VCT Champions ZETA vs LOUD 0-2 1st map ascent

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9月1日に実施されたVAROLANT Champions TourBブロック初戦、ZETA DIVISION vs LOUD のマッチレビューです。

概要

・ZETAが大きく劣っているといった試合内容ではなかった
・戦略面ではAサイトへの攻めに対する回答に差が
・スモーク抜き、要所での撃ち合いで勝負ラウンドを落としたのが大きかった

BAN PICK

LOUDがヘイヴン、ZETAがブリーズをBAN。
LOUDがアセント、ZETAがフラクチャーをPICK。
LOUDがパール、ZETAがアイスボックスをBAN。
DICIDERはバインドとなりました。
下記クリップは配信で紹介された、今年の世界大会における両チームのマップ取得数です。

データによるとZETAはアセントの勝率が20%と低いにもかかわらず、ブリーズをBAN。アセントを13ゲームプレイして12勝と驚異的な勝率を誇るLOUDは、当然アセントをピックしました。


常識で考えればZETAはブリーズよりもアセントをBANするべき、とも考えられます。しかしZETAも世界大会でブリーズを1回しかプレイしていないことを考えると、研究不足でピックしてこなかったという可能性も考えられます。LOUDもブリーズの勝率が低いわけではないため、むしろブリーズの方が厳しいと感じたのかもしれません。
アセントであれば、LOUDは13回もプレイしているわけですから研究材料も豊富。そう考えると、ZETA側はアセントをBANしないことで相手のPICKを誘導し、対策をぶつけるという作戦だったかもしれない、というのは考えすぎでしょうか。

対するZETA側はフラクチャーをPICK。これまでの国内も含めたZETAの戦績を見るとむしろ勝率は低いマップですが、世界大会ではStage1 MastersでLiquidに勝利しています。またLOUDにとっても勝率がそれほど高くないマップですので、対策次第で取り切れると踏んだのかもしれません。

それにしても今大会厳しいのはスプリットがないこと。ZETAが非常に得意としているマップだけに、影響は大きそうです。

ZETA DIVISION LINE UP

Dep - ジェット
crow - フェイド
SugarZ3ro - アストラ
TENN - キルジョイ
Laz - KAY/O

LOUD LINE UP

aspas - ジェット
Sacy - ソーヴァ
saadhak - KAY/O
Less - キルジョイ
pANcada - オーメン

THESPIKE.GGのデータによるとLOUDは実に12マップをこの構成で戦い、勝率91.7%の勝率を残しています。またコントローラーのみアストラに変更した試合が2試合ありますが、いずれも勝利しています。ほぼ不動の構成と言えるでしょう。

一方のZETAは、目の病気のため一時チームを離脱していたTENNN選手がロースターに復帰。さらに、Stage2 Challengersの決勝でNthを相手にプレイした構成から変更を施しています。1pick役としてチェンバーを務めたLaz選手がなんとKAY/Oに配置転換。おそらく大会では初めてのピックではないでしょうか。
それに伴いレイズをプレイしたTENNN選手がキルジョイに、KAY/OをプレイしていたDep選手がジェットへとスライドしました。比較的キルジョイが強力なマップのため構成に入れたかったのか、LOUD対策なのか。いずれにせよチェンバーがキルジョイに変わったことで少しディフェンシブで組織的な戦い方になると予想しました。

ROUND1に見られたZETAの緻密な連携

ZETAはディフェンダーでのスタート。
AメインとキャットからのA挟みを選択したLOUDに対し、ZETA側の開幕のセットアップがかみ合います。ゼロポイント、ホウントの2つを同時に投げ込みながらDep選手のジェットがブリンク。さらにSugarZ3ro選手が設置したスモーク越しに、ホウントに移ったpANcada選手を倒すことに成功します。

しかしLOUD側はこの間にキャットを進行。Dep、Laz、crowの3名がAサイト内のポジションにつく前にAショートを陥れます。AショートとAサイト内の撃ち合いでLaz、crowの両名が落とされますが、隠れていたDep選手が素晴らしいaimでaspas、saadahk両選手をキル。

ここでAメインを進行していたLess、Sacy両選手に対してTENNN選手のローテートが間に合い1キルトレード。2on1の状況に。その後はガーデンで地形の構造を活かした二段を組み、最終的にはSugarZ3roがSacy選手を倒し切りファーストラウンドを取得しました。

ファーストラウンドで素晴らしかったのは2~3kill目のDep選手と、最終キルを取ったSugarZ3ro選手の存在をうまく隠したことでした。体力の低い選手を前に出して、体力の多い選手がベイトするという連携を1ラウンドのうちに2回も見られたわけです。それも大会初戦という緊張感のある場面で咄嗟に行っているわけです。普段からこのような緻密な連携を練習してきたことが伺われるシーンでした。

SugarZ3ro選手を隠す上下2段のシーン

このような戦術面・戦略面ではZETAは丁寧で、非常に組織された戦い方ができているという印象を受けました。

ZETAがかろうじて取得するもLOUDが優れた戦術を見せたROUND4

その後、アンチエコとなるROUND2はZETAが、武器差が出るROUND3はLOUDが順当に取得。序盤の節目となるROUND4を迎えます。

開幕のLOUDのアクションはミッドに。キャットにスモークと炊き、ミッドにゼロポイントを投げてプレッシャーをかけます。Dep選手の位置が特定され最初の小競り合いが起きますが、最終的にはDep選手がスモークとブリンクを使ってマーケット側へと引き、ミッドのコントロールを明け渡すことになります。

実はここで複数のアクションが起こっていました。まずミニマップに注目すると、AメインではおそらくSugarZ3ro、pANcada選手がお互いの姿を視認したように見えます。ここでSugarZ3ro選手は箱裏に隠れたのち、フェイクの1wayスモークを炊いて、引いたように見せかけています。

次に、Laz選手がキャットへゼロポイントを入れて索敵しています。通常、ミッドのコントロールをここまで深く明け渡してしまうとBとマーケットの挟みを警戒したくなるところですが、ここで2名の選手を検知したことでZETAはLOUDのA攻めを確信。プロシーンではミッドをコントロールしてからAショート進行という動きはよくあることですし、LOUDにそういう動きが多いという情報があったのかもしれませんが、いずれにせよゼロポイントを温存してここで使ったLaz選手のファインプレーと言っていいシーンでした。

また、TENNN選手がBメインもコントロールすることに成功しています。ここまでは、ミッドのコントロールは明け渡したものの、ZETAはBメインとAメインのコントロールを持っており、さらにゼロポイントでAショート攻めが濃厚という情報まで取れている状況。ローテートする時間も稼げており、Aショートさえ止められれば…という状況まで持ってこれています。

しかしLOUDがそれを上回ります。pANcada選手が箱裏を壁抜きしてSugarZ3ro選手をキル。1wayスモークを利用したフェイクにかかることなく、箱裏の可能性をしっかりとケアしていました。

さらにAショートにオウルドローン、ゼロポイントを入れてあたかもAにラッシュするぞというアクションを見せてからのミッド進行。CTベースを経由してAによろうとしていたTENNN選手がかろうじて気づきましたが、もちろん1人では止められずサイトを明け渡します(冷静に引いたとも言えます)。

ZETAもロックダウンとスモークを活用して、先にサイト内を制圧してからマーケットのaspasを倒すという組織的なリテイクで対抗。

画像1

しかし最終的にはロックダウン後に侵入してきたLess・pANcada選手にキルを取られてしまう結果に。ギリギリ解除が間に合いましたが、戦略面ではLOUDの狙いがうまくハマったラウンドに見えました。ZETA側は購入した武器をすべて失う厳しいラウンドとなりました。

このラウンドの立役者はやはりpANcada選手ではないかと思います。SugarZ3ro選手が箱裏に隠れた可能性を考慮して壁抜きし、倒したことで、ZETA側はAメイン側の情報が取れなくなり、そこから崩れてしまったといえるでしょう。

絶対に落としたくないはずのROUND6で淡泊な対応に

次のアンチエコをLOUDがパーフェクトで取得し、金銭的にはLOUDがかなり有利に。ROUND6でお互いが武器をフルバイする勝負ラウンドが再び訪れます。しかし、LOUDは金銭的に余裕があるのに対し、ZETAとしてはここを落とすと次のラウンドがエコになってしまいますので、絶対に取得したいラウンドです。

このラウンドでLOUDはシンプルなAラッシュを選択。キルジョイのLess選手にBメインとミッドのプッシュを警戒させつつ4名がAメインに集合するという、ラッシュとしてはスタンダードな形を取ります。最終的に展開したいのはAへの速い攻めですので、ミッドにスモークを炊いてLess選手のミッドコントロールとAショート流れをサポートします。

対するZETAはB2、ミッド1、A2というスタンダードではありますが少しミッドとBを意識した配置。また、相手の進行止めに使いたいという意図があったのか、開幕にゼロポイント、ホウントの両方を温存します。

LOUDがオウルドローンを流したのに対して、ZETA視点ではミッドにスモークを炊かれていますから、当然A挟みを警戒。ミッドにいたDep選手がガーデンに寄り、crow選手がキャットにプラウラーを流します。しかしLOUDの本命はメインからのラッシュですのでAショートのプラウラーは反応しません。この時点でAメイン、Bメインともに情報は取れていない状態ですので、ZETAとしてはこのドローンが本命なのかフェイクなのかまだ確信は持てなかったでしょう。

LOUDが一気にAサイトになだれ込む場面では、Aに人数を寄せてはいましたがショートに多めに配置していたため、スモークで射線を切られて一切カバーできない状態に。サイト内のSugarZ3ro選手もスモークで耐えますが、さすがにこの人数相手にできることは少なく、ショートからタイミングを合わせてカバーするような動きもなくほぼ見殺し状態に。

その後、スモークが晴れるタイミングでのポップフラッシュを絡めたリテイクは見事でしたが、最終的にはミッドからのLess選手からのラークが刺さるなどしてリテイク失敗。

結果論ではありますがAメイン、Bメインどちらかに索敵スキルを入れて情報が取れていればもう少しできることがあったのではないか。また、ショートから突入するかどうかは意見が分かれそうですが、せめてスモーク抜きをするなどすればもう少しSugarZ3roをサポートできたのではないか。1stラウンドであれほどの連携を見せたZETAにしては、少し淡泊な対応になってしまったような印象を受けました。

ここでZETAがタクティカルタイムアウトを取得。絶対に欲しいラウンドを落とし、次のエコラウンドを相手に取られると考えるとラウンド取得数が逆転することは確定的でしたので、適切なタイミングだったと思います。

ROUND6は何だったのか?信じられないパフォーマンスでROUND7を取得

ROUND6でかなり厳しい取られ方をしたZETAですが、ROUND7ではありえないパフォーマンスを見せます。

マネーがないため当然エコラウンド。配置的にもBサイトにKAY/OのLaz選手一人を残して残りはAサイトにスタックします。

そんなZETAをあざ笑うかのようにLOUDはBラッシュを選択。Laz選手のゼロポイントが数名を検知しますが、当然LOUDが取得するだろうと思われる立ち上がりです。

しかしここで幸運だったのはLOUDが慎重な姿勢を見せたこと。エコラウンドでZETAがスタックを多用するという情報はもちろんあるでしょうから、Bメインプッシュやショーティーを警戒したのでしょう。オウルドローンでしっかりとクリアリングしてからサイトに突入します。

しかし、ここで時間を使ってくれたことでZETAのローテートがかろうじて間に合います。Bメインからの侵入こそ許しましたが、ROUND4でも見せたCT前のスモーク(今回はアストラスモーク)からDep選手がブリンクインしたことを皮切りに、早めの進行を開始。マーケットからTENNN選手が、CTからcrow選手が射線を通し、絶妙なタイミングでLOUDを包囲します。crow選手のプラウラーもスモークの中を通すことで壊しにくいものとなり、LOUDは混乱したでしょう。

武器差がありますので、当然それを覆すだけの素晴らしいエイムがあったことは言うまでもありませんが、このラウンドのターニングポイントは相手の攻めをわずかでも止め、時間を作ったLaz選手のゼロポイントでしょう。また、CTに到着してからのDep選手のブリンクインをはじめとした早めのアタックの判断も素晴らしかったと思います。まさにあっという間の出来事でした。

ROUND8~9は互角の展開。SugarZ3ro選手のスーパープレーも飛び出す

エコラウンドを取得したことでラウンド取得数をふたたび優位に戻したZETA。続くROUND8はAショート進行に対してLaz選手フラッシュを当てるも、LOUD側のスモークやスキルがかみ合いピックが取れず。少し不運な形でAショートからの攻めを通してしまいます。

ROUND6でのSugarZ3ro選手の耐えモクへの対処もそうですが、LOUD側はスモークの使い方と、逆にスモークへの対処が非常に丁寧な印象を受けました。相手がスモーク周辺にいそうなときは決して危険なエリアには踏み込まず、逆にスモークを足して射線を切り、複数の場所から射線を通して、一つ一つ危険なポジションをクリアしていくような動きが見受けられました。

続くROUND9、まず最初に見事だったのはLOUDのオペレーター対策。もちろんマネー状況は見ているでしょうが、開幕の20秒ほどはしっかりと様子を見て、決してピークせず、スモークを炊いてからAショートへ進行。まずは1pick取りたいというZETA側の狙いを封じて見せます。

LOUDの再びのAショート進行には再びLaz選手が対応。ドローンの音を聞いてまずはAメインへゼロポイントを投げ、ROUND8と同様にもう一度フラグメントとフラッシュでAショートの足止めを試みます。今回は足止めに成功。ROUND8で見せたトライも決して悪くありませんでしたから、このポジションにKAY/Oを配置するのは非常に強い守り方に見えます。さらにcrow選手のナイトフォールまで切りますが、不運なことにLOUD側がいったん止まったためここは当たらず。これでZETA側としてはA攻めの確信が持てなくなり、再びROUND6のようにフリーでAサイトに入られてしまうかと思われました。しかしこれを頼れるHeroが阻止します。

これまではサイト中で耐えモクを炊きキルを狙っていたSugarZ3ro選手ですが、このラウンドでは守り方を変えていました。ヘヴンにポジションを取り、メインとショートからスロー進行を狙ったLOUDを順番にキル。遠距離のファントムで難しいショットだったと思いますが難なく仕留めていきました。通常であればヘヴンスモークが入るところでしたが、LOUDとしてはオペレーターを警戒するためにミッドスモークを炊いたことが裏目に出ました。スモークのクールダウンは1つ分上がっていましたが、ショートに使用していたためヘヴンには使用することができませんでした。このスモーク残量まで読み切ったうえでのポジショニング…というわけではないと思いますが、Aサイト中で守り切るのが厳しいとみてヘヴンにポジションを映していたのが好判断だったと思います。

もちろん、最初にAショートからピークを試みたaspas選手が撃ち勝っていれば、勝負の天秤はLOUD側に傾いていたでしょう。戦略というよりは個の能力で打開したような印象です。ここでLOUDがタイムアウトを取得。

ROUND9ではZETAはロックダウンを保持しているためAサイトを明け渡し、Aショートから左側を厚く守る選択。ここにLOUDのAメインからの攻めが再びかみ合います。これまでAサイト中で守れていなかったZETAとしては狙い通りの展開だったかもしれませんが、ロックダウンをフラグメントで破壊され、さらに返しのロックダウンでミッドに押し出されたTENNN選手がハイミッドに流れてきたLess選手に落とされてしまいます。そこからのリテイクはpANcada選手の下からの突き上げなどもあり阻止されてしまいます。

ロックダウンが壊されなければコズミックディバイドも含めて有利なリテイクになるはずでしたが、pANcadaの床からの抜きも含めて研究・対策されていた可能性はあります。

このようにROUND8~9はお互いが高度な駆け引きを見せながら、それを上回るプレーを出し合うといった展開に見えました。もちろん細かいミスなどはお互いあったでしょうが、非常にハイレベルな展開で完全に互角という印象を受けました。

五分五分で迎えたROUND11~12、ようやくA攻めに対する回答を導き出す

ROUND11、LOUDは再三のAラッシュを選択。これまでZETAはSugarZ3roのスーパープレーを除き、Aラッシュに対してほぼフリーでAサイトを明け渡していましたので妥当な選択と言えます。

しかしここでZETAはようやく効果的な回答を導き出します。オペレーターを持つDepをAサイトに配置。さらにヘブンにLazを配置しました。ブリンクを使った1pickはゼロポイントによって防がれてしまいますが、Depを検知したことでオペレーターを警戒するLOUDの足が止まります。その隙にDepがリポジショニング。

この間、Bメインはタレットで比較的前で情報が取れており、SugarZ3roはCTでかなり引き目に守っていつでもスモークでサポートできる構え。LOUD側はAショートにスモークを設置。おそらく、ここにスモークを炊くことでミッド側へのアクションを警戒させようとしたのでしょうが、この位置は誰も見ていません。少し対戦相手のZETAを信用しすぎた選択となったでしょうか。さらに、crow選手がAショートをプラウラーでクリアしたことでAメイン攻めがかなり濃厚になります。

ここでcrow選手がAメインにホウント。すぐに壊され、LOUDがドローンと同時にヌルコマンドを発動したことでAラッシュがほぼ確定。この時点でSugarZ3ro選手が即座に耐えモクをAサイトへと設置し、Laz選手がゼロポイントをAメインへ返します。さらに、これまではインスモークもしくはスモークの後ろで耐えるという形だったところを、Dep選手がスモーク中から飛び出して射撃。1発目こそ外してしまいますがLOUDを混乱に陥れ、2発目ではキルを獲得。さらに混乱するLOUDに対してヘブン、ショートからカバーが入り、これまで通り続けていたLOUDのA攻めをついにサイト中で止めることに成功します。

ここまでの守りではAショートからの突入や、耐えモクからの飛び出しなどのアクションができず人数で押し切られる形でしたが、Dep選手の飛び出しによって隙を作り、同時にcrow選手がショートから飛び出す形を作ることで迎撃に成功。ショートへのプラウラーでA挟みの可能性が低いという情報を得ていたことも、ショートからの突入という判断にプラスに働いたでしょう。

A攻めに回答を出されては、次はBを攻めたくなるもの。そんなLOUDの心理を読み切ったかのように、今度はA1ミッド2B2という配置を取るZETA。クレジットの不安がありましたが、Dep選手がブレードストームでミッドでの1pickに成功。ようやくZETAが本来やりたい動きがハマったように見えました。

非常に細かいところですが、LOUDは高確率でマーケット上にゼロポイントを投げ入れてきていました。国際大会でよく見られる動きですが、ここにLaz選手がわざとかかったようにも見えます。KAY/Oを検知させることでブレードストーム発動中のDep選手を隠したことが、この1pickに繋がったと推測できます。

早めにミッドとBで挟みたかったLOUDですが完全に狙いを外されてしまい停滞。1pickが取れたことで極端な配置をする必要がなくなったZETAは、ミッドにsaadhak選手が見えていたこともあり、Aショート展開を警戒してDep選手をAショートへローテートさせます。Bが薄くはなりますがLaz選手がマーケットからカバーすれば数的同数ですから迎え撃つ体制はできています。

結果的にこのローテートがささりDep選手がsaadhak選手を撃ち抜くことに成功。その後はゼロポイントのミスなどはありましたがシーズ、ホウント、フラグメントなどを駆使してBメインからの突入を足止め。Bサイト中3名でがっちり守れている状況上にローテートまで間に合い、危なげなくZETAがラウンド取得しました。

互角の戦いが続くと思われたが、ZETAの攻めが停滞

攻守交替となったROUND13、ZETAはA側5名でのセットアップを仕掛けます。対するLOUDはAサイトは空け、Aショート2名とミッド2名という、かなりミッド側を意識した守りを展開します。

ZETAはラウンド開始直後にミッドにスモークを炊いているため、ヘブンスモークは省略してショートにスモークを展開し、Dep選手がブリンクイン。しかしここにショートからのスモーク抜きとショックダーツが刺さりTENNN選手が落とされ、Laz選手の体力も削られます。

ここで注目したいのはsaadhak選手のバイです。オーメンは通常スモークとパラノイアを購入することが多いですが、そうするとゴーストは購入できないはずです。しかしsaadhak選手はゴーストとパラノイアを所持していました。この後のスモーク抜きのことを考えると、おそらくAメインからの侵入にはモク抜きとショックダーツで対応することを最初から決めており、そのために弾道が見えないサプレッサー付きのゴーストを購入していたのではないかと想像できます。

ZETAはサイトに入れはしたものの、人数的にも体力的にも厳しい状況。この場合はどこかにファイトを仕掛けて人数不利を覆しに行くのがセオリー。Aショートにスモークを炊いて、人数をかけてインスモークを狙いますが、ここでスモーク抜きでLaz選手が落とされ、さらに人数を活かしてスモーク内に飛び込んだLOUDがSugarZ3ro・Depと次々にキル。大事なピストルラウンドをLOUDが取得します。

ZETAがフルバイし武器差のあるROUND15では、LOUDのプッシュに対してZETAが詰め待ちの体勢。Bメインとミッドのプッシュを見てからAサイトへと展開します。

ここでもLOUDはショートからのスモーク抜きで足止め。同時に、裏警戒していたTENNN選手をsaadhak選手が落とします。

SugarZ3ro選手がAショートへの裏取りを試みますが一瞬遅く、LOUDがショートから突入。pANcada選手がブルドッグで2人抜きし、最後はcrow選手が奮闘しますが叶わず、大事なバイラウンドを落としてしまいます。

このあとのROUND16はミッドへのポップフラッシュからの突入をクラウドバーストとスモーク抜きで対応。

さらに相手のBメイン・ミッドプッシュに対して上手く対応し有利に展開していたはずのROUND17では、Sacy・Lessの二人にひっくり返されてしまいます。

ここまでの展開では、ZETAの戦略は優れていたものの、要所でのスモーク抜きや撃ち合いでLOUDにひっくり返されてしまっていたような印象を受けました。

攻めで唯一取得したROUND19、内容ではLOUDに軍配

その後、実況の河野氏が「勝負のラウンド」を表現したROUND19でも、LOUDはAメインからのラッシュに対してAショートからのモク抜きを徹底。これに対しDep選手が勇気ある飛び出しで1pickを狙いました失敗。さらに不運なことに、SugarZ3roのアストラルフォーム中にLess選手が通過。しかもTENNN選手がロックダウンをヘブン下に置きに行ったことでアラームボットの範囲から外れてしまい、裏抜けを許してしまいます。

そこからsaadhak選手の抜き、Less選手の裏取りなどで人数不利を背負い、SugarZ3ro選手のスモークを活かしたプレーで辛くもクラッチをもぎ取りますが、内容面ではLOUDの方が上回っていたかもしれません。

アストラルフォーム中のすれ違いは確かに不運ではありますし、アラームボットの範囲が外れていたのもSugarZ3ro選手が裏を見ているという判断から仕方のないことではあります。しかし一瞬目線を外していることがサイト内にいる味方に伝わっていれば…。世界大会という厳しい環境ではこのようなディティールが勝敗を分けることもあると痛感しすると同時に、不運という言葉だけで片付けられないかもしれないとも思いました。

再び勝負ラウンドとなるROUND20を落としてしまう

ROUND19を取得したことでかろうじてフォースバイとなったROUND20。ラウンド開始直後、ZETAは中央リンクとハイミッドからミッドのコントロールを狙いますが、戦術的に非常に面白い動きを見せます。

ミッドに対して回収スモークを2つ設置し、手前から順番に回収しながらプラウラーを流すことで壊しにくく。あわよくばミッドを取ろうという動きでしたがフラグメントとドローンで止められてしまいます。実質プラウラーのみで敵のスキルを2つ使わせ、オペレーターの位置の位置も割り出し非常に有利なトレードを展開します。

ミッドのコントロールを得ることに成功したZETAですが、この間にLOUDはシャワーとAメインに配置が完了していました。これまではショート2でメインを空けるパターンが多かったですが今回は逆。さらにショート進行はアラームボットとナノスワームでがっちり止められる形。Sacyもショートに到着しており盤石の構えです。ZETAは吸い込まれるようにAへ…。

動画ではどこに入れたのかよく見えませんが、Sacy選手がAショートにリコンボルトを入れて、映ったところにスモーク抜き。メインから顔を出したpANcada選手をLaz選手が、ワインに隠れていたLess選手はcrow選手が倒しますが、ミッドラークのTENNN倒されます。

人数こそ同数ですが体力は圧倒的不利。残り時間が少ない状態でサイトに入れていないZETAは無理にでも突入するしかなく、最後は撃ち合いをLOUDが制してラウンド取得。

ミッドをコントロールするまでは良かったですが、守る体制が整っていたAサイトに対して情報があまり取れていないかったまま攻めを仕掛けた格好になりました。これまでは戦略面というよりミクロの部分で覆されてしまった印象があるZETAですが、このラウンドで初めて戦略的に崩されてしまったように見えました。

最終ラウンドはクレジットが足りず、大きな武器差の中で敗北。1stマップはLOUDが取得する結果となりました。

最終スタッツ

THESPIKE.GGを参照

総評:キーとなるラウンドを落とし続けたアタッカーサイド。Aサイト攻めへの回答とスモーク抜き、要所の撃ち合いが差になったか

スタッツを見るとKDなどの数字が圧倒的にLOUDが良いため、撃ち合い圧倒されたかのように見えますが、むしろ守りでは撃ち合いを含めて互角の展開だったため、試合を見ていた人であればそのような印象は受けないでしょう。

しかし、特にアタッカーサイドでは勝負ラウンドを落としてエコを強いられてしまうことも多く、その原因は要所での撃ち合いやスモーク抜きといったミクロな部分がメインだったように思います。

一方、守りはどうだったか。7-5で折り返してはいますが、序盤から終盤にかけてAサイトへの攻めを効果的に止めることはできていませんでした。ROUND11で耐えモクやショートのスモークから飛び出すという回答を見出しましたが、もう少し早く回答を見つけられていればあと2ラウンドは取れたかもしれません。

スモーク抜きに関しても、運で片付けてしまえばそれまでですが、LOUDは実行し、ZETAはやらなかった。そもそも撃たないと抜けませんし、LOUDはROUND13のピストルラウンドのように、チームの決め事としてスモークを積極的に抜いているフシすらありました。

戦略面では明らかにLOUDが上回ったラウンドもありますが、ZETAが上回ったラウンドももちろんあり、マップを通して見れば互角だったと言えるかと思います。本当に大きな差はなかったと思いますので、修正次第で次回対戦しても十分に勝機があるのではないかと期待できる内容に思えました。

最後に

試しに書いてみたものの、1map書き切るまでに12000字以上、7時間以上かかりました…。
次いつ書けるかわかりませんが、読む側から見ても長すぎると思いますし、次回はもっとスリムにできたらと思います。
好評であれば将来的にはマネタイズしていきたいですが、しばらくは無料記事で続けていく予定です。もし気に入ったら↓のボタンから投げ銭してくれると嬉しいです。
逆に厳しいご意見もお待ちしています。ありがとうございました。

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