子連れdeオリエンテーリング 0~2歳編

■プロローグ■  

 こんにちは。オリエンティア Advent Calendar 2021の8日目の記事を担当します、ES関東クラブ所属の渡辺円香と申します。あ、名前は知ってる。よく参加している人ね。くらいの認識の方が若い方には多いでしょうか。そうです。大会参加数は全国でも驚きの数値を叩き出しています。旅、地図、走るの好き、単にそれだけで筑波大学入学時からかれこれ四半世紀以上ずーっと活動してます。ところが近年、長く続く歴史上、大革命が起きました。3年前に息子が誕生して、世界が一変しました。

 変化は多岐にわたりますが、身体的には走れる筋力を出産後一時的ににすべて失いました。現在も増えた体重6kgが全く戻らない=とにかく重くて速く走れない、前十字靭帯再建手術後の右膝の可動域が正座できないほどヤバい=バランスが悪い、トレ時間捻出が難しい=痩せない、向上しない、の苦しみに喘いでいます。
 参考までに数年前までは毎月150-200kmを走り、オリエンテーリングやロゲイニングでは入賞常連、世界のさまざまなオリエン大会出場、ハセツネ含むトレランレースやハーフマラソンでも年代別表彰多数、フルマラソン4回ともサブ4、とそこそこなレベルに存在していました。このようにオリエン以外にもアウトドアスポーツに邁進してましたが、そこから一気に転落、急降下です。

 といった窮地に陥ってる現在もオリエンテーリングは続けています。やはり好きなことすると心身が喜び、日常からの解放になりますし、習慣化しているのもありますが、実は意外にも子連れで参加しやすいからでもあります。我が家はパートナーのK氏もゴリゴリの積極派のため、物理的に難しい場合を除いて双方が参加することが必須です。そのため出走と子守を交代でする必要があります。オリエン以外の走るスポーツはほとんどが一斉スタートです。一斉スタートでなくても、競技時間が長いので交代はできません。ロゲイニングは1歳半くらいまではバギーに乗せて徒歩参加できましたが、動きが活発になると長時間拘束するのは無理です。今後息子が長い距離を歩けるようになったら、また参加していきたいですね。

 ■子連れ dakara スタート時間調整■

 オリエンテーリングはスタート時間に幅があり、申し込み時の交渉しだいで概ね調整することが可能です。これまで数多くの大会でご配慮をいただきました。改めてこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。おもしろエピソードの一例として今年4月の北海道での4-Sprint大会で実際にあったスタート時間とのせめぎ合いを記述します。

 この大会は2日間異なる地図で4本スプリントを走るといったお得度の高さから、出場を即決しました。しかしながら、過密スケジュール故の時間的制約から、スタート開始から閉鎖までの時間が問題です。いつものように調整をお願いすると、いつものようにほぼトップとラストスタートにしていただけました。
 しかし、いざそのリストを見るとスタート間隔が、それぞれ27分、27分、26分、27分と懸念していた通り、会場からスタートまでとゴールからの移動時間を加味すると非常に短いではありませんか!仕方ない、遅刻するしかないか・・・、とあきらめかけたものの、その心配は杞憂でした。当日なんと公式掲示板には会場からスタート、ゴールまでの道順地図が掲示してあるではありませんか。ありがたや!そこで息子を適切なところまで連れてってバトンタッチする方式が採用されました。息子は歩かせると1キロ30分ですからいつ到着するか不明であるため、不安定な15kgを抱っこして15分程度歩きます。まぁちょっとした拷問です。が、遅刻せずに繋ぐにはそれしか方法がありません。
 1本目はK氏が先でスタートゴールが近接のため、やや余裕をもって息子タッチ。2、3,4本目は私が先スタートです。ツボっている暇はありません。There is no time to tsuboru. 全力で走りゴールし、一心不乱にそこからタッチ場所までさらにギアを上げて猛ダッシュし息子を受け取る。ほとばしる汗。そしてK氏もスタートまで爆走する。これは…、レース外の巡航速度が一番速いことに。
 努力の甲斐ありギリギリで遅刻せず、4本とも出走することができました。私の最大レースタイムは24分13秒で、移動してK氏が2分47秒後スタートに間に合ったって結構すごい。全て繋げたことがレース自体より満足度が高いという謎体験ができました。

1本目はゴールで待ってました~

 他にも、2019年4月の全日本ロングでK氏が予想以上に遅かったため、私が大幅遅刻で出走し、ロスタイム抜いた実タイムではASクラス優勝、幻に消える事件や、2019年10月の新潟大大会で私が予想以上に遅かったため、スタート閉鎖時間になってしまったが、運営者様のご厚意でK氏が出走するも会場発が遅くなり、発車ベルの鳴っている新幹線に飛び乗る事件や、2021年6月の東工大大会でこれもスタートゴール途中で息子バトンタッチ方式採用も私が惜しくも1分遅刻したが、何故か1ポトップラップでASクラス快勝事件など発生しています。
 このような経験を通じ、コース距離、アップとテレインの質から概ね各人の所要時間をほぼ的中させられる、という特技を獲得しました。また、家庭内不和の要因回避のために、かなりの緊張感を持ってレースに挑むようになりました。エリート現役時代とは違う意味で真剣に取り組む必要があります。と、いろいろありますが、運営者様の個別のご対応には心底感謝しております。いつもありがとうございます。

■子連れdemo海外遠征■

 まだ歩き出さないうちの方が、海外遠征に行きやすいんじゃないか。2歳未満は航空運賃も大人の10%だし、月齢8ヶ月なら機内で憧れのバシネットが使える、、今行かないと後悔する、、、とフツフツ思い立って2019年7月にラトビア開催のマスターズに行ってきました。
 マスターズ参加は4回目でその他オリエンの海外遠征も数え切れずで慣れているので、その辺の苦労はありませんでしたが、いかんせん荷物が大量のオムツやレトルト離乳食や粉ミルクや夏なのに防寒具(北ヨーロッパでは必須)やらで夜逃げレベルで莫大だったり、息子の風邪がうつって発熱したまま数レース走る(今は絶対できない)など、まぁ大変でした。それでもとても良い思い出と経験ができました。子連れ海外遠征に味を占め、翌年もスロバキアマスターズに行くつもりでしたが、中止となり叶わず。躊躇せず行けるときに行動しておくべきという教訓です。海外大会はほぼ青空会場なので、乳児との遠征には軽くて2人用位のテントがあった方が良いです。国内でも大活躍です。マスターズでは託児所が用意されていますが、0歳児は利用できなかったので、息子バトンは周りの日本人参加者の皆様(日本から3~40人は毎年参加者あり)に代わる代わるお世話になることで解決しました。

首都リガの旧市街の中心部を走りました
コンタインターバル2.5mの真っ白微地形♡
ぼくの初海外はラトビアです。このバギーも持ってったさ。

■子連れ ni やさしい大会■

・家から3時間以内の場所
  移動の長時間拘束は辛いので、北海道や鹿児島など我が家は家から近い羽田から一気に高跳びしたほうが、中部東海地方の山奥よりも行きやすいです。
 飛行機と言えば国内線は3歳未満で席未使用が無料です。そのためオリエン問わず、たーくさん乗っておきました。先日3歳になるまでに国内線13往復していた。異常か。また宿もほぼ無料のところが殆どなので、費用面では子が小さいうちが遠征し時だと思います。

・幅のあるフリースタート制
 関東のスプリント大会や山川さん練習会に多いスタイルで、確実に余裕をもって走ることができて安心です。

・駐車場やスタート、ゴールが会場隣接
 言わずもがな

・リレー競技
 ふたりの走順を離せば万事OK。戦略とか一切関係なくなりますが。

・会場付近に遊具がある 
 遊具はとても奥が深いことが分かりました。多くの公園に行きましたが、似てるものはあれど、どれひとつと同じ複合遊具に出会ったことがありません。特注物かなんなのか?

・託児所がある(神レベル)
 茶の里入間大会様、毎年設置してくださりありがとうございます。他にもいくつかの大学大会様、WMGプレ大会様、その節はお世話になりました。つい先日、息子は両親共にいなくなっても泣かないまでに成長いたしました。。。

■子連れ no 今後■

 3歳未満は動く荷物のようなものなので、簡単に連れ出せてましたが、今後自我の成長と共にそうはいかなくなるでしょう。年齢に合わせて私も向き合い方を変えねばならなくなるかもしれません。息子がオリエンテーリングをやるかどうかは本人自身が決めればよいことです。万事において、親が強制したり期待をかけたりしたくはありません。ただし、どうしてもやらざるを得ない環境に置かれていることは間違いないでしょう。家族総出でプレイできるスポーツは貴重ですし、何かに熱心な家庭に産まれたのも運命と言っちゃそれまでですが、何らかのアドバンテージ、ギフトになるのではと思います。
 結果的にそうなっただけですが、ひとつの実験があります。私は妊娠中の体調と経過が良好だったので、自己判断でオリエンとロゲ合わせて8ヶ月間で36レースに出場しています(ん?毎週末なん?)。ゆったり運動ですが、アドレナリンやらセロトニンやら地図読みのソレやらアレやら、胎盤へその緒通して行き渡ってるわけです(イメージです)。これが、もし、やるにしても否でも何かしらどのように息子に影響するのか?まぁたった一例ですんで、実験の信憑性は無いですがね。でもどっち方面に行くのか、結果が楽しみな未来があります。

■エピローグ■

 誰でもオリエンテーリング界に簡単に貢献できる最大でありシンプルなことは、つべこべ言わず多くの大会に参加することです。
 あなたが大会を運営する側に立ったとき、どんな下っ端であっても必ずこう思うはずです。「あぁ、運営って大変だな。でもこんなに時間や気を使って創り上げている地図もコースもおもてなしもある。これを1人でも多くの人に参加して味わって欲しいな。」と。
 


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