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美容院について

久々に気持ちが高ぶってしまったので日記にしたためたいと思う。

私が初めて美容院というものに行ったのは確か小学校高学年ぐらいの時。それまでは無頓着に母親カットで適当に済ませていたが適当に納得がいかなさすぎてキレられて美容院へ行かされたものの、結局納得等出来なかったという結末に涙するしかなかった記憶。髪型って難しいですね。

それまでは丸刈りというかベリーショートというか、とにかくバリカンでババーっと刈っただけの楽チンだったのに、色気付いてきたのでしょうか?全く記憶にないけど伸ばし始めると、頭の形だったり髪質だったり千差万別あるため、何センチ均等に切れば良いというわけにはいかないようで、じゃあ美容院行けば良いんじゃね?と当然繋がるわけですが、小学生料金の担当は新人か見習いみたいな店に行ってしまったため、練習台にもならないぐらいに適当にされていたのか、まぁ酷い有り様であった。

一度だけ中学生の頃、友達の影響でツーブロックという、サイドはカリアゲにするけど上部はフササラで、頭頂部の長髪で横のハゲを隠すみたいなのに憧れて美容師に所望したところ、今の長さでは無理だと言われて半年以上伸ばし続けて、もう良いかなと思って久しぶりに行ったんです。そしたら「あー、久しぶりー」みたいな感じでした。
こちら側はピュアなので一度言った事は相手も当然覚えているものだと思っていたんですが、満を持してツーブロックにして下さい!とお願いして、いざ出来上がった髪型は北の将軍様でした…YYY
今となってはカンナムスタイルでアリかもしれないけど、ヴィエヴィエ泣きました。

そのお姉さんがどこかキレイな雰囲気があり、それまでは少し好きでしたが大嫌いになりました。酷すぎるよね…

それ以来、美容院にトラウマを抱えつつ、他に髪の毛を切る方法を知らないため嫌々通っていたのですが、ある日いつも通り予約をせずにその店に行った際、結構前にそのお姉さんが退職していた事を知らされます。もうその店には二度と行ってません。

しかし困りません、切らなければ良いだけですから。半年、一年と平気で切らない期間が長くなり、私の髪は肩まで伸びました。途中、何度かブリーチして茶髪な高校生でした。学校生活も適当になり、一時期留年寸前までいきましたが、本当にあと一回遅刻したら留年という段階まできて、その後は死に物狂いで出席してギリギリ卒業出来た。危ない危ない…。

それ以降、美容院や理髪店にも行かず、ひたすら伸ばすか、美容師見習いの友達を探してはタダで切ってもらったりしていた。さすがに自分では怖くて切れなかった。

それを変えるきっかけとなったのは、少し付き合っていた彼女と別れて、このままではヤバい、このままではいけない、どうしても彼女が欲しい、人は見た目が9割みたいな風潮(常識)もあったので、まずは美容院!と結論付けて繁華街へ飛び出した。

フラフラと歩いていると早速見つけた、いつもよく行く焼き肉食べ放題の店があるビルの横に看板が出ている。灯台もと暗しである。カットコース5000円。うーむ、今まで行っていた店の倍近くする。しかし、かっこよくなるためには仕方ない!予約もせずに飛び込んでみた。すみませ~ん…!

対応してくれたのはチーフマネージャーさんであった。偶然にも予約がないからすぐ切ってくれるという。昔行っていた美容院は予約無しで行くと何も言わず説明もなく三時間ぐらい平気で待たせる店だったので凄いと思った。予約もせず行く自分も悪いけど何か言えや、と思った。それ以降、当日に電話で「今日、空いてますか?」という確認ぐらいはするようになった。(今は流石に事前申込してる)

その対応してくれた女性が名刺を渡してきた。チーフと書いてあり、よくわからないけど少なくともペーペーの平社員ではない事が伺えた。仕上がりは過去最高であった。ていうか、え?今まで私の髪を切っていた人は素人で、これがプロって事?!と驚愕するほど美しい仕上がりで、気に入るとか気に入らないというレベルではなくて、この頭の形に合うようにする事なんて容易いですよ~という余裕さえ伺えるというか、最適解を示されたような、まさに目から鱗が落ちるような感覚であった。

切る前には一応ヘアスタイル雑誌を渡され、どんな髪型が良いですか?と聞かれた。とはいえ、モデルが大体イケメン&小顔過ぎてイメージが出来ない。選択肢を狭めつつ控えめに選んでも、スタイリング剤を浸けているから成立しているようなあり得ない髪型ばかりで、正直絶望感しかなかった。普通っていったい何だい…思うような髪型は何だい…

そう、まるでエセ占い師のイエスノークイズで導かれたように卑屈な髪型をチョイスしてしまったのだろう私、そしてその全てを汲み取ったかのように「ふ、任せて下さい!私プロなんで!」というような自信を少し感じた。そして出来上がった最高の髪型。うっとり…。

それからというもの、その美容師さんと喋りたいという気持ちも少しあるものの、格好よくしてくれるプロに喜んで少ない給料使える金銭感覚を覚えて毎月のように通った。そのおかげもあり、すぐに彼女が出来た。

しかし縁というか縁起担ぎというか、その店にはずっと通い続けている。もうかれこれ何年になるか…その間、担当者が代わる代わる交代した。理由はさまざで、最初の担当者は寿退社、次はよくわからないけど、次々と独立開業のための退職も増えてきて、なんだか自分が彼らを育ててきたような錯覚を覚えるぐらい、担当者が変わっていった。しかし店の技術には信頼していたので、それでもずっと同じ店でお願いしていた。

しかし最近の担当者はどうでしょうか…正直、気に入らない。そう伝えたいのに憚られる。何故だ?今までにはそんな事はなかったのに。

原因がわからないまま、コロナ期間を挟んで三年の月日が流れていた。正直担当者を変えて欲しい。いっそ店ごと変えたらいいのに、その勇気も出ない。気を使いすぎている。

日用品なら、どこで買っても良いし色んな所で同じ物が買えるので誰も気にしないけど、散髪となると生える髪の量も決まっているのでなかなかそうもいかない。前回気に入らない結果だったので違う店に行って、結局気に入らない結果だった場合どうするのか?みたいな数学研究者みたいな努力は極力したくない。女性みたいに数センチぐらいは誤差、伸びましたね!って言われないでしょ、みたいな感じならじっくり選べるかもしれないけど、こちらはミリ単位で争っているので間違えたくない。一度別の店で切ってしまうと次に戻った所で「あれ?あまり伸びてないですね?他で切りましたか?」と間違いなく聞かれる。「まぁ別に良いんですけども(*^-^)」というプレッシャーを付け添えて与えてくる。そうなるともう即ベイルアウトしたくなります。

ワールドトリガーより

は、恥ずかしい。二度と浮気しません!ってビビってチビりそうになる。いやぁ、自分で切ってしまって~とか言う。すぐバレる嘘を言ってしまう。

そんなこんなでしばらく店の呪縛にさらされていたのですが、この度ナント、元の担当者が独立した店舗に初潜入してしまいました!

きっかけは、もともと今日か明日しか散髪の時間がないなと思っていて、ふわっと予定してた。いざ予約を入れようと思ったら店が夏季休業期間だったのを忘れていて、詰んだ。仕方なく新規予約出来る店を探そうとホットペッパービューティーで探してみたが、胡散臭い人しか出て来なかった。涙をすすりながら坊主も辞さない覚悟でいたけど…よくよく考えたらずっと気になっていた人が居たじゃない!と思い出し、即予約。

その独立店に対しては初だけど、昔働かれていた店では常連だった事にどう思われるだろうか?と思いつつ新規で予約を入れてみる。特に連絡は入ってこない。どう思われるだろう?とそわそわしつつ当日を迎える。






仕事中もずっとそわそわして、まるで遠恋で別れた元カノに再開するかのような、今の店の担当者に言わずに浮気しているような罪悪感に苛まされながらついに予約の時間がきた。

その場所は車で三十分ぐらいの大通りに面したおしゃれなお店。少し遅刻してたどり着いたお店には、店長さんが一人だけ立っていた。うわぁ…個人経営者だ…おしゃれ。

どうしたんですか?急に、といつも通りのように笑いかけて話してくれるのが嬉しくて、三年間のブランクなんて全く感じさせないプロフェッショナルな対応に既にダメだった。この人ならなんとかしてくれる、という安心感が蘇っていた。

実際にカットが始まると本当にあっという間で、汗をかいているから気持ち悪いんじゃないか?とか、臭いかも、みたいな心配していた事は一切気にしていなくて、そのまま髪に触って調子を診断、即施術という感じだった。
本当に美容院と病院は語呂が似てると思うけど、治療とはまた違うけど行う事と出る結果は同じなんじゃないか、と思うほど病いに対する向き合い方が真剣で、そりゃ答えも出るよな…という感じであった。師業、士業は尊敬に値します。治す事以外何も考えていない(褒めてる)。

今まで、近所の個人経営の美容院には何度か別の用事で足を踏み入れた事はあるけど、どこか不気味というか、なんとなく散髪には行きたくはないかも、と感じる雰囲気があった。でも今なら少しわかるかもしれない。

個人経営とは言え色々あるんだなと改めて実感した。そこは本当におしゃれな空間で、どこがどうとは言わないけども、確かに前職の店舗の雰囲気をパクって(うけついで)いるのかなとは思った。実際、同系列のブランド名を入れているので同じ物を使っているし、それも含めて天才的というかしたたかというか、すべてを「わかって」いる人なんだなぁ、と改めて思った。

そのこだわりは細部にいきわたり、最終的にカット後のシャンプー技術に最大限現れていた。

薄暗い小部屋のシャンプー台に美容師さんと二人きり。正面にはおしゃれな壁に店のロゴ、ドライフラワー、アロマの香り、落ち着く音楽。
自動で倒れるシャンプー台、顔にかぶせられる薄い布。視界を奪われ、聴覚と嗅覚を刺激されながら行われる頭皮マッサージがまた絶妙で、時に強く短く、時にゆっくりとゆっくりと動いていく指が全身を駆け巡るような感覚で行われるシャンプー、トリートメント、マッサージオイルの順で、都合三回も丁寧に頭の表面をコネコネと揉みほぐしていく。もうまさに夢見心地過ぎて、すべてに対して凄い…と思っていたら、いつの間にか眠りに落ちていて、足が不覚にもビクーン!と空振りをしていた。久しぶりにシャンプーで寝てしまった。

気づいたら終わっており、台が自動的に上体を起こしていた。
「どうでしたか?」
静かな口調で、しかしながら自信ありげな様子で聞いてくる。凄かったです、としか言い様がない。こんなのって…ずるいよ。

そこからは、はい!ここまで!と言わんばかりに明るい口調で「顔拭きタオルどうぞ!」「来る時にどの道を通ってきましたか?駅前でお祭りやってるので気をつけて帰って下さいね!」とまくし立てるように終了を告げてきて、あれよあれよと言う間にスタイリングを済ませてお会計となった。その間、きっちり一時間。

なんという上質空間だろうか…また来ます、と言ったが、最初の頃のように「無理せずに」とは言わず、「また、お待ちしています」と言われた。まんまとはまってしまった。

こんな禁断のセクシーなお店にならいくらでも行きたい。
そして肝心の髪型の仕上がりですが、過去最高を超えてきた。素晴らしい。(個人の感想)
やっぱり○○さんが良いな、と懇願した際の困り顔が素敵でした。



※BL風に頑張ってみましたが、素人が書く創作BLは面白くないのかもしれません。

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