VCT Champions ZETA vs LOUD Group Stage Lower Bracket BIND 前編

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9月8日に実施されたVAROLANT Champions TourBブロック初戦、ZETA DIVISION vs LOUD のマッチレビューです。

9月1日にLOUDに敗戦したZETAはBOOMを倒しロウワーブラケット2回戦に進出。OpTicに敗れたLOUDとの再戦にたどり着きます。
前回の敗戦の反省を生かしてどこまで改善できるかに注目が集まりました。

概要

  • ZETAは初手で前回やっていないバインドをピック

  • ディフェンダー側でバインドのヴァイパーセットに対して対策は見られたが完ぺきとは言えなかった

  • それでも守り5本取れたのは悪くない結果

BAN PICK

ZETAがブリーズ、LOUDがパールをBAN。
ZETAがバインド、LOUDがアセントをPICK。
ZETAがアイスボックス、LOUDがフラクチャーをBAN。
DICIDERはヘイヴンとなりました。

ZETAは相変わらずブリーズをBAN。ここまでのBANPICKを見ても、基本的には固定でBANする決まりになっているのでしょう。ここでLOUDは前回と同じヘイヴンではなくパールをBANしてきました。直前のBOOM戦でパールを勝利しているだけに、ここはZETAとしては計算が狂ったかもしれません。

LOUDは大方の予想通りアセントをピック。個人的にはZETAの初手のピックはフラクチャーになると思っていましたが、ここでバインドをピックしてきました。

前回の試合ではアセント8-13、フラクチャー9-13と、似たようなスコアで敗北したZETA。フラクチャーは改善次第でなんとかなりそうに見えましたがアセントはかなり厳しいように思えました。

アセントを取られる前提で考えるなら、1stマップのバインドは絶対に取得したいところです。

ZETA DIVISION LINE UP

Dep - ジェット
crow - ブリーチ
SugarZ3ro - ブリムストーン
TENN - レイズ
Laz - スカイ

LOUD LINE UP

aspas - レイズ
Sacy - フェイド
saadhak - スカイ
Less - ヴァイパー
pANcada - ブリムストーン

ここ最近のメタはヴァイパーを採用した2コントローラーの構成が主流ですが、ZETAが選択した構成は少し古いように見受けられます。
試合後のインタビューや各選手の配信での発言などを見ると、どうやらTENNN選手の復帰後に合わせる時間がなかったらしく、過去にプレイしたことのある構成を採用せざるを得なかったよう。
LOUDの構成については、なぜかTHESPIKE.GGで過去の構成データが見られなくなっていたため確認ができませんでしたが、見た範囲ではChanpionsの他の試合でも同じ構成で戦っていました。あまり構成をコロコロ変えるチームではないのでこれが基本の構成なのでしょう。

ヴァイパーを取り入れた構成の強みは、やはり攻撃時にAのランプを取りに行くセットアップでしょう。守る側の視点では、これがあるだけでランプの守りがかなりやりづらくなりますし、ラーク警戒でBへの寄りを遅くせざるを得なくなります。
このメリットを捨ててまでデュエリストを2名にし、さらに索敵を削ってブリーチを入れているわけですから、まずは攻撃時にスタンやフラッシュ、ブリンクやブラストパックを活かして、いかに攻撃的に立ち回れるかがカギになってきそうです。
守備時には、強力なヴァイパーセットアップに対してどう対策していくかが見どころになりそうです。

前提知識:ヴァイパーセットアップの強み

この試合を見る前にまず、このオフェンス時のヴァイパーセットアップの強力さを理解しておく必要があります。

Aサイトのディフェンスにおいて、ランプというのは取られればサイト中が挟まれ、リテイクも厳しくなるため、できるだけ渡したくないエリアですが、このヴァイパーセットアップはランプの制圧に非常に長けています。

まずトキシックスクリーンを使用することでサイト側からランプ側へのカバーの射線を遮断します。
さらにランプの前にポイズンクラウドを置くことによってランプからピークして情報を取ることを防ぎます。これでAショートに何人、どのくらい進行しているかが全く分からなくなります。

Aショートの情報を完全に遮断することが可能

ランプを渡したくないからといって前目で守ろうとすると、人数をかけて一方的にランプを守るプレイヤーが潰されてしまう可能性が高いです。ランプは非常に狭いためアビリティを入れられると守り切るのが難しいですし、仮に1killできたとしてもトレードされたら4v4でエリアを広くとられる状況なので大きな不利を背負うことになります。

人数をかけられるとランプを前で守ることが難しい

ランプの制圧が成功すると、今度はヘブンとCTにブリムのスモークが飛んできて、B側からローテしてきたプレイヤーのカバーを遮断します。Aに残されたプレイヤーはサイト、シャワー、ランプの3方向から挟まれますのでサイト内で耐えるのが難しくなります。

ランプを取られるとサイト奥で耐えるのが難しくなる

こうなるとヴァイパーモクの向こう側の情報が欲しくなるところですが、LOUD視点で見れば、スモークを炊いて何もしないという選択肢もあります。仮にスキルを入れてピークしたとしても、

スキルを入れてピークしたくなるが…
スキルを無駄撃ちさせてから攻めることも可能

ヴァイパースモークはゲージが溜まれば何度でも上げ下げ可能なので、相手にスキルを無駄に使わせた後に一方的にスキルを使ってランプを制圧することも可能ですし、

Aの情報遮断でB攻めも成功しやすい

Aに何人残っているかわからなくなるので、AからBへのローテートもしづらくなり、B攻めの成功率も上昇します。

ここで挙げた例の他にもいろいろなケースが考えられます(例えばモクから飛び出したらオペレーター置いてた、とか)。
このヴァイパーセットアップの強力さを踏まえて、ZETAがどのように対応していくでしょうか。

ROUND1はサイト奥で耐え、ROUND2は対策が刺さるも不運な形で武器をドロップ

開幕の配置はA3:B2で、シャワーにレイズ、Aショートにジェットブリーチ、フッカーにブリム、Bロングにスカイというのが基本の形となるようです。

まずはDep選手のジェットがトラック上に載ってオフアングルでショートからのサイト流れを監視し、ランプから抜けた場合でも真上から撃ち下ろせる形。シャワーはTENNN選手のレイズが監視します。その後ろに控えるcrow選手のタスクは、ランプの入りの監視とシャワー側のスキルでのサポート。相手がショートから来るのかシャワーから来るのかによってタスクが変化します。Dep選手、TENNN選手はcrow選手がどちらをサポートするかによって多少動きが変化するため、この3人の間で高度な連携が求められます。

結論から言うとROUND1ではこの守りがさほど刺さりませんでしたが、ROUND2ではかなり刺さっていました。

ROUND1は開始直後、TENNN選手が積極的なピークでsaadhak選手を倒し引くことに成功。
このときcrow選手はDep選手側のサポートを行っていますので、体力削られた状態で1人でシャワーを守り切るのは難しく、1pickだけ取って引いていきます。
LOUDはセオリー通りランプへのセットスモークを炊いてAショートへの圧をかけますが、Laz選手がBロングからトレイルブレイザーをテレポートさせ、シャワー側の情報を取ります。

フェイドが見えたのでA進行濃厚、というところまでつかみましたが、pANcada選手がフッカーへのフェイク。SugarZ3ro選手がランプ中ではなくサイト中で見ていたため、ZETAの意識がBに向き、Dep選手がBへとローテートしかけます。ここでZETAのトラック上に乗る守りの形が崩れます。

SugarZ3ro選手がフッカーのpANcada選手を追い返した後、ガーデンのLaz選手と合流。ロングに来ていないことが確認できたところでLOUDのヴァイパーセットがアップ。手薄になっていたAサイト。トリプルのグレでTENNN選手が飛びます(このグレはこの後何度も出てきます)。今回はLOUDはランプの制圧ではなくサイト流れを選択。バックサイトに一度引いていたcrow選手がランプを取り返す間、LOUDのプラントのタイミングでDep選手が素晴らしい動きを見せます。

まずはヘヴンからaspas選手をキルし、トリプルへとブリンクしてバックサイトのエリアを確保します。ここでクラウドバーストを活用しながらブームボットを破壊し、Sacy選手を倒し、味方のカバーが来るまで耐えることに成功。非常に多くのタスクをこなしながら耐えたDep選手の活躍のおかげでROUND1を取得します。TENNN選手の1pickも効果的でした。
正直なところDep選手がトラック上で待機する形は開幕は機能しますが、一度Bフェイクなどでトラックから降りてしまうと、再び乗り直すのは現実的ではないため、ROUND1ではあまり機能しませんでした。

ROUND2でも同様の守りでスタートしますが、今度はトラック上を使った守りが刺さります。このラウンドではcrow選手が非常に多くのタスクをこなしています。

シェリフを購入しているLOUDはAショート4、シャワー1での進行。ランプを前目で守ることはできませんから、ZETAはDep選手がトラック上からサイト流れを監視します。TENNN選手はシャワーを前めで守っていましたが、スクリーンが上がった報告を受けてシャワー入口まで下がりサイト側を見ます。このとき、SugarZ3ro選手がAショートにスモークを返しています。スモークでAショートの攻めが止まりましたが、この間にトレイルブレイザーでシャワーのコントロールを奪われます。

スクリーンが解除されると、今度は一度渡したシャワーをリテイクするためにcrow選手がシャワーへ寄り、フォールトラインとの合わせでTENNN選手がピーク。少なくとも1名がいることを確認します。
スモーク前で待機していたLOUDは、ヴァイパーのゲージが回復したタイミングで再びスクリーンを上げ4名がランプへ進行。このスクリーンを利用してcrow選手がトラック裏へと戻りランプ出口を監視。このときDep選手はランプ出口を上から見下ろすような形。ランプからバックサイトへの侵入がしっかり警戒できています。

ランプで敵の姿を確認してからは、アフターショックでランプ抜けを止め、その間にDep選手がショート側の2人を倒します。ブリンクしたところでランプからショート側に3人戻ってきていたところはDep選手にとっては予想外だったでしょうか。そのあともシェリフでの不運な2枚抜きなどもありましたがZETAがラウンドを取得。

2つの不運が重なり、武器差があったにもかかわらず4本武器をドロップしてしまいましたが、戦略・戦術面ではZETAが上回ったラウンドのように見えました。

武器差のあるラウンドのプッシュは失敗

武器を4本落とされたZETA、ROUND3ではやはりプッシュを敢行します。選択したのはフッカーからのBショートプッシュ。
フォールトラインが上手く入りはしましたが、飛び出していたaspas選手はブラストパックで噴水側へと引くことに成功。そのあとのフラッシュが噛み合わず、戻ってきたaspas選手に2人が抜かれてしまいプッシュ失敗。Laz選手、TENNN選手もマーケットまで詰めてしまっているので、こうなると囲い込まれてなす術がありません。Sacy選手がシーズなどを返してZETAのエリアが拡大するのを防いだ動きも強かったです。

aspas選手の対応が素晴らしかったのは言うまでもありませんが、この位置関係だとフラッシュやスタンを入れても隠れられてしまう位置関係のため、少しイマイチな作戦だったように思います。もう少し引き付けていれば逃げ場がなかったかもしれませんが…。

この先でも、武器差があるROUND7でプッシュをしかけていました。これは大会でもよく見るシャワー取りをTPで挟むセットプレイでしたが、ここはSacy選手がAショートからテレポーターを監視していたうえ、オービタルストライクまで撃ち込まれてしまい完封。

ZETAに限らず、エコラウンドではスタックするか、セットプレイでプッシュするかというチームが多いと思いますが、当然相手もそれを警戒しているので、もはや何か新しい動きを編み出さなければラウンドが取得できなくなってきているのかもしれません。もちろん普通にやっても負けるので、ダメで元々ではあるのですが。
例えばどこか1カ所のエリアをわざと取らせてから時間差でプッシュするとかでしょうか。

ROUND4~6はLOUDの攻めが光る

ROUND4は、Dep選手のトラック上の配置が見られているのでトリプル裏へと立ち位置を変更。ランプは完全に入れてしまい、サイトへの侵入を削り、サイト裏を抑えるような形を取ります。
一方でBサイトはこれまでフッカーを見ていたSugarZ3ro選手がガーデンに回り、アルティメットオーブを取得します。またロングの奥にスモークを入れてBロングを確保します。
しかしこれにLOUD側のフッカーを取りに行く動きがかみ合ってしまいます。無人のフッカーにブームボットとプラウラーが入りLOUDが完全にエリアを掌握。
ここでBへのエントリーを警戒したZETAはBロングを完全に捨てエルボーとサイト中へ引きます。Aショートは怖くていけませんからこの時点でBロング、フッカー、Aショートという重要なエリアを渡してしまっており、シャワーも見てはいるものの前めのポジションは取れておらず、エリアコントロールで完全にLOUDが有利に。
ここでフッカーからピークしてきたaspas選手にSugharZ3ro選手が抜かれてしまい、これをきっかけにLOUDのB攻めがスタートします。

Bを守る際にロングとフッカーの両方を完全に明け渡すのは、セオリーで見ればかなりまずいのですが、これには理由があると思われます。
下記のクリップを見ていただきたいのですが、LOUDはBサイトへ侵入する際にフッカーからガーデンに向かってプラウラーを流します。

ガーデンにいるプレイヤーは基本的にロング側を警戒していますが、このプラウラーと挟むことによってかなり厳しいプレッシャーがかかることになります。サイトの人間がプラウラーを壊すという手もありますが、Bが2名の配置となると位置バレが怖いですし、最悪壊している間に倒されるという結果にもなりかねません。後述しますが、実際にROUND6ではこのプラウラーが刺さってcrow選手が落とされます。

ROUND4においてはオーブ取得でSugarZ3ro選手のウルトが上がりますから、プラウラーを警戒してガーデンは捨て、少し引き配置にして入れ守りでと判断したのでしょう。ただ、それをするならSugarZ3ro選手はもう少し安全な位置で見るか、最悪Laz選手と一緒にエルボーに下がって完全にリテイクにすべきだったでしょうか。

また、リテイク阻止にもLOUDの特徴的な動きが見られました。それはフッカーを取りに来た選手のさらに裏を取る動きです。ROUND4ではLess選手が残り、テレポーターから来たTENNN選手の後ろへと襲い掛かっていました。ROUND6でも近い動きを見ることができます(これも後述します)。

ROUND5はZETAのエコラウンド。さきほどプッシュに失敗したためか今回は普通にA3:B2で守ります。

このラウンドはほぼ何も起こらずLOUDのA攻めがきれいに決まりました。
流れとしてはこうです。

ヴァイパーセットでランプに圧をかける

サイト侵入のタイミングでトリプルにスキルを入れて制圧

ランプを制圧または引かせた後はヘヴンとCTにスモークを入れてバックサイトまで制圧

ZETA側もSugarZ3roが機転を利かせてサイトに耐えモクを炊いていますが、これをsaadhakに逆に利用され、フラッシュからの飛び出しでで完全にバックサイトまで取られてしまいました。

武器があるラウンドでZETAがあれこれやっていたのはこれを防ぐためであったと言えます。逆に何も対策できないとこうなってしまう可能性が大ということです。

ROUND6では再びB攻め。ここでもLOUDのB攻めが刺さりました。

このラウンドではDep選手がオペレーター出しましたので、ZETAは守りのメカニズムを少し変更しています。
まずDep選手がランプ前の足場に乗ってAショートをオペレーターで監視。これをすることでスクリーンがあってもAショートの情報を取ることができます。
これまではランプ攻めが怖いのでA3にしていたと思いますが、これができるラウンドではA2:B3の配置で守ることができます。
B側に回るのはやはりサポート役のcrow。Bロングでスタン・フラッシュを活用してのキルを狙います。

Laz選手が敵を見た瞬間にフォールトラインで敵をスタンさせて複数キルを狙う作戦で、一見よさそうに思ったのですが、Laz選手が痛恨のミスショット。ここでLOUDのロングからのフラッシュと、フッカーからガーデンへ流すプラウラーの挟みがガン刺さりし、crow選手が倒されます(1kill取ってるのが逆にすごい)。

個人的にはCTにいたSugarZ3ro選手の立ち位置はこれでよかったのか?他にできることはなかったのか?とは思いました。個人の判断と言うよりチーム戦術として改善が必要そうな部分に感じました。
その後、ROUND4と同じようにフッカーのリテイクをさらに裏取りする形でTENNN選手が倒され再びリテイク失敗。今回はロングからpANcada選手が大きく回ってきていました。LOUDの狙いが明確に見えるラウンドになりました。

ここでZETAがタイムアウト。ROUND7で失敗したプッシュの話をしたのか、その後の守りの話をしたのかはわかりませんが、ROUND8では守りのメカニズムがまた変わります。

複数の手札を見せ始めるZETAがROUND8~10を取得

ROUND8ではオペレーターを失ったためA3:B2の配置に戻しましたが、目を引いたのはレイズとスカイの役割交換でした。レイズはシャワーかフッカーを守ることが多いので、ロング側を見るというのはかなり意外な配置です。この意図は不明ですが、開幕にシャワーのかなり深くまでガイディングライトを入れているので開幕の索敵の味変を行ったか、あるいはトキシックスクリーンに対して即爆フラッシュによる対策を狙ったのかもしれません。

LOUDは開幕ホウントとトレイルブレイザーでガーデンの情報を取りに来ます。ZETAはブームボットとインセンディアリーを返して足止め。この間にZETAはジェット・ブリーチをBに寄せてしまい、スカイはヘヴンからバックサイトのみを見るというかなり大胆な配置を行います。前めのエリアが全く取れていないため少しギャンブル気味のプレーにはなりますが、結果的にLOUDがB攻めを選択したためこれが刺さります。

まずはcrow選手のフォールトラインとの合わせでTENNN選手が1pickを獲得。ほぼ同タイミングでフッカーのSugarZ3ro選手が倒されますがここをDep選手がトレード。一度サイト中へと引きます。
ここでヘヴンにいたLaz選手がシーカー発動で位置を割り出し、シャワーのpANcada選手とランプのLess選手を倒してラウンド取得。

続くROUND9ではDep選手がオペレーターを取り出し、スクリーンの上からAショートを監視。LOUDもそれをわかっているので対策としてプラウラーを流し、ZETAはLaz選手がプラウラーを壊すことで対策の対策を試みていました(結果的に壊すのが遅れDep選手はトラックから降りてしまいましたが)。
配置は今回もA3:B2でしたが、ここまで見せていなかったフッカーからのドライピークでaspas選手を倒すことに成功します。

その後はDep選手の対応に少しまずい部分もありましたがcrow選手がローリングサンダーを返して設置を阻止。Bサイト流れも止めてこのラウンドを取得。

ROUND10でもこれまで見せなかった守りを見せます。オペレーターを持ったDep選手がAショートをプッシュして1pickを狙いつつ、前めで守ることでヴァイパーセットの無効化にかかります。結果的に1pickは取れませんでしたがかなり圧をかけることに成功します。

開幕はBを1人で見ていたZETAですが、Aショートに圧をかけた後はDep・crowの両選手がBへとローテート。LOUD視点ではAショートのオペレーターが怖いですからスキルを使わずにクリアリングをすることが難しい。逆に言えばZETAはスキルが来るまではAショートは攻めてこられないだろうと予測ができます。
ここでSugarZ3ro選手がランプ、Bロング奥めにスモークを炊いて時間を稼いでいるのもシブい活躍です。

AサイトをあきらめBへと展開するLOUDでしたが、ここではDep・crowの両選手が素晴らしかった。
ナイトフォールとフラッシュの合わせでエントリーを試みるLOUDですが、まずはオペレーターとフォールトラインでガーデン側の侵入を押さえます。
しかしDep選手の立ち位置はフォローがないと厳しいポジション。フッカーから入られるとかなり厳しいですが、ジャンプピークでフッカーの侵入を確認したcrow選手が素早くアフターショックをフッカーへと返します。
これでブラストパックで飛び込んでしまったaspas選手と後続の足並みが揃わず、aspas選手をSugarZ3ro選手が、フッカーのSacy選手をDep選手がキル。その後は裏と表で連続キルを重ねてZETAがラウンドを取得しました。

一見Dep選手がスーパープレーを見せたかのように見えますが、crow選手のアフターショックがなければこのラウンドが取れていたかはわからなかったでしょう。

ここでLOUDがタイムアウトを取得。

タイムアウト明けはZETAのリズムが崩れたか

ROUND11でもZETAは守りを変えてきます。今度はBロングにオペレーターのDep選手を配置。ラウンド開始直後はSugarZ3ro選手がそれをサポートし、ポジションが取れたらサイトへ引いてフッカーを警戒する形。

しかしこうなるとAのランプ攻めを止める手立てがなくなります。ランプは引き目で守ってバックサイトような配置。
スクリーンが上がったところでLOUDはトレイルブレイザーでショートを、プラウラーでシャワーをクリアリング。ここでZETAがフォールトライン、ペイント弾、オービタルストライクを合わせてカウンターを仕掛けますがこれが不発に終わります。

もう少しひきつけていれば結果は違ったかもしれません。
アテが外れたZETA、この後はイマイチな守りになりました。Laz選手がスモーク抜きで1人倒したところは良かったですが、シーカーとともに飛び出してキルを狙ってしまいトレードに終わります。LOUD側としては4v4でランプが取れればむしろ狙い通りだと思いますから、1kill取ったら引いてリテイクでも良かったように思います。
スクリーンで情報がないためラークを警戒したDep選手のローテートが遅れ、体勢が整う前にTENNN選手がスクリーンの向こうへと飛び出し、crow選手は1killするもトレードを取られるという結果に。特にTENNN選手が飛び出したシーンは、一応ランプへのフォールトラインと合わせたとはいえ、敵の位置が特定できていない状況だったのでかなり非合理的なプレーだったと思います。

ROUND12はシャワー3、Bロング2という配置に。しかしここでLOUDの早いB攻めがかみ合い、早々にエルボーに2人引くという決断をします。LOUD、ここではガーデンはトレイルブレイザーでクリアできているのでプラウラーはサイトへ。同時にaspas選手がブラストパックでエントリーします。サイトを制圧されて5v5のリテイクに。

ZETAはTENNN選手、Dep選手が裏から回ってLess選手を落とし、有利にリテイクを運べるかと思いましたが、微妙に足並みが揃いませんでした。最初にTENNN選手がガーデンをチェックしましたがここに2人いたうえに撃ち負けて人数同数。エルボーからLaz選手がガイディングライトを入れてcrow選手と突入しますがSacy・saadhakの両選手に止められ、最後はDep選手の惜しいプレーがありましたがブレードストームとショーティーの乱数に見放されLOUDがラウンドを取得。ガイディングライトがもう数秒早ければTENNN選手の撃ち合いの結果が変わったかもしれません。
ROUND11と違い、リテイクの内容自体は悪くありませんでしたが、少しの嚙み合いの悪さが結果を分けました。フィジカルの差も少し出てしまったかもしれません。

前半総評:やはりヴァイパーセットが強力。ZETAは完ぺきではないがよく対抗した。

ZETAはヴァイパーセットへの対策を準備していましたし、よく機能した局面もあったと思います。
具体的には

  • トラック上など高台のポジションを活用する

  • ランプは明け渡すがバックサイトは抑えてリテイクに備える

  • 別のエリアを取りに行く

  • スクリーンの前にプッシュを仕掛ける

といった対策が講じられていたと感じました。
しかしこの守りをするには、オペレーターがない限りはAに3人かける必要がありました。ここでLOUDのB攻めが刺さったのがROUND4でした。また、Laz選手のミスショットから崩れてしまったとはいえROUND6のセットプレイも強力でした。
タイムアウト後は守りの配置を流動的に変えることで先手を打ち、ROUND8~10はZETAが連続取得しましたが、それはここまでのヴァイパーセット対策と両立できませんから、ランプを相手に明け渡すことを意味します。
それを見てタイムアウトを取り、ランプへの攻めを通したのがROUND11のLOUDだった、と自分は見ています。

個人的にはA3:B2の際のBリテイク精度が高ければ、この配置を継続してもう少しラウンドを稼ぐことも可能だったのではないかと思います。また、それができないのであれば、逆に前で潰しに行くような動きがバイラウンドでもあってもよかったのではないかとも思いました。

しかし、そもそも構成の時点でLOUDの攻めをしのぐのが厳しいことは予想できていましたから、5本取れれば十分とも言えるでしょう。

最後に

仕事の合間に書きたいなと思っていましたが全然無理でした。もはやChampionsもグランドファイナルまで来てしまい…。ただ、気になる試合はちょこちょこ下記進めていきたいと思います。
もしこの試合のマッチレビューが見たい!というのがありましたらリクエストください。参考にさせていただきます。書くとしてもかなり時間かかると思いますが。

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