あもとの出会い①

秋のにおいを感じると色々なことを思い出す。
それぞれの季節のそれぞれの匂いで様々な思い出が蘇るのは人類共通の感覚だろうか。
2019年10月26日、人生で初めてフクロウカフェに行き、あもと対面した。出会ってから1年経過したことになる。あもとの出会いと迎える日までのことを、今一度まとめようと思う。
 
2019年、梅雨の時期に家を探し始めた。首都圏の家はなんて高いのだろう。駐車場も含めて月に12万円支払う。しかも壁の薄い狭い部屋にこの金額だ。もったいないと思い始め家探すことにした。ちょうど消費税8%から10%に引き上げられる年だったため、増税前にという意識も多少あった。家を買うことは、ローンという借金を抱えることになる。真剣に調べ、不動産会社の人に対して値下げ交渉も重ねて、今までしたこともない手続きを沢山した。お金を借りるというのは不思議だ。大きなお金の動きが額面上にのみに記録される。あまり実感なきまま月々の返済が始まった。
2019年9月初旬、残暑の中引っ越しした。引っ越し前後はコストコやイケア、島忠などで色々な家具を購入した。2019年は首都圏にとって災害の多い年となった。引っ越してから3日後に台風上陸、その後も何度か台風が首都圏を直撃した。入居1ヶ月にも満たないのに我が家の屋根が剥がれて火災保険を利用して屋根修理をすることになった。不幸続きでもなく、保険見舞金とやらで1割多くお金が振り込まれ少し得した。火災保険は使えば使うほど得になるなんてどういう仕組みなのか。保険会社は大丈夫なのだろうか。
家の中がようやく片付き、家具も揃ってきた時に夫がシンガポールへ出張に行った。帰国時に台風がぶつかり足止めをくらった。1週間以上1人で夫の帰りを待っていた。こんな広い家に一人は寂しすぎる、心に隙間風が流れる中ふと、ペットを飼いたいと思い始めた。
当初は犬を考えていた。身寄りのない、保護された犬、いわゆる里親になりたいと思い、譲渡会に参加した。共働き夫婦には犬の飼育は難しい(寂しがってしまうから)という話を聞き断念した。その後ペットを飼うことを諦めかけた時、夫が急にフクロウカフェに行きたいと言った。近くのフクロウカフェを探し行ってみることにした。
ネットで調べたところ、市内に1軒フクロウカフェがあった。夜中の20時半まで営業しているため、17時半頃家を出てカフェへ向かった。近くのパーキングに車を止めてお店まで歩いて向かった。Googleマップを頼りに探していたら、道路を挟んでガラス越しにフクロウが見えたのですぐにここだと分かった。窓から店の中を覗くと、フクロウや鷹の姿が見えた。タワーに500mLペットボトル程の背の高さのフクロウがいて、こんなに小さくて可愛い置物みたいなフクロウがいるんだと思った。少し緊張しつつも扉を開けて入った。多くのフクロウ達が一斉にこちらの方を見た。丸太やホコに繋留されているフクロウや鷹達。鷹の鳴き声が大きく響いた。店主からフクロウの触り方を教えてもらった。
フクロウに対して獰猛なイメージが強く、クチバシで突かれたら痛いのだろうと思い最初は怖くてあまり触れなかった。よく慣れたフクロウもおり、その子は触られても全く気にしない様子だったのでずっと触っていた。メガネフクロウと呼ばれる種類でとても慣れやすいらしい。手に据えることもできるということでその子を据えた。片手にずっしりとした重みを感じる。1㎏あるのかな、ずっと据えていると筋トレのように腕が痛くなってきた。フクロウに興味が湧いて、ずっとフクロウの飼育方法について店主としゃべっていた。気づけば8時半近くまで話し込んでいた。
帰宅してから、フクロウカフェのインスタアカウントを見つけてずっとフクロウを眺めていた。その中で里親募集の投稿と見つけた。アフリカオオコノハズクという種類で名前はアモである。ちょう店のガラス越しで見えて、目に留まったフクロウであった。当時、アモを触ろうと手を目の前にもっていくとピピピと鳴いて突こうとしたため、あまり触れられなかった。アフリカオオコノハズクはとても特徴的なフクロウで、何度かメディアにも取り上げられている。犬や猫など危険なものを見ると、急に細くなって鳴きだす。この行動を擬態といい、木の枝のように細くなることで敵から隠れようとしているのだ。当時も、窓際にいたアモは、犬が目の前の歩道を歩いている姿を見て、細くなっていた。アモの個性的な姿にとても惹かれ、今回の出会いを運命的なものと感じるようになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?