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広島原爆に被爆した女性の回想

大阪発の月刊紙『新聞うずみ火』9月号に、15歳にして広島原爆に被爆した女性、寺前妙子さんの回想が掲載されているので引用する。
寺前さんは学徒動員により広島中央電話局で働いていた。

-- 窓から青空を眺めていた時、キラキラと光り輝いて落ちてくるものが見えました。ずんずんと大きくなりながら落ちてくるので、友達に『あれは何やろ』と問いかけようとした瞬間、『ピカッ』と炸裂したのです。真っ白な世界に変わったかと思うと、『ドーン』という大音響が鳴り響き、真っ暗闇になりました --

広島の原爆は1945年8月6日(月)午前8時15分に投下された。
寺前さんは電話交換の夜勤を終え、次の交換手と交代するところだった。
真夏のまださわやかな青空のもと自宅に足を運ぶはずだった。

しかし、その青空に何かが光っている。しかも、どくどん大きくなる。
「なんだろう」と思っていると、真っ白な光が視界を包み、一転して、真っ暗闇になった。
寺前さんは被爆により左目を失明し、右目の上にも大きな傷を負った。

広島中央電話局は爆心地からわずか550mであった。
しかし、コンクリートの建物が爆発の影響を和らげたのだろう。
寺前さんは一命をとりとめ、今93歳である。
とはいえ、1988年から子宮がん、乳がん、甲状腺がんを患い、被爆も影響しているだろう。

真夏の朝のさわやかな青空から真っ暗闇への暗転--この数秒が何万人もの命を奪い、何万人もの人生を狂わせたのである。

写真は米軍機が撮影した広島原爆の原子雲。時事通信ウェブサイトより借用。

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