同じでCPUとGPUにはそれぞれクーラーが取り付けられています。GPUのクーラーは購入時にグラフィックボードに取り付けられているので特にご自身でクーラーを取り付けるということはする必要はありません。きちんとメーカー側である程度の負荷をかけても高温にならないように設計されたクーラーがついています。この場合の高温とは約80度くらいを見ていただくといいでしょう。

GPUのクーラーはだいたい2~3個の空冷ファンが取り付けられています。空冷ファンの下には金属のヒートシンクと呼ばれるものがついています。GPUから出た熱はこのヒートシンクに移動します。そしてヒートシンクから放熱されていきます。ですが放熱が間に合わない場合があるためファンで送風して冷やします。2個のファンのものはファンそのものが大きいものが多いですね。3個の場合はファンは小さいですが数が1つ多い分冷却効率はいいですね。2個ファンのものは基本的に常時ファンが回っている状態を維持するタイプのものが多く、高負荷時(ゲームプレイ時や動画編集時など)はファンの音がうるさくなる可能性があります。3個ファンのものは常時ファンが回っているわけではなく、例えばウェブページの閲覧をしているとか、動画の再生を行っている程度ではヒートシンクだけで充分放熱ができるため、ファンは止まっている場合があります。高負荷時にファンが回りますが、2個ファンのものと比較するとそこまでうるさくはならないはずです(高負荷が長時間かかるとファンの回転数が上がってうるさいですが)。BTOパソコンの場合はユーザ側からは筐体を開けるまでは基本的にファンの数はわからないため、店員さんに聞くか部品の空箱を一緒に渡してくれるのであれば空箱をネットで検索してみてファンの個数をだいたい把握することができます。自作PCの場合は自身で組み立てるため、ファン数はご自身の好きな数のものを選択可能です。また、中にはファンが1つだけのショート基盤タイプのグラフィックボードもありますが、熱がこもりやすいため私はオススメしません。

CPUクーラーには2種類の冷やし方がある

GPUは基本的に空冷式のものがほとんどです。中には水冷式のものもありますがほぼ見かけることはないと思います。一方CPUの場合は空冷式と水冷式のCPUクーラーが存在しています。

空冷クーラーとは

GPUと同じく基本的にはCPUも空気を当てて冷やす空冷タイプが主流でした。現在でもグレードの低いCPUはリテールクーラーと言って、CPUを購入した際についてくるオマケの空冷クーラーがあります。AMD社の方リテールクーラーがついているものとないものがあります。空冷クーラーがCPUについているのであればそれをそのまま使用しても問題はありません。しかし他社(CPUメーカー以外)から出ているCPUクーラーのほうがより冷えやすい傾向があります。というのも他社はCPUクーラー開発専門チームがあるからですね。そして、リテールクーラーは比較的薄く小さいのに対して他社製の空冷クーラーは非常に大きく重たいです。そしてファンのつき方にも2パターンあり、クーラーのサイドにファンが付いているものとトップにファンが付いているものになります。リテールクーラーはトップにファンがついているトップフロー型と呼ばれるものになります。他社製空冷クーラーはサイドに付いている場合はサイドフロー型頭の方にファンがついているものはトップフロー型となります。

サイドフロートトップフローの違いとは?

ではそれぞれどういう違いがあるのでしょうか?まずリテールクーラーに関してですが先ほど申し上げたとおりCPUが入っている小箱に入るくらいの大きさのため非常に薄くて小さいです。そのため取り付けはしやすいですが冷却性能があまり良くなくファンもよく回転します。高負荷時は常に最大回転数でファンが回るためうるさく感じる場合があるかもしれません。また、すでにPC筐体内に発生している熱風をCPUクーラーに送風するためあまり冷却性能の向上は見込めません

では他社製のトップフロー型の空冷クーラーの場合はどうでしょうか?まず他社製の空冷クーラーはヒートシンク部分が非常に大きく、それだけでも熱を逃がす効果が充分に期待できます。しかしCPUの排熱はその性能を上回るだけのものを出します。特にゲームや動画編集時などはものすごく発熱しますね。その場合他社製のトップフロー型の空冷クーラーはあまり温まっていない比較的冷えた空気をヒートシンクやCPUとの接点部分、マザーボードや空冷クーラーに近いメインメモリにも風を当てることができるためCPU以外の部品も一部ですが冷却できるようになります。しかしPC筐体の側面に穴が空いていないいわゆる窒息タイプのPCケースの場合は外気を取り込むことができないため、結果として余り冷却できずファンの回転数が上がる可能性があります。トップフロー型の空冷クーラーを選ぶ場合はPCの筐体の側面に空気を取り込むための穴があるか確認したほうがいいでしょう。BTOパソコンの場合は可能であれば店員さんに確認を取るといいでしょう。

続いてサイドフロー型ですがこれはPC筐体前方から取り込んだ新鮮な冷えた空気をそのままCPUクーラーに当てることができます。CPUとの接点部分やマザーボード、メインメモリを冷やすことはできないものの窒息型のPC筐体でも充分冷却性能を出せます。また、サイドフロー型の場合はファンを最大3つまでつけることが可能なものもあり、前・中・後にファンを取り付けることで冷えた空気をヒートシンクに当て、その後排熱を帯びた空気を中や後のファンでPC筐体後部に送り、PC筐体後部についている排熱用のファンによってCPUの排熱を外に出すことができます。前から冷えた空気を取り込んで後ろから温まった空気を出すわけですね。トップフロー型の空冷クーラーの場合はファンが1個だけしかつけられませんが、サイドフロー型であれば複数つけることができます。また、トップフロー型の場合はファンの厚みの分だけヒートシンクの背が伸びてしまい、PC筐体に収まらない場合がありますがサイドフロー型であればそのような心配もありません。最近のPC筐体は窒息型のケースが多いため、サイドフロー型のCPUクーラーを選ぶ方は多いと思います。

水冷クーラーとは?

では続いて水冷クーラーについてお話します。水冷クーラーは簡易水冷と本格水冷に分かれますが、基本的には簡易水冷のお話になります。本格水冷は組み立てに失敗するとPC筐体内に水漏れが発生しますのでオススメはしません。

水冷クーラーはヒートシンクが存在しません。代わりに水枕があり、中にポンプが入っています。マザーボードなどから電源を取り、PCが起動するとポンプが動き始め水枕内の温まった水をチューブへ出します。チューブはラジエータにつながっています。またラジエータはファンを取り付けることができ、温まった水はラジエータ内を通りつつ筐体内の空気を当てることで冷却され、ラジエータにつながったもう1本のチューブへと入っていきます。チューブは水枕につながっていて冷えた水がまた水枕でCPUの排熱によって温められラジエータへ流れていきます。水は車と同じクーラントが使われています。簡易水冷も本格水冷も基本的にはこのようにCPUを冷却します。空冷とどちらが冷えるのかということですが、基本的には水冷式のほうが冷えるようです。取り付けも水枕はリテールクーラーと同じくらいの大きさで取り付けが難しいということはないと思います。しかし価格は空冷式よりも高価です。高性能なCPUには空冷式よりも水冷式のほうがオススメです。intel社のi7やi9、AMD社のRyzen7やRyzen9は水冷式のほうがいいでしょう。i5やRyzen5であれば空冷式で問題ないと思います。i3とRyzen3は高負荷の処理には向かないので割愛します。

エアフローの重要性とは?

最後にエアフローのお話をさせていただきます。エアフローとはPC筐体内の空気の流れのことで、この良し悪しでCPUやGPUはもちろんメインメモリやストレージも冷却されて本来の性能をいかんなく発揮できる環境を作ることができます。一昔前ですが筐体内のエアフローを確保するのは非常に大変でした。ストレージの接続を行うIDE(パラレルATA、PATA)ケーブルが非常に太く、このケーブルに空気が当たってしまいうまく筐体内細部まで外の冷えた空気を送ることが困難だったのです。技術革新でCPUやメモリ、グラフィックボードから排出される熱の量はどんどん増えていきます。IDEケーブルも細めのものが販売されてはいましたが、あまり普及していなかったと思います。そこでPC筐体の横に空気を取り込む穴を開け、そこからトップフロー型のCPUクーラーを使ってCPUやマザーボード、メインメモリを冷やすということが行われるようになります。ストレージはPC筐体前面に配置するPC筐体が多かったため、ストレージの冷却には問題はありませんでした。

しかし時代は進みIDEケーブルは廃れ、新たにシリアルATA(SATA)ケーブルが開発されます。IDEはデータ転送速度が遅かったのでパラレル方式でデータ転送を行っていました。パラレルというのは伝送路を複数作りすべての伝送路で同時にデータを送受信する方法です。伏線道路を思い浮かべていただくといいでしょう。シリアルATAの場合は伝送路が1本になりますが、転送速度そのものが引き上げられているため、結果的にIDEよりもデータ転送速度が早かったわけです。簡単に言うと伏線道路の国道よりも単線道路の高速道路のほうが結果として早く目的地に到着するのと同じですね。伝送路が1本になったためケーブルの太さはかなりスリムになりました。そしてケーブルのせいでエアフローが邪魔されるということも少なくなりました。PC筐体はまた窒息型のものが普及するようになりましたね。サイドに穴が空いているものはそこにフィルターを掛けることができないものもあり、意外とホコリを筐体内に入れてしまうという弊害もありました。

そして現在はM.2やNVMeというストレージが開発され、マザーボードに直接取り付けるタイプが主流となり、筐体内のケーブルは電気系統のケーブルかデータ転送用のものはDVDマルチドライブやブルーレイドライブにつながるシリアルATAケーブルのみとなりました。近年ではUSBメモリの大容量化に伴い、DVDマルチドライブやブルーレイドライブ非搭載のモデルも出てきていますね。サブスクリプションの流行もあり昔はPCで映画を見るためには最低でもDVDマルチドライブが必須だったわけですが、現在はインターネットに接続できる環境であればネット経由で映画を見るのが当たり前になりました。そのため筐体内ののエアフローは充分すぎるほど確保できる状態となり、空冷クーラーでもCPUやGPUを問題なく冷却できるようになったわけですが、技術革新によりもっと高性能なCPUやGPUが登場し始め、排熱が追いつかず水冷式のクーラーが高性能CPUでは重宝されるというような背景になっていると考えられます。

何よりPCの性能をきちんと引き出すためにはより涼しい環境で使用するのが一番です。今後もよりパワフルなCPUやGPUは登場するはずですので筐体内のエアフローをきちんと確保するというのは各PCメーカーやBTOパソコンメーカー、家庭用ゲーム機メーカーや自作PCを愛する方にとっては永遠の課題と言えるでしょう。特にノートPCやハンディタイプのゲーム機は本体そのものが薄いため、冷却性能が悪いとフリーズしてしまうことが多くなっていくと思います。またゲーミングノートPCはより多くの冷えた空気を外から取り込むためPC内にホコリが溜まりやすいです。ホコリが溜まることで冷却性能が落ちたり静電気によって思わぬ動作をしたりする可能性も考えられるため、私はゲーム用にPCを購入するのであればゲーミングノートPCはオススメしません。各部品の寿命を縮めないためにも排熱は非常に重要です。

まとめ

このように家電や車はもちろんですがコンピュータにとって排熱の処理は永遠の課題です。サーバやネットワーク機器が置いてあるサーバルームやデータセンターは常時23度の冷房状態にあり、より涼しい環境でコンピュータが動作するように管理されています。最近のコンピュータは筐体内のケーブルの本数が非常に少なくなりましたが、CPUやGPUなどの排熱はより高まっているため、コンピュータを扱う人にとっては排熱処理や冷却に関しては永遠の課題ですね。この悩みが解消するときはコンピュータを使用しなくなったときか、排熱量が相当少ない製品を作る技術が一般的になったときであると思います。さて、次回のブログネタですが皆さんはコンピュータでなにかトラブルが起きたときどうしてますか?という内容についてです。その質問、聞くのはいいけどその人が答えられる内容ですか?聞く人間違えてませんか?そんなお話です。ご興味がありましたらまたお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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