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おじいちゃんは骨董屋だった話。❼

貼り絵のイラストレーター マコイです。今回は、おじいちゃん(母方)のことを書いてみます。母の4人姉妹は、洋画家、社交ダンスの先生、英語翻訳(母)、洋裁家と、バラエティにとんでいるのですが、おじいちゃんのお仕事は骨董屋さんでした。

おじいちゃんは、昔は横浜の中区弁天通りにある結構大きな骨董屋のボンボンだったらしいですが、戦争でお店が没収されてしまいました。それからは細々と、神奈川県の小さな一軒家でお店を開きました。一階がお店でした。お店自体は私が中学生くらいに辞めてしまいました。

音楽と絵画鑑賞と読書をこよなく愛し、怒ったことがなく、お人好しと言われ、高く買い安く売っていたそうなので、商売には向かないタイプだったと思います。しかも、お店を誰も継ぐこともありませんでした。(上記参照)お店を閉めるときに全て売り切りました。

でも、私は5才でアメリカから日本に帰国してからは、一年の内に何回も遊びに行き、お正月は毎年、親戚が集まり年を越したので思い出がいっぱいあります。まず行くと隅々まで見るのは、お店の美術品で、毎回何か目新しい物はないかな〜と見るのがすごく!楽しかったです。

ブロンズの花瓶、象の形の本立てとか、瀬戸物、有田焼や備前や薩摩焼の大皿とか、錦絵、浮世絵、(広重、北斎)などなど、宝物探しの感覚でした。

しかし、私はそれでも日本の古美術には興味は湧きませんでした。。おじいちゃんがこのようなお仕事をしていた訳ですから、今更ながらですが、もっとちゃんと日本の美術にも関心を持って美しい作品を見たいです。

2階には、おじいちゃんの小さな作業部屋があり、そこで絵の修復をしていた記憶があります。(そんなおじいちゃんの緑色の棚と机を貼り絵にしたものがトップの作品です。)本棚にはウイリアム・ブレイクの画集などもありました。

おじいちゃんは、自分で一生懸命、カセットに録音したクラシック音楽を聞きながら毎晩寝ていました。特に『流浪の民』が好きで、私もよく聞かせてもらいました。小学生のある日、山本有三さんの本『心に太陽を持て』と、谷内六郎さんの画集本をプレゼントしてくれて、それ以来、谷内六郎さんの絵が大好きになり、その本を旅行にまで持っていくしまつです。

穏やかで優しいおじいちゃん、見えるものも見えないものも素敵な贈り物をいっぱい頂きました。大好きなおじいちゃんでした。

あ、レトロな物が好きなのはおじいちゃんの影響かも!?

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