見出し画像

日本の音楽業界は分岐点にいる(サブスクとフィジカル)

今、日本の音楽業界が試されている。

いや、正確に言えば、何年も前から起きていた事に、ずっと目を背けてきたツケのようなものかもしれません。

CDが売れないと言われるようになって数年、いよいよ本当に終わりが見えてきたように思います。

で、まあ代わりにフィジカルで注目されているのが、レコードです。アナログ盤、ヴァイナル、なんて呼び方もありますね。

そんな今再び注目されているレコードですが、

歴史を振り返ると、レコードというのは恐らく「音楽を所有する」という行為の原点だと思います。

そこからは便利さの追求へ向かっていき、

車で聴いたり、持ち運べるようにしたいと小さなカセットテープが流行りました。レコードからダビングする、今風に言えばリッピング文化が始まります。

そもそもレコードが、重い、かさばる、デリケートの三重苦である為、その名もズバリの「コンパクトディスク」つまりCDが登場し、音楽を聴くフォーマットの中心が移ることになりました。

ボタン一つで、再生、停止、頭出し、巻き戻し、こんな今では当たり前のことが革命だったんですね。更に音も劣化しない、非常にクリーンな音が鳴る。当時生まれたばかりの僕には想像でしか語れませんけど、次世代感は凄かった事でしょう。

この辺りはもっと詳しく語れる方がいらっしゃると思うので雰囲気で読み進めて下さい。


人間の欲というのは底がありませんので、更に便利さを求めていくと「究極のコンパクトはデータだ」と行き着くわけです。

まだまだインターネットもようやく各家庭にパソコンが置かれるようになった程度の時代はよかったのですが、iPodの登場、着うたなどのケータイで音楽を聴く文化が進んだ先に、スマホが登場しパケット代が定額になった今、YouTubeやストリーミングサービスで音楽を聴く時代になりました。


ちょっと話はアメリカへ移ります。アメリカで配信が流行った背景には、CD屋に行くのに車で何時間、というような広大な土地ならではの問題が関わっています。それを見て動いたのがウォルマートという、日本で言えばイオンみたいなスーパーマーケットでした。

スーパーでCDが買える。ミュージシャンの中にはこれだけでも嫌悪感を抱く人も少なくなかったのですが、既に配信の波が全米に広がっていく中で、更にウォルマートは安売り戦略へ向かいます。

映画DVDの売り方を思い出してもらえると分かりやすいと思いますが、CDも1800円シリーズ!2300円シリーズ!みたいな売り方へ向かう訳ですね。つまりモノとしての価値が暴落してしまう訳です。CDを買う事がちょっとカッコいいもの、では無くなってしまう訳です。

この少し前にはナップスターというファイル共有サービス(後に著作権問題で裁判となり倒産)で、無料でデータがネット上を飛び交う状態であったこと、そしてそれが音楽はデータで聴くものという土壌が出来上がってきたこともあり、CDというフォーマットは(かつてのレコードのように)完全に過去のものへとなります。


さて、話を日本に戻すと、CDをなんとかして売りたい、CDバブルで作り上げたビジネスフォーマットを潰してしまっては仕事が無くなってしまう人が大勢出てしまう!と延命に走ります。

そこで生まれたのが特典をつけるという方法です。

データには物理的な特典は付けれませんので、これは幸か不幸か結果を出します。

この辺りの事は、この記事を書くに至った

亀田さんのコレ↓を見ていただいた方が分かりやすい


musicFMという無料で音楽が聴けてしまう著作権無視のアプリが問題になったのはついこないだです。

つまりナップスターが問題になった時と同じ事が今やっと起きたとも言えます。

ならばこれから日本でも、アメリカと同じような事が起きるとも考えられます。

つまりようやく話が戻り、アナログレコードの復興となります。

アメリカでは、レコードショップを救おうと、レコードストアデイというレコードショップでしか買えない限定音源をリリースする日を作ったりと、まあやってる事は実は日本とそんなに変わらなかったりするんですが、じわじわと効果も現れ、遂にCDの売上をレコードが超えるまでになりました。

日本でもスリーブ(ケースを入れるための透明な袋)の売上が、落ち込み続けるCD用に対して、レコード用は10倍近く上がっているそうです。

便利なストリーミングサービスがあるのに、なぜまた不便なものが?というのは当然の疑問だと思いますが、そもそも音楽というのは嗜好品です。

NO MUSIC NO LIFE などと言ってみても、無きゃ無いで死にはしません。

だからこそ、こだわりが生まれます。

やっぱりライブでしょ!最高音質で聴きたい!コレクションとして並べたい!オシャレ!カッコいい!

そんな感情の一部を担うものとして、既にオワコンという烙印を押されたCDよりも、逆にアリと言われたレコードに注目が集まるのも自然なものだったと思います。

そして、重要な事に、レコードには「音が良い」「ジャケットが大きい」という物としての価値が高い要素があります。


日本の現状として、土地が無い問題からレコードをプレスする工場の殆どは解体され残っておらず。先日ソニーがラインを復活させましたが、まだまだ大手のアーティストの豪華盤というポジションにとどまっています。

もう一つ日本でレコードが復活するために問題になるのが、住宅環境です。

あんなかさばるもの置いとけないよ、ってことですね。

これも日本がCDにしがみ付いた理由の一つだと思うのですが、結構重要な問題です。

そう考えると家でもどこでもイヤホンやヘッドホンで音楽を聴いてる日本人にとってストリーミングサービスが最も適したフォーマットである事が見えてきます。

もともと音楽の消費スピードが速い日本で、ストリーミング解禁というトピックを使った過去音源再評価というのはビッグネームのアーティストには武器となります。

ここ最近では、星野源、スピッツなどが上手く使いましたよね。一方でミスチルや宇多田ヒカルのように最新作は解禁しないという、あくまで新譜をCDで売るための解禁だったパターンもありました。


あれ?レコードが売れていくって話じゃなかった?となりますが、ここで言いたいのは、若い人が音楽にお金をかけない、という土壌が出来上がってしまった今、果たして日本の音楽業界が次にどこへ向かうのか、を考える上での情報の羅列です。

そして、日本はフィジカルもストリーミングも完全にに置いていかれているという状況を知ってもらいたいたい。

そんな思いでこの記事を書いた次第です。


音楽との向き合い方を広げたい。そんな思いから、私事ではありますが、名古屋大須でレコードを聴く会を立ち上げました。

11月25日が第一回になります。

画像1

皆んなに聴かせたい!というよりも、自分が聴いていたら興味を持った人が寄ってきた、というようなものにしたいので参加費無料。かしこまらず緩く。

音楽って映画やなんかと違って、無自覚の中に飛び込んでくるものでもあるんで、その体験を重視したい。

その先にちょっと危機感と希望を持って接していきたい。

そんなイベントです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?