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まだない全部

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2023年2月の記事一覧

確かなことと不確かなことの両方を抱えるのは難しいのなら、僕はどうしても、不確かなことのほうをえらんでしまうのだけれども。
でも、間を見つめていたい。
「どちらかえらばなければならない」と考えることさえ難しい。
本当は全部といっしょにいたい。

全部の間にいたい。

忘れずにいたいことも、あっていいよ。
何かを忘れて近づいて行きたいものも、あっていいよ。

そんなゆらぎの中で、もっと上手に生きていられたら良かったんだけど。

真実味のある言葉だけを話していようとしたら僕は一言も話せない。
結局「話したい」と「黙っていたい」の間を行き来しながら、君に話を聞いてもらっているけれど。

「本当は黙っていたいんだけど」と言いながら話し、「話したいことはたくさんあるんだけど」と言いながら黙っている。

話を聞いて。僕が何を言わないかを聞いて。

もう話したいことは無いのかもしれない、と思うのも何度目か。
「結局すべてはそこに流れ着く」ものなのかもしれないけれど、そうだね、着く場所が同じでも、通ってきた道はいつも違う。

いつかは流れを出て、見たことのないところへ行きたい。
それもまた同じところへ辿り着くのかもしれない。
生きている限りはずっとそうなのかな。

「結局またここへ来た」と気づく時、虚しさと嬉しさとが混在している気がする。
「僕は僕なんだな」という安堵と寂しさ。
寂しさと安心はよく似ている。そんな話もしたよ。

きっと誰もが孤独を知っているんだと思っている。
「誰もが」という「大きな同じ」が優しく包む孤独があるだろう。
だけど、そんなに大きな「同じ」では、見過ごしてしまう孤独もあるんだろう。

「同じだよ」という声が、救うこともあれば、見捨てることもある。
「同じじゃない」という言葉が、切り捨てるものがある。でも、守るものもある。

退屈な話なのかもしれないね。
長い旅の先にあるのは生活だ。
君と生活している。
積み重ねるのはあまり得意じゃないと思っていたけれど。

すこし話しただけの君なら、また会えたらこんな話をしよう、と思っていることもできる。「いつか渡せる」と。その「いつか」が来なくても。
だけど、旅路を重ねてゆくのなら、君に渡し忘れたものはないかと、ずっと探すのかもしれない。

君に渡すものがもう無いと分かったら、それはお別れの合図なの?
お別れが来ないことだけが日々なのかな。
それとも、日々とはやっぱり、いつかの別れのための準備なのかな。

いつか終わると知りながら、永遠に続くみたいに重ねる。
失いたくないと思う時、それはもう失われないものになっているのだと、僕は思う。

「最期まで分からないから」と、合言葉みたいにくりかえした。