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OSはなぜ必要か?(中編)

おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。2021年6月11日。愛媛松山は曇り空の朝を迎えています。今日は久々に雨が降りそうですね。週間天気を確認すると来週からは西日本は梅雨空が戻ってきそうな予報となっていました。とはいえこの時期らしい天気ではあるので、今日も元気に参りましょう。

さて、前回のブログネタはOSについて簡単に触れました。また昔のコンピュータにはOSは存在していないということもお話させていただきました。言われてみれば、ファミリーコンピュータはROMカートリッジを差し込んで電源を入れればそのままゲームが起動します。ゲーム機はどんどん能力が進化していきますが、16bit機であるスーパーファミコンでもOSは存在していませんでした。32bit機のプレイステーションが1994年の暮れに登場しますが、システムソフトが本体に組み込まれているゲーム機は、このプレイステーションが最初です。ゲームディスクを入れない状態で電源を入れると、ゲーム機のロゴが表示されたあとで、システムソフトが起動して音楽CDプレイヤーとして使用できるようになったり、ゲームのセーブデータを保存しているメモリーカードにアクセスしてデータのコピーや削除が行えました。

そしてPCでのOSがどうなっていたかというと、初期のパソコン(1970年代後半に販売されたPC全般)では、内蔵ROMに入っているBASICというプログラム環境がそのままOSとして機能していましたが、当時はまだ簡易的なシステムという位置づけであり、制御できるものはCPUやメモリ、あとはHDDとキーボードくらいでした。まだマウスは一般的ではなく、命令はすべてキーボードからの入力によって行っていました。画面は黒バックに文字入力を促すカーソルが点滅してるだけの簡単なもので、その環境はCUI(キャラクターユーザインターフェイス)と呼ばれていました。キャラクターというのはいわゆる半角英数字のことです。プログラム言語にもよりますが、データ型にキャラ型(char型)というものがあり、文字をプログラム上で扱うためのデータ型です。ユーザインターフェイスというのはコンピュータとその利用者で情報をやり取りするためのインターフェイス(接点)のことです。ざっくりいうと、コンピュータの操作画面に表示されている画面デザインのことだと思ってください。昔のコンピュータはCUIなので文字でコマンド(命令)を入力してコンピュータに実行させていました。

ところで、私はWindows10のユーザなのでWindowsを中心にしてこれからのお話を進めていきます。Windowsのシェアは現在世界トップであり、一度は誰もが触れたことがあるはずです。家電量販店にも店頭デモ機があるので、PCを持っていない方でもとりあえず触ったことはあるかと思います。そして、先ほどまでお話していたCUIの画面がどんなものか気になる方もいらっしゃるでしょう。お手持ちのPCがWindows10の方はお試しください。やり方は様々ですが、一番簡単なやり方としてはキーボードのWindowsキーを押しっぱなしにして、キーボードのRキーを押します。すると「ファイル名を指定して実行」というダイアログ画面が開きますので、そこに「cmd」と入力してエンターキーを押すか、マウスでOKボタンをクリックします。すると画面に黒バックの画面が表示されたかと思います。見慣れない黒い画面ですが、これが当時はモニターに全画面表示されていて、キーボードからのコマンド入力を受け付けていました。現在はマウスでアイコンをクリックするなどの操作方法が一般的ですが、現在でもこのコマンドプロンプトという黒い画面からキーボードで実際にPCを操作することもできます。前回最後に紹介したOSというのがこれに該当します。マイクロソフトが開発したこのコマンドプロンプトは当時はMS-DOSと呼ばれていました。ここからコマンドを打ってPCを操作することでHDDなどにアクセスして、データの読み出し・保存・削除・コピー(データの複製)・データの移動(HDDから別のドライブなどへの移動)・印刷・アプリケーションソフトの起動などを行っていました。

しかしながら前回の最後でお話したとおり、この画面だけでPCの複雑化したファイルシステムを理解するのはなかなか骨が折れる作業ですし、MS-DOSのコマンド(DOSコマンド)を覚える必要があります。主だったものだけを覚えていればとりあえず操作は可能です。現在ではインターネットで「DOSコマンド」と検索をかければ一覧表が検索できますが、当時はインターネットはまだなく、パソコン通信も基本的には電文でのチャットやメールの送受信が基本的な使い方で(現在のLINEのような使用形態)、現在のようにやサイトを検索して閲覧するというものではありませんでした。パソコン通信中は固定電話を使うことができなくなるため、パソコン通信を利用できる人もそう多くはなかったですし、PCそのものも現在より高価なものでしたが、その割に処理能力は低くできることは限られていました。

その後、Apple社がMacOSを発表し、それを搭載したPCであるMacintosh(マッキントッシュ。通称マック)を販売します。1980年代中頃のことですね。それまではPCはキーボードでコマンドを打って操作するものというものでしたが、それをマウスによる視覚的・直感的な操作へと変更することに成功しています。マイクロソフト社もそれまでMS-DOSを中心に展開してきましたが、Windows1.0ユーティリティを開発し、マウスを使用することができるOSを販売します。しかし当時のPCの能力ではマウスを常用する画面は、それまでのCUI画面中心の環境と比較するとものすごい量の計算が必要でした。マウスの挙動を計算するだけでも相当な労力をPCに強いることになります。そのためマイクロソフト社は基本はCUIのMS-DOSで使用し、必要に応じてマウス操作ができる画面に切り替えて使用する方法を推奨していました。Windows3.1が登場してPCでの画面にはマウスカーソルが出ていることが当たり前になりましたが、まだまだOSは不安定で動作が遅くなったりPCが固まってしまうことも多かったのです。

しかし1995年に転機が訪れます。当時ニュースにもなりましたが、Windows95が販売されたのです。OSそのものは深夜販売されるイベントが開催され、テレビでその様子が生中継されていました。Windows95搭載PCも販売が開始されました。またほぼ同時にインターネットも日本でサービスが大々的に開始され、テレビCMにはインターネット加入者を求めるプロバイダのCMも流れ始めました。Windows95はそれまでのWindows3.1の環境をさらに使いやすくし、OSの不安定さを当時のハードウェア環境下でかなり減らすことに成功しました(それでも固まるときは固まっていましたが)。企業も業務用に次々にWindows95が搭載されたPCを導入していき、それまでデスク上には電話・ペン・書類がありましたが、それらが電話とPCへ置き換わっていったのです。それはまさに革命でありPCに不慣れな社員・職員は職場環境が一気に変化したこともあり、かなりのストレスを感じたのではないでしょうか。業務を遂行しながらPC操作を覚えるという難題をほとんどの方が年代に関係なく突きつけられたわけです。現在ではPC操作は学校教育で行っていますが、当時はキーボードをまともに扱える社員・職員はほとんどおらず、それでも若い社員や職員はすぐキーボードに慣れ始める人も現れ始めますが、年配の社員・職員はなかなかなれることができなかったはずです。それでも会社に所属している以上、会社のPC導入という方針には逆らえません。そこで家電量販店などでWindows95搭載のPCを購入し、休日に自宅で練習することになるわけです。

家電量販店やテレビショッピングなどで購入したPC一式が自宅に届いたあと、説明書を読みながら何とかPCのセッティングを行い、電源を入れてとりあえず練習を開始するわけですが、なかなか思うようにいかなかったり、そもそもソフトの輝度方法がわからなかったりする人が続出します。トラブルが起きて取扱説明書を見ても、そこに記述されているのはコンピュータの専門用語です。それらがなんの説明もなくわかる方は皆無だといえるでしょう。そこで家電量販店や学習塾、はては役所主催のPC教室が全国に急激に増え始めます。折しも日本政府も「IT革命」を国策として掲げており、インターネットでの様々なサービスを画策し始めている時期でした。これからの時代はコンピュータを扱えなければ生きることが厳しい社会が待っているのだと誰もが思い始めます。私も過去にPC教室で講師のアルバイトをしていましたが、そこにはどうしても業務で使用するために、必要に迫られてやってくる会社員の方もいれば、定年退職してこれからやることが見つからなかったため、とりあえずPCを購入してインターネットを自宅で楽しみたいという年配の方、午後家事を終えてテレビを見ているのが退屈になってきた主婦など、実に様々な方がやってこられていました。学生さんは学校にPCが配備されて教育を受けているので、お若い世代の方はあまりPC教室では見かけることはありませんでした。また家電量販店のPC販売コーナーでも派遣社員として働いていましたが、明らかにPCを使用しそうにない年代のお客様が結構いらっしゃいました。大学入学で大学指定の能力をもつPCを買いに来る親子連れのお客様もそこそこいらっしゃいました。PC教室は規模は縮小されましたが、大型家電量販店へ行くと今も開講しているところがあります。

話がそれましたが、老若男女問わず誰でも簡単にPCを扱える環境がWindows95登場以来一気に普及したため、PCやインターネットはそれまではコンピュータオタクが使用する風変わりで難解なモノやサービスと言う位置づけから、国家単位で利用を勧める一般的なサービスへ変化します。現在ではもうインターネットを利用することを前提としてビルやマンションも建設されていますし、PCのOSやソフトもインターネットに接続することを前提に作られています。その後はハードウェアの方も大幅に処理能力が進化し、現在のPCやゲーム機などのコンピュータ環境が整ったわけです。そして、PCは据え置きやノートPCのような持ち運べるが大型のものから、スマートホン(スマホ)へと小さくなっていきます。現在のスマホは一昔前のゲーム機でよりも処理能力が高いものがほとんどです。それを実現しているのは進化したハードウェアとそれを制御する進化したOSなのです。

というわけで、OSの歴史の後半と今現在のコンピュータ環境について簡単にお話させていただきました。進化したハードウェアに複雑化したシステムを使用するためにはOSは必須です。しかし、OSの存在の重要性は理解できたけれど、OSを搭載させることによってユーザにはどんな恩恵があるのでしょうか?それを次回のブログネタにしたいと思います。本日のブログは以上で終了となります。ご興味がありましたらまたお立ち寄りください。それでは失礼いたします。

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