高速道路のあれこれ#1
はじめまして。
noteを始めてみました。
まぁブログのように使おうかなと思ったり、仕事の話をしようかなと思ったり悩みましたが、方向性はおいおい考えるとして、とりあえず「高速道路のあれこれ」について書いてみます。
なぜ高速道路なのかというと、以前高速道路に関連する仕事をしていたので、少し掘り下げて話すことができるからです。
思えば去年8月の大雨により、北陸道敦賀トンネル坑口横の法面が崩れた際に、電気室が無事だからよかったものの、ここに土砂が流れ込んでいれば復旧に時間を要した旨ツイートすると、少し反響があったことも記憶に残っていたり…。
さて、前置きが長くなりましたが本題に入っていきましょう。
◎トンネル火災について
・はじめに
今回はトンネル火災について書いてみます。
高速道路のトンネルで火災に遭遇された方は少ないと思いますが、その危険性は本線火災の比ではありません。トンネル火災を語るにあたっては、まず過去の悲惨な事故を知る必要があります。
・日本坂トンネル火災
1979年(昭和54年)7月11日、東名高速日本坂トンネルで渋滞最後尾に次々と車両が追突する玉突き事故が発生した。ガソリンに引火したことにより火災が発生し、最終的に死者7名、負傷者2名、車両炎上173台の大惨事となった。
日本坂トンネルには当時として最新の消防用設備が設置されていたものの、トンネル内滞留車両が多かったこともあり、次々炎上し鎮火まで3日を要した。
・日本坂トンネル火災をうけて
前項の日本坂トンネル火災を教訓に、設備の見直しや強化が図られました。トンネル内に設置される消防用に供される設備を「トンネル非常用設備」といいますが、トンネルの防災等級に毎に設置される設備が決まります。
防災等級はトンネルの[延長]と[通行量]により決まり、等級の高いもの(設備が充実しているもの)から順に、【AA】【A】【B】【C】【D】と5つに区分されます。
防災等級毎に設置される設備の詳細等については別でまとめたいと思いますが、国土交通省の分かりやすい資料がありますので載せておきます。
ここでは一番設備が充実しているAA級のトンネルについて紹介したいと思います。
・AA級トンネル火災発生時の流れ
まず、AA級トンネルに設置されるトンネル非常用設備を紹介しようと思いましたが、上の資料に載ってますので省略し火災発生時の流れを紹介します。
○火災発生
・炎検知器による自動検知
・CCTVによる管制室目視発見
・押し釦式通報装置もしくは非常電話による通報
↓
○上記事象により管制室が火災の発生を把握する
消防に通報すると同時に下記設備の制御を行う
○情報板
D型情報板(トンネル入口情報板)及びDs型情報板(トンネル補助情報板)は「進入禁止火災」を表示、サイレン鳴動、赤ランプ点滅
○ジェットファン、ブースターファン
一方通行あれば流出方向へ全台排煙運転
対面通行であれば停止→CCTV等によりトンネル内滞留者が煙に巻かれる恐れがなければ全台排煙運転
○ラジオ再放送設備、拡声放送設備
「トンネル内で火災が発生しています」
○水噴霧設備
火点区画及び必要に応じて隣接区画で放水
冷却、酸欠効果により延焼防止を目指す
(※鎮圧鎮火を目指すものではない)
○消火栓
消火ポンプ運転により誰でも消火活動可能
○照明設備(基本部)
昼間以上
※分かりにくいので補足
トンネル照明設備は[基本部]と[緩和部]で構成されており、「昼間以上」というのは基本部が全灯した状態を指します。
と、こんな感じでたくさんの設備が命を守ってくれます。そして、これら設備を維持管理するのには多くの予算と人員を割いています。
高速道路無料化も結構ですが、こんな素晴らしい設備を守ってきた思いがあるからこそ、とにかく無料化をいう論調には賛同できませんし、未だ無料化を前提とした政策を取り続ける国の無責任さにはうんざりします。
最後に話が脱線しました。笑
高速道路を走行される際は、トンネル非常用設備にも目を向けていただけると嬉しいです。