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木質ペレットを輸入してまで発電するのはやめたほうがいい・・・

JERA 武豊火力発電は石炭を燃料とする火力発電所だが、そこにアメリカなどから輸入した木質ペレットを混焼して利用している。その年間利用量は、50万トンでありとんでもない量であることが分かる。

Wikipediaより

さて、この火力発電所では、2023年1月ならびに2024年1月に相次いでベルトコンベアが燃える火災が発生している。下記ニュースを参照いただくと、同様の火災が他6件起きているらしい・・・

JERA武豊火力発電所火災 “木質バイオマス燃料の粉塵”が原因…現時点で復旧・再稼働の見通し立たず


JERA。1月の愛知・武豊火力発電所の爆発事故原因を公表。バイオマス燃料の高速搬送で粉塵が急増、装置内で爆発限界下限値を上回り爆発。石炭火力への異種燃料混焼の危険性露呈(RIEF)


バイオマス燃料の粉じんに着火 JERAの武豊火力発電所火災


「ベルトコンベヤーの摩擦による発熱が原因」 JERA武豊火力発電所の火災で調査委報告


バイオマス燃料の粉じんに着火 JERAの武豊火力発電所火災


これらのニュースで取り上げられた内容は、JERA発表を元にして報じられたものばかりではあるが、いかにも木質ペレットの粉塵がイタズラしたかのように読めてしまうのだが、実のところはベルトコンベアの駆動金属部品が摩擦で高熱になり、その結果生じた火花などの火種が元となって、堆積していた粉体に着火。それが、貯留サイロ内で舞う粉体にも着火したことで爆発したということである。

要は、搬送ラインの管理がなっていなかったこと、それに粉体が溜まってしまう箇所の監視がなっていなかったことが最大の問題であって、それとともに粉塵爆発を引き起こす原因を潰していなかったことにあると見られる。

前者については、2023年1月に発生した時から問題視されており、最善策を取ることになっていたが、実は実施されていなかったということなのだろうか?また、後者においては、恐らく木の粉体管理の経験がないから致し方ないのだが、木材関係者においては周知のものであり、粉塵爆発による事故が度々起こるために木粉製造業者がいなくなってしまったことからもそのリスクの大きさが分かるのだが、業界が違うとそんな常識が共有されなかったということか。

それとともに、このようなバルク燃料の取り扱いは、1事業者の経験値だけで管理されるものではなく、出荷するメーカーからも情報はあっただろうから中継する商社の役割の重要度を再認識すべきであると思われる。JERAサイドに立てば、これらの危険性を十分に周知せず、且つ取り扱い方法を事前に展開しなかった瑕疵が商社にあり、本件火災責任に対する補償を商社に求める・・・としても良かろうに、と私は思っています。

木質ペレットを輸入してまで発電するのはやめたほうがいい・・・

さて、本題に戻ろう。
このように、木質ペレットを輸入してまで発電するのはやめたほうがいいと私は思う。前述のWikipediaに記載されたところによると、この火力発電所は高効率石炭火力発電ではあるものの、国内最高効率を誇る天然ガスコンバインドサイクル発電と比べて二酸化炭素の排出量が大きいために、木質ペレットを用いてその発生を抑制する役割という。

いやいや、高効率石炭火力発電はその高効率性を保持して運用すればいい。木質ペレットを利用しても、この火力発電がカーボンニュートラルになるわけではないのだから、誤魔化す必要などない。熱効率は45%を超えるわけであり、ガスコンバインド発電の60%に比較すると低いけれども、従来の火力発電に比べれば十分に高い。

だから、JERA武豊火力発電における木質ペレット利用はやめたほうがいい。

さらに、同じくJERAが運営する米子バイオマス発電所は、100%輸入燃料を利用しており、木質ペレット燃料とパーム椰子殻燃料で稼働させているのだから立ちが悪い。

米子バイオマス発電
https://www.yonago-biomass.co.jp/

ここでも同様の火災を起こしてしまった結果、操業が止まってしまっている。地域住民への説明会でも紛糾してしまっているようだ。

第20回電気設備自然災害等対策ワーキンググループ(経済産業省主催)への参加について


だから、木質ペレットを輸入してまで発電するのはやめたほうがいい・・・なんなら、パーム椰子殻の利用もやめたほうがいい・・・


木質ペレットもパーム椰子殻も、その素材の特性としては、木の成長過程で大気から吸収した二酸化炭素が燃やされることで再放出するだけであり、カーボンニュートラルな燃料であることは確かである。

しかしながら、それらを長距離にわたって輸送することにより、もはやカーボンニュートラルとならないことは明確に示しておかねばならない事実であろう。

『カーボンフットプリント』という指標があるのだが、そのものが動いた距離に従って二酸化炭素排出量を把握しましょうということであり、その結果出来るだけ地産地消を心がけましょう、ということに繋がっている。

カーボンフットプリント(Carbon Footprint of Products、CFP)

せっかく、カーボンニュートラルな燃料を利用するのに、長距離にわたって動かして仕舞えば、それだけ二酸化炭素を余分に排出することになる訳だ。

そもそも、我が国から資金流出を続けることに疑問を持つべきだ

日本は化石資源に乏しい国である、従来から中東諸国に対して原油輸入に伴う資金流出を続けてきた。それが、石炭であれ天然ガスであれ同じ構造であるが、国内再生可能エネルギーの拡大は、その資金流出機会を低減するものち期待されていた。

しかしながら、メガソーラー開発には中国から大量のソーラーパネルが利用され、風力発電についても主要パーツは中国製で、多くの資金が中国に流れる事態となった。バイオマス発電が、日本の山々にある木々を利用するなら、その代金は国内で循環することになるのにも関わらず、アメリカ、カナダ、ブラジル、ベトナム、インドネシア等々の国々に資金が流出していることとなる。

原油、石炭、天然ガスの輸入を少しばかり減らす代わりに、それ以上に諸外国へ資金流出させているのだがら、日本国内が貧乏になっていくのは明らかである。

木質ペレットを輸入してまで発電するのはやめたほうがいい・・・

輸入燃料を利用しないで、国内資源を利用した発電を実施すべきである。
その燃料は、山々に眠る切捨て間伐材、製材端材、建設リサイクル材、各種木質系廃材、一般住宅から排出される家具等の粗大ゴミまで・・・国内には相当量の燃料となる資源がある。諸外国から燃料を輸入して、国は補助金を出して、その事業者だけ儲かる・・・そのようなおかしな構造は見直しをし、その分国内資源を利用する事業者に増額してはどうだろうか。

本日はここまで。

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