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【ナナシス】キャラクターのプロフィールにおける「所属」欄を眺める

アプリゲーム「Tokyo 7th シスターズ」(以下「ナナシス」)に関する記述です。作中の記載を拾うだけの小ネタ集に近く、特に感想や考察を記しているものではありません。また、記事中の情報は全て作成当時のものです。

要約: ナナシスに出てくるキャラクターの数は実に多い。それぞれのキャラの把握の一助を担うプロフィールの記載はシンプルなはずなのにクセの強さを感じるため、特に「所属」欄について気になる点を纏める。また、「鳳チャチャ」さんのプロフィールの「古書堂」というワードの扱いについても触れていく。最終的には特に何もない。

以前(2019/12/13)に公開しました記事にも少し関連する話ではありますが、読んでなくても問題はないです。


[はじめに]

昨年2020年末にメインストーリーの最終章とされるEPISODEシリーズの6.0が公開され、セブンスシスターズというレジェンドアイドルを登場キャラクター各々の形で追いかけたり影響を受けたりする姿勢を描いたところから始まったナナシスの物語は、新たな「シスターズ」として今を歩む、という形でひとまず幕を下ろしました。

今後ナナシスというコンテンツの展開はどうなっていくのか、EPISODE4.0以降特に敵対する勢力の描き方が極端ではなかったか(これはライバルユニットのKARAKURIのエピソードなどでも滲み出ていたことなので今更ではあるのですが…)など不安要素はなくはないものの、「誰かを追いかけ走り出した背中が、誰かに目指される存在になっていく」過程を紡ぐ物語が大好物な私にはその始めから区切りまでを描いてくれたナナシスは実にしっかりと心に響いたのでした。


さてそんなメインストーリーが展開されていたナナシスですが、ファンの間でよく挙げられているように思われる不満点の一つとして「メインストーリーに関わるキャラクターが777☆SISTERSの12人(とマネージャーのコニー)及びライバルユニットに限られ、他のユニットの様子がわからない」ことがあります。

ナナシスの中心的な舞台である事務所「ナナスタ」には作中の2034年時点で少なくとも38人が所属しており、その全てのキャラクターが関わる物語を制作することの困難さは察するに余りがありますので、これは致し方ないことと割り切るしかないのかもしれません(もちろん、「平等に扱うことができないなら初めから登場させないでくれ」という意見があることも承知はしていますが)。

見渡せば、ライバルユニットの4UやKARAKURI、及び「エネミー」という物騒な括りであるAXiSと「レジェンド」にしてナナシスという物語の肝であるセブンスシスターズを含め、このゲームには50人以上のボイス付きのキャラクターが存在しています。アイドルを題材としたアプリゲームコンテンツとして同ジャンルの他の作品と比較しても、なかなか人数が多い部類に入るのではないでしょうか。


そんな人数の一人一人について考えを重ねる手助けとなるのがゲームアプリ内または公式サイトにて確認できるキャラクターそれぞれのプロフィールなのですが、アプリ稼働開始から7年が経とうという今あらためて見るとなかなか不思議な記載が散見されます。本記事は、そんなナナシスのプロフィールについて思ったことを書き殴っていく備忘録、あるいは小ネタ集となります。主に記載内容というよりは形式や統一性などの面なので、ともすると揚げ足取りになりかねない内容なのですが。余力のある方は、どうかお付き合いいただけますと幸いです。


[プロフィールの記載事項の確認]

さて、実際にナナシスにおけるキャラクターのプロフィールがどのように記載されているのかを、押しも押されもせぬ 777☆SISTERS のセンター春日部ハルちゃんの画像を例に取りつつ見てみましょう。ナナシスはアプリの大型アップデートの度にこちらのプロフィールページも含めレイアウトが大きく変わっていますが、記載される項目については⑤のユニットの箇所が追加されたくらいで大きな変動はないと記憶しています(間違っていたらすみません)。

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 まずはニックネームや血液型、身長体重及び誕生日といった項目が並んでいます。これについては基本的な事項で特に思うところもない…ということにしておきます。ナナシスはエピソードの進行により2034年から2035年に作中年が進んでおり(0.7 および 5.0 などを除く)、詳細なプロフィールの設定について齟齬が出かねないためむしろ伏せてもいい項目もあったのではないかとは思っています(アプリ稼働開始当初からどこまで展開を想定していたのかにもよりますが)。

 次に「好きなもの」「特技」。どちらもキャラクターについての想像を膨らませる手がかりとしてとても重要な項目です。それにしても上掲のハルちゃんのプロフィールにて記されている文章も味わい深いですね。詳しくは後述します。

 特技に続いて記載されているのが「所属」。ナナシスのプロフィールを纏めて眺めた場合に特に不思議な記載が多いのがこの箇所ですので、本記事後半にて取り上げます。

 そして「CV」。担当されている声優さんのお名前が記載されています。人によっては最重要項目かもしれません。プロフィールが用意されているのは声ありのキャラクターのみで、また声ありでもナツミちゃんを始めページが用意されていない子もいます。ゲーム中でカードとして登場しているか否かが分かれ目のようです。…『人攫いのSOL』という例外がいましたね、なんであいつもプロフィールページあるんだ…?

⑤ 「ユニット」ではそのキャラクターが所属しているユニット名が表示され、現在のアプリのバージョン(Ver 7.7.7)ではタップすることでユニット情報のページに遷移することができるようになっています。ヘルプ画面にも記載されている、おそらくナナシス運営イチオシの項目。

 最後に数行にわたる紹介文が載せられています。どんなキャラクターとして造形されたのか、またどういうキャラクターだと思ってエピソードを読み進めて欲しいかという公式からの指針のようなものでもあるので、メインエピソードを読む前と読んだ後で味わい深さが変わる項目でもあります。
特にEPISODE5.0の中核をなすマネージャーモモカとSoLの4人についてはこの文章を読むことがある意味EPISODE5.0のおさらいになりうると思えるほどの文量と内容になっており比較的熱のこもった項目であると言えるでしょう。

プロフィールページの全体的な印象として、基本的な項目は揃っていて充実しているようにも思えるものの、例えば「利き手」や「出身地」などの書いてあっても良さそうな項目が欠けていることにも気づきます。
…出身地の記載がないことについては、以前の記事でも述べたとおり「近未来の日本や世界についての描写のリアリティをある程度確保するためにあえてぼかしている」のが理由だと推測されますし、またそうした見えない項目を埋めようと考察するのも作品ファンの楽しみの一つであるため網羅されていないことを問題視するわけではありませんが。


[プロフィールは作中の誰が書いているのか]

さて、プロフィールページの記載項目を確認していて気になった項目の一つが、「好きなもの」「特技」の欄。上掲のハルちゃんの場合、

好きなもの: 歌うこと キーホルダー
特技: お掃除ですッ!!

とあり、どうやら本人がこの記載に関与していることが伺えます。

他の子についても同じ傾向が見られます。例えば前園リシュリちゃんの場合

好きなもの: えりんぎのお味噌汁〜
特技: 服作り〜

となっており、どうやら本人が内容に関与しているというより支配人(プレイヤー)の質問に対して答えた言葉をそのまま記しているような雰囲気となっています。ソファで寛ぎながらリラックスした表情で答えているリシュリちゃんの様子が目に浮かぶようですね。

私がこの推測に至った経緯としては、「ターシャちゃんの本名について支配人が尋ねることに失敗している疑惑」も根底にあります。詳しくは以前の記事にて(2度目)。


また、応対しているのが支配人であると推定できる別の根拠としては、上杉・ウエバス・キョーコちゃんの以下の回答も見ておきたいところ。

好きなもの: ホラー映画、が嫌い!
特技: アンタにはあんの?

…この態度を取れるのは支配人相手だからと思いたいところで、このプロフィールページの記載の内容が彼女の履歴書として作中で流通していないことを祈るばかりです。

ところでここまでで挙げた3人のうちハルちゃんとキョーコちゃんについては、プロフィールページの最後の文章で趣味についての言及もあります。これは本人の言ではなく支配人が書き足したか単なるメタ的な説明文のどちらかだと思われますが、それまでのプロフィール欄と齟齬のある記述が見られるキャラクターもおり、本人の思う「好きなもの」と周囲の感じる「趣味」の差が表れているようでなかなか興味深いところです(特に、ホームページ上では省略されているがアプリ内での有栖シラユキちゃんの記述において顕著)。

キャラクターのプロフィールページが履歴書風だったりするのも他のアプリゲームや紹介サイトなどでよく目にしますが、ナナシスの場合同じページに異なる目線からの記述を混在させることで事務所での日常やキャラクターの奥行きを(意識しているかどうかは措くとして)感じさせてくれるのはなかなか面白いと感じました。


[とりわけ不思議な「所属」欄]

ではようやく本題の「所属」について。ハルちゃんやキョーコちゃんの場合は「所属: 高校生」となっていましたが、この記載に違和感を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。所属には団体名などを記すものであり、高校生という身分や属性はそぐわないのではないか、と。リシュリちゃんについては「高校生 衣服同好会」と併記されており、団体名が併記されてはいるものの結局高校生という表記が残るためちぐはぐな印象を受けてしまいます。
これは元々キャラクターが含む「成分」や「属性」というような意味合いの項目名にしようとしたところ、前者ではアイドルのプロフィールとしての雰囲気に合わず、後者ではゲームシステムとしての属性と混同する恐れがあったがために「所属」という表記に落ち着いたのではないかと推測されます。

そういった推測を念頭に置くと、アイドルを扱う作品のためキャラクターの年齢が10代から20代前半に偏り、多くを学生が占めがちなため「職業」という記載もそぐわないと判断されこの形になったのだろうとも想像できます。実際、ナナシスに登場するキャラクターのうちこの「所属」欄が小中学生、高校生のいずれか単独の表記であるものがほとんどで、それ以外に該当する子はそのことが特色として作用していることが大半です。それでは、その「特例」についていくつか見ていくことにしましょう。取り上げる人数が多いため、リンク先は省略いたしますので適宜お手元にてナナシス公式HPキャラクター紹介ページを参照の上ご覧ください。

〈天堂寺ムスビ〉 所属 高校生 生徒会

聖コルシカ女子の生徒会長であり、そこで発揮しているリーダーシップはアイドルとしての彼女も輝かせています。EPISODE6.0 での彼女の見せ場も実に感動的なものでしたね。あの役回りはムスビにしかできません。…ところでなんで所属に学校名を頑なに書かないんですかね?

〈角森ロナ〉 所属 高校生 アルバイト

アルバイトをしている場合はこの項目にその旨記載が入るようです。ヒメちゃんやムラサキさんは家の手伝いの範疇として考えているため記載がないのでしょう(しかし「実家の神社の手伝い」を併記している逝橋エイちゃんの存在があり、こちらも統一性はなし)。ちなみに他にアルバイトとの併記はアユムちゃんのみ、高校生以外での学外の仕事との併記は「大学生 モデル」となっているシサラさんくらいとなっています。

〈白鳥トモエ〉 所属 高校生 帰宅部

頭を悩ませる存在。トモエが帰宅部であることは彼女にとって大事な要素であることは確かなのですが、この記載のため他の学生キャラで部活動を併記していない場合がどういうことなのか謎が生じます。深く考えることでもないですが…

〈アレサンドラ・スース〉〈シャオ・ヘイフォン〉〈ターシャ・ロマノフスキー〉〈ジェダ・ダイヤモンド〉 所属 留学生

以前の記事でも取り上げた通り、作中で彼女たち海外勢4人が留学用のビザで来日しているであろうという推測の根拠がこちら。ただしスースについてはスカウト経緯を描いたエピソードでの様子から当初は観光目的での来日の可能性が濃厚であるため、現行の制度に照らしての考察は難しいところです。

〈九条ウメ〉〈鰐淵エモコ〉〈佐伯ヒナ〉 所属 亜麻百合高等学校軽音部

アプリのプロフィールページにおける記載ではユニット名である「4U」の名前も併記。なんでナナスタのライバルユニットであるこっちでは学校名までしっかり明記されているんでしょうか。いや、所属という単語の使い方としては多分こっちの方が正しいんですけど…

〈空栗ヒトハ/フタバ〉 所属 中学生

一方こちらは双子でのユニット「KARAKURI」として、4U同様ナナスタのライバルユニットという立ち位置。なのに所属からユニット名は省いた上で学校名も完全にぼかしています。この差は一体なんなのでしょう。

ちなみに、「レジェンド」枠のセブンスシスターズの6人および「エネミー」枠のAXiSの6人については所属欄がそれぞれのユニットの名称が記されているにとどまり、4Uの三人と同様字義的には正しく記載されているのに他のキャラクターよりも情報量が少なくなるという何とも言い難い扱いを受けています。


[鳳チャチャさんの「所属」の不思議]

ある程度各キャラクターのプロフィールページを眺めていると、用いられている単語が不思議な…いや、結構クセが強い事例が多いんですけど、その中でも飛びぬけている例が一つあることに気づきました。鳳チャチャさんの所属についてです。

「所属: 実家の古書堂」

古書堂。なかなか見慣れない単語ですね。彼女については好きなものも「紅茶」「帽子」と並んで「古書堂巡り」と設定されています。使われている文脈などから「古本屋」「古書店」などと同義であるとは了解できるのですが、検索しても創作作品のタイトルとしての使用例がヒットするばかりでそれ以外の用い方に思い至らない単語です。

タイトルとしての用例にしてみても一番有名であろう「ビブリア古書堂の事件手帖」以前に期間を絞って検索するとweb上での言及例はほとんどありませんし、同作でも公式サイトに「舞台は古本屋」である旨言及があり古書堂は固有の店名であるとそれとなく示すような記載となっています。


「日本の古本屋」データベースなどで検索すると富山県に「今井古書堂」というお店が存在することは確認できましたが、これも同様に固有名詞であって一般的な言い回しとは考えにくいものです。ナナシスの設定を作ったスタッフにこちらの古本屋さんとゆかりのある方がいらっしゃった…などの可能性を想定しても楽しいのですが。


ではなぜナナシス公式はわざわざ「実家の古書堂」という記述をチャチャさんの所属欄に設定したのか。

これは古本屋のことではなく、あくまで「古い書堂」であることを強調するための表記だったのではないでしょうか。書堂には「読書のための部屋、書斎」という意味や、そこから転じ朝鮮王朝時代の私塾(ソダン)のことを指す場合があるといいます。

ナナシスという作品の舞台は2030年代中盤。現代よりもさらに未来で各々の持つ個人端末は高性能化し、描写のある「ホロコン」は空中に画面を投影できるような機能も備えているようです。そのような時代に紙の本を読む習慣はどれだけ残っているのでしょうか。読書家の面を強調されるカヅミちゃんというキャラクターがナナシスには登場しますが、これは彼女のような存在が作中世界では稀であること意味しているのかもしれません。

そうして紙の本の流通が廃れた未来、物理的な書籍はマニアにとってそれだけで価値があり、また本が取り揃えられている場所は本を売るだけでなく「読書する空間」も丸ごと提供するスペースへと業態の変化を余儀なくされていく。長い歴史を持った古本屋であったチャチャさんのご実家もその流れには逆えず書堂としての営業へシフトしながら、本と文化を脈々と受け継ぐことに決めたのかもしれません。

現実世界でも2010年代後半から映画館が映画という作品を提供する場所から、応援上映といった特殊な形態での上映や音質の追求、4DXといった設備の導入などの工夫で「映画館でしかできない体験」を提供する施設へとその性格を変えつつあるように思います。エンタメの街 Tokyo 7th で生き残るために古本屋の多くが同様の変遷を辿り、いつしか「読書という体験を提供するスペース」としての実態を表す「書堂」という形態の店が従来の書店に代わり台頭し、呼称としても売買に重きを置くイメージの「古本屋」「古書店」に代わり定着したのではないでしょうか。


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…と、思いながらチャチャさんの登場するエピソードをいくつか読み返してみると。

画像3

(EVENT.042 ナナスタ、聖なる夜の悪だくみの巻 2018.12 更新)

いや「書斎」って普通にいうんかーい!!


画像2

(EVENT.042 ナナスタ、聖なる夜の悪だくみの巻 2018.12 更新)

画像1

(EPISODE 2.5 Kazumi「地に顔を出す」前編 2016.11更新)

「実家の古書店」って言ってるな!?古書堂って言い回しはどうしたんだ???


…なんだか、シナリオライターの間で設定の共有が徹底されていなかったか、設定を作った当時のスタッフのタイプミス等がプロフィールのページだけ修正されてないのだと思った方がまだ自然な気がしてきましたね?


[おわりに]

特に何も生み出さない取り留めもないメモになってしまいました。いつも通りですね。

この記事はそもそもチャチャさんのプロフィールを見ていて「古書堂ってなんだろう…」と言葉の意味が分からなかったことから始まっているので、皆さんも一つの単語や言い回しを極端に気にしすぎると調べたり文章打ったりで予想以上に時間が飛んでいくぞ!!楽しいけどね!!という反面教師としていただければ幸いです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。それでは今日はこの辺で。Ate logo!


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