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日々之雑感 33

前回更新が7月。そして今は年末。えらく放置してごめんなさいまし。

世間ではコミケにFabulousなお姉さまたちが降臨したとか、色々な面白そうなことが起きているけれど、私はFabulousどころか、Miserableな日々。まあ引きこもりんよね。

全然関係ないけれど、タイのバンコクの大きなクラブで遊んだ時のことを時々思い出す。観光客が多いと言われたその箱に実際に入ってみると、外国人が圧倒的に多くて、7割が男性。2割が外国人女性。残り1割はレディ・ボーイと呼ばれるタイ人のニューハーフと、タイ人ゲイ男性。日本人は私たちの集団しかいなかった。

私は日本でもゲイの友達に連れられて、99%ゲイの皆様しかいないクラブで遊んでいたりしたので、そこでも違和感なく遊んで、ロシア人の女の子とお立ち台に登ってみたり、インド人男性とビリヤードをしたりして楽しく遊んでいたけれど、一番楽しかったのはシンガポール在住のイギリス人のゲイの男性と意気投合したことだ。

そのクラブのDJはいまいちで、曲と曲のつなぎがへたくそだった。せっかくいい感じで踊っていても、つなぎの悪さにがくんと落ちる。おいおい…とうんざりしていたら、全く同じタイミングでがくんとしている男性と目が合った。長身で細マッチョでスキンヘッド。どちらからともなく近づいて「あのDJサイテー!」「へたくそすぎない?」と話しているうちにお互いに吹き出して、まあまあ、一緒に飲もうか、と彼のテーブルへ連れて行かれた。

彼のテーブルにはきれいなタイ人の男の子が数人いた。挨拶してもあまり良い顔をしてくれない。「シンガポールで仕事をしているんだけど、シンガポールは同性愛に厳しいから、休みの時にはタイに来て遊んでるの」とイギリス人の彼は言った。彼が流暢なタイ語で私を紹介すると、やっとタイ人の男の子たちも打ち解けて拙い英語で(私の英語も拙いけど)話してくれるようになった。

あー、この曲は踊らねば!というタイミングもイギリス人の彼と一緒で、笑いながらまず私をお立ち台に立たせ、その後から自分も登ってきて、一緒に踊った。くだらない冗談を言いながら、お酒を飲んで、大笑いして、チークダンスまでした。彼は当然ゲイなので私に変な気持ちを起こすこともない。私は私でゲイの皆様に慣れているのと、なぜか昔からゲイだらけのクラブに行っても普通に溶け込めるという特性があるので、本当に楽しんで、私の連れの男の子も混じって大騒ぎした。

クラブが終わる頃、一緒に行った連れの男の子とクラブを出たところにある屋台でご飯を食べていたら、そのイギリス人の彼が出てきた。「これからどうするの?」と言うので数日後に日本に帰る、実は母親が体調を崩していて次にいつ海外に出られるかわからないんだよね、と話した。すると彼は「まぁ…」と驚いた顔をして「まずあなたのお母様が無事に健康な生活に戻れるようにお祈りするわ。そしてまたあなたが自由な魂を持ってインドや色んな国に行けるように。大変だと思うけれどあなたには乗り越える力があるわ。God Bless You.」と大きな身体でハグして、私の両頬にキスしてくれた。そのゲイの男性特有の優しい言葉使いと、彼の優しさに思わず涙が出そうだった。

日本も随分とLGBTに対しての偏見は減ったように思うが、まだまだそれは続いている。私は彼ら、彼女らと遊んで育ったおかげで偏見なくいられる。彼ら、彼女らの優しさや、ある意味義理堅い部分もたくさん知っているし、逆に妙に嫉妬深い部分や、ゲイ特有のねちっこさも知っている。それでも彼ら、彼女らは普通に暮らしている。私も普通のこととしてそれを受け止めて、時には喧嘩をしながら、今でも彼ら、彼女らとつながっている。

とても仲良くなった男の子が「実は…」とカミングアウトをしてきたこともある。でも私はとっくに気づいていて、知ってたよー、だから何?と答えると、彼は心底ホッとして、「まどかちゃんとは仲良くしていたいから、ちゃんと伝えなくちゃいけないと思った」と言ってくれた。セクシャリティと友達関係は別でしょ?私は何にも気にしてないよ、と言うとにっこり笑ってハグしてくれた。

彼とは長いつきあいで、10日ほど彼の家に居候したこともあるし、寒いからといってハグしあったまま眠ったこともあるし、ある意味、女友達よりも全てをさらけ出せる。

で、何が言いたいかというと、とりあえず外国人のゲイの男性はよく「Fabulous」「Marvelous」という大袈裟なくらいの褒め言葉を口にするので、Fabulousなお姉さまがGood Looking Guysを置いてコミケに登場したという記事を見て、タイでの楽しかった一夜を思い出しただけだ。

彼は元気かな。
あの優しい言葉と、ハグとキスはずっと心に残っているな。

そんなことを考える2016年の年末である。
皆様、Fabulousなお年を!



©madokajee

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