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ライトノベル#12








    【魔王様は倒されたい#12】


『ギ、ギェーーー!!く、くそ〜ッ!覚えていろ!私を倒したところで、第二、第三の勇者が現れてお前を倒すだろう!!』

先ほどの勇者と同じく、鍋のフタが弱点と勘違いしている彼らはなす術なくバリアに突っ込んで来て、見事に自爆をし、悪の親玉みたいな最後の台詞を言った。

そして地面にひれ伏すかと思った直前、最後の力を振り絞り、両手を天に掲げ、


『と、、、トッピング頼まなくても煮卵と、レアのと普通のチャーシュー2種が最初から乗ってるタイプのラーメン屋、万歳ーーーーーー!!!!』


“確かに”と思う事を叫び、彼らは爆発した。


ちなみに珍しく勇者が4人のパーティーだった。

4人とも盾オソロやった。


「、、、いろんなタイプの消え方があるんやな。。光に包まれて消える方が良いわ。。
はぁ、、、。あの時、弱点さえ変えなければ、、。」


そう独り言を言いながら、本日2組目の犠牲者の落としたアイテムを回収していた。


その中で、ふと気になるアイテムがあった。


【レアアイテム: バンドゥー・エージの卵  を獲得】


「なんだ、、??このアイテム??見た事も聞いた事も無いぞ??一体、何に使うんだ??」


青い半透明のクリスタルの箱を開けると、中には手のひら位の大きさのマーブル模様のタマゴが入っていた。

名前からでは使用用途が想像もつかない。



「仕方ない。あの魔法を使うか。

     《召喚!なんでも鑑定団!》」



この魔法は、伝説の鑑定士軍団7人のうちランダムで1人とレポーターが出張して来てくれる。


そしてその2人とは別に、“自身の予想額から、実際のお宝評価額が大きく下回った時に、めちゃくちゃ笑う観客のオバさん”が4人現れる。


今回の出張鑑定士はアイテムコレクターの、南谷 稔(なんや ねん)さんが現れた。

「あの、すみません。コレを鑑定して欲しいんですが、、。」

南谷『なるほど、、。』

そう言いながら虫眼鏡を使い鑑定し、言いにくそうに続きを話す。

南谷『残念ながら、横山大観の作品では無さそうですね』

「あ、はい。知ってます。かけ軸では無いので。。」

南谷『横山大観の作品はね、大体、線描を抑えた独特の没線描法で書かれているんですよ。
でも、コレはマーブル状の模様なので作風が違いますね。
また、コレは卵状なんですけど、大観の作品は全て、かけ軸状なんです。
ほら、上の方を見て下さい。かけ軸状では無く卵状でしょ。
で、下の方を見ても卵状になっていて、かけ軸状ではありません。』

「はい。僕、一ミリもコレが横山大観のかけ軸と思ってないんで」

南谷『でも。かなり歴史のあるアイテムですね。詳しく調べてみないと分からないですが、恐らく作られたのは江戸時代の初日。』

「初日???初期じゃ無くて初日??江戸時代の初日っていつ???“恐らく”でえらいピンポイントに分かるんですね」

南谷『江戸時代の初日〜先週の木曜の間。』

「広っ。」

南谷『これ以上の事は専門の機関で無いと調べれないと思います』

「このゲームが出来たの数年前なんよ。このアイテムが出現したのはここ最近やろうし、そもそも制作時期は気になってないのよ。
一体コレは何に使うアイテムなんですか??」

南谷『使用者が危機に陥った際、そのピンチを解決する存在が卵の中から産まれる、、とココに書いてます』

「え?書いてんの?」

南谷『はい、ココに小さく』

「ホンマや、、!これ、マーブル模様の一環やと思ってたわ。鑑定士いらんかったな。。
はぁ〜。んー、なんか抽象的過ぎてピンと来んなぁ。
ちなみに、売ったらいくら位になるんです??」

レポーター『さぁ!!それでは!こちらのアイテム、魔王さんは売れば何円になると思いますか??』

「うぉっ!お前初めて喋ったな!!!レポーターやねんから1番喋れや!!」

レポーター『自己評価額の発表、お願いします!!』

「えー、、、一応はレアアイテムやし〜、うーん、200万くらい??」

レポーター『では、先生。気になる鑑定額は!?』

南谷『スタジオへ!』

レポーター『スタジオへ!!!』

「あ、出来たら今お願いします!ココから出れないので」

南谷『五万。五万。』

「安っ!!!!スタジオ行ってたら地獄やったやないか!!」

その余りの希望額と鑑定額の差に、お互い目を合わせてニマニマと微笑む老婆たち。

「いや、ニタニタ笑うな!バラエティみたいに”ドッ”と笑ってくれ!!凹むわ!! 
てか、、!えぇ!?レアアイテムやのに、たった五万???」


南谷『まずね、使用済みなんですよ。これ。』


「あ、コレ既に使用済みやったん??なーんや。。」


南谷『最初はクリスタルのケースに入って居るんですけど、そこから出してしまった時点で使用済みになって、その人の専用アイテムになるんですよ。』


「、、、あ。。使用済みにしたの、自分や。」

南谷『使用済みじゃ無かったら100万を超えていたかもしれませんが。
使用済みなら価値は0円です。
しかし、マーブル模様の物は人気なので五万円をつけさせて貰いました』

「マーブルの物にそんなプレミアが!?」

南谷『マーブル模様の掛け軸でしたら、数千万はくだらなかったですよ。
では、私は次の鑑定がありますので、コレで。』


ゲームオーバーになったプレイヤー位、ゆーっくり消えていく鑑定団を見ながら思った。


(これから、マーブル模様の物は積極的に集めて行こう。
あと、あの婆さんたちは歩いて帰るんかい。)




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