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実験教室に通い始めた話

5年生になって、塾の理科・社会の暗記の量がぐっと増えた。昨今は重箱の隅をつつくような暗記偏重の問題ではなく、思考力を問うような問題を出す学校も増えているというけれど、そもそもベースとなる知識がないと思考もできないというわけで、結局、暗記する知識の量は昔と変わらない気がする。

息子の場合、大好きな社会の知識は比較的備わっているので、問題は理科。4年生までのように身近なモノの観察ではなく、小学校の授業では登場しないような実験器具や見たこともない素材、さらに浮力・電流・熱量・磁界など抽象思考で必要になる「目に見えない概念」がバンバン出てくる。実物を知らない、単なる机上の暗記になるのがイヤだなあと思っていたときに、以前からTwitterでみかけていた中学受験専門の実験教室のことを思い出し、体験に行くことにした。

体験にあたって、まずは息子のモチベーションを損ねないために、好きな単元の回を見計らって申し込んだ。息子の場合、理科の4分野の中でも特に地学と化学が好きなので、「金属の燃焼」という単元にしたのだけど、この作戦が当たりで、初回は楽しくて2時間があっという間だったらしい。「よく問題で出てくるスチールウールの現物をはじめて見た!こんな風なんだ!」という感想も飛び出し、スチールウールはわが家のキッチンにもあるのに、実物を知らなかったのか…と反省。こういう細々としたところで、親の普段からの働きかけの重要性を実感する。

ちなみに、その前の回は「消化」というテーマでカエルの解剖だったので、血が怖いという息子が最初に体験するにはハードルが高いだろうと判断し、「金属の燃焼」の回まで待った。新しいことを始めるにあたり、もう親の言いなりになる年齢ではないので、いかに子どもをその気にさせるか、という部分も親の腕の見せどころだと思う。

そして、親は実験の様子を後方で見学できるのだけど、初回の体験で感じたのは以下のような点だ。

・実験内容や進め方がかなり練られている。2時間で3~4種類の実験をスムーズに行い、器具や素材も豊富(公立の小学校の実験器具とは雲泥の差)
・他の参加者(5~6年)の、解説を静かに聞く姿勢と、作業に移る際の動きのメリハリがきいている。全体的に動きがとてもスムーズで手慣れている(全員がすんなりマッチを扱えることにも驚いた)
・3~4人の班ごとに実験を進める形式で、メンバーは毎回変わる(毎回はじめましてのメンバー)が、自然とコミュニケーションが取れて役割分担ができている
・クイズ形式で班ごとに解答させ、ポイント制でモチベーションアップを図っている
・最後に入試問題を解く時間もあり、理解度が客観的にわかる

とにかく、参加者のレベルが高いと感じた。同じことを学校の実験室でやったら、まずこんなにスムーズにはいかないだろう。理科が大好きな子、長く通っている子が多いからか、基本の積み重ねが徹底されているのが感じられた。

以前から通っている他のお子さんたちが慣れた雰囲気で進めるなか、息子はこういった実験教室は初めてに近いので、あまり積極的に器具に手が出なかったり、まごつくシーンもあったけれど、このあたりは慣れなのかなと。

というわけで、隔週ペースで通い始めて半年ほどが経過した現在の息子の感想としては、おおむね好評。

・グループで相談するのが楽しい!
・実物が見られるのがいい!
・解剖も意外と大丈夫!
(実際はほとんど触っていなかったけど、気分が悪くなるということはなかった)

こうなってみると、5年生のスタート時(4年生の2月)から入っておけば良かったなあと。でも5年スタート時は塾のカリキュラムに慣れるまで余裕がなかったので…仕方ない。6年生になると土曜日が塾で使えなくなるので、スケジュールが少し大変だけど、1年間のカリキュラムが終わるまで、あと数ヶ月は通うつもり。

ただし、中学受験のカリキュラムに則っている実験教室とはいえ、すぐに成績に直結する、とは言えないと思う。正直なところ、息子は通い始めてからも理科のテストの成績はたいして上がっていない。ただ、新出単元の理解の手助けにはなっていると思うし、やはり何といっても実物を知らないまま演習問題をこなしていくのではなく、できる範囲で本物を見て、触れて、学んでいってほしいと思っている。

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