原付二種のナンバープレートについて

本記事は50cc原付が本来一種登録すべきところを、二種登録をして50ccの道路交通法の制約について取り締まりから逃れることを推奨するものではない(重要)。
ただし、法解釈が誤っている記事があまりに多いため記事化した。

50cc一種原付が二種登録をするとどうなるか

よくいわれることに2点ついて説明する。
結論から先に言えば、このことについて違法性はまったくない。

地方税法 第448条第1項違反について

報告すべき事項について虚偽の申告又は報告をした者は、5万円以 下の罰金に処する。

地方税法 第448条第1項

とあるが罰しない。基準より多くの税を収めようとする行為であるから、可罰性がないので事案にならない。

公正証書原本不実記載等罪

この件も多くの記事を見かけるが、地方税法でいう軽自動車税課税台帳は公正証書の対象ではないので相当しない。
この件を争った非常に有名な判例があり、市町村役場の担当者なら常識中の常識と言える。

名古屋高裁金沢支部昭和49年7月30日
→ 50ccを超える原付を50ccとして登録させようとした事件が、公正証書原本不実記載に問えるかどうかの控訴審

本件台帳については登記簿、戸藉簿に類した証明力を付与した旨の規定は特に設けられては居らず、その内容の公開更には台帳における納税義務者、納税義務の内容等の記載につき第三者に対し証明書を交付する等の手続も制度上予定されてはいないのであるから、これを要するに本件台帳はたかい証明力を有するものとは考えられないのであつて、従つて本件公文書は刑法一五七条一項にいう公正証書に該当するものではないというべきである。

裁判所 - 昭和49(う)33
 - 公正証書原本不実記載(予備的罪名地方税法違反)被告事件
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=24875

結論から言えば、いずれも当たらない。
ちなみに自動車などの車検証は公正証書に相当する。

その他、これに相当しない文書はいくつかある。下記の通り引用した。

本罪の対象にならないとされたものとして、印鑑簿(神戸地裁姫路支部昭和33年9月27日)、自動車運転免許台帳(福岡高裁判決昭和40年6月24日)があります。

横浜ロード法律事務所 - 公正証書原本不実記載罪
https://www.yokohama-roadlaw.com/glossary/cat/post_364.html

役所での実務

実務としてはどうなるか、というと、50ccの排気量に対して原付二種の登録をしてきたら却下する。税担当は正確に税を徴収することが仕事であるので、改造などで原付二種の登録を求めてきたら、その証跡を求めるのは通常の仕事だ。
納税者が地方税を多く納税したら、消滅時効でない限り、返却しなければならない。

ただ、これは納税者の申告であるので、納税者がそう納税したい、ということであれば、無理に差し止めることはしない。

道路交通法の扱い

道路交通法上は、二種登録していても、実際の排気量で適用するので50ccの制限が課される。

二種原付が一種原付の登録をするとどうなるか

地方税の過少申告となり、地方税法違反となる。しかも、結構重罪である。

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