ゆるく鬱

眠れない夜

晩御飯食べに王将行ったらオペレーション全然回ってなかった
腰の曲がったおじいさんが社員の名札をつけてうろついていた
奥で店長がなるべく怒りを抑えようとしながら言葉を選んで注意していた

おじいは机を拭けなかった
おじいは配膳ができなかった
おじいは注文が聞き取れなかった
おじいは加熱時間を測るタイマーをつけられなかった
おじいはテイクアウト商品の包装ができなかった

最後
おじいはラーメンのどんぶりを温めずに店長へ差し出した
店長の堪忍袋の尾が切れた

しっかりしてくださいよ!
教える立場なんですよ!

店内全員の視線がおじいに注がれた

しばらくしてフライヤーから煙が上がった
おじいがスイッチを切り忘れていた

私は怖くなって店を出た


わたしは何歳まで働くのだろう
いや、働けるのだろうか
腰が曲がって、目も見えなくなり、耳が聞こえなくなっても
言われたことを忘れてとっさに嘘をついて誤魔化すようになっても
働かなければならないのだろうか
働けるのだろうか

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