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マッドマックス・コンベンション主催反省記 -その2-

開催にあたっての3つの絶対条件


●クラウドファンディングでの資金確保

 ゲストは誰が参加するのか、まだ不確定ですが、4回もファンイベントをやってきているので、雑に「こういう感じ」というイメージは脳内にあります。サイン会と撮影会。バイクや車の展示。ファンのコスプレ…。
 まあ、イベント実施はおそらく二日間。一日目は都内で主にサイン会。二日目は関東圏のホールを借りて、車両展示とサイン会。過去のイベント、特にMMcon2017(後述)のイメージをスライドしてまず考えます。しかしまだ会場のあたりが付いていません。
 そしてまずMMcon2019を開催するにあたって、自分の中で必須条件が3つありました。
 まず1つ目。クラウドファンディングを立ち上げての運転資金確保。これはもう100%やらないといけない事です。何せこの2019年の春の時点で、私はそのようなイベントに使える経費を一銭も持ち合わせていなかったのですから。また、過去4回のMMconはすべて赤字。その借金も引きずっています。もうそういう運営では立ち行かなくなっており、それでもイベントを主催するというのなら、金策は避けて通れません。

●主催はフォトセッションで利益を

 2つ目。フォトセッションの導入。これまでのMMconは、来場者からカメラや携帯をスタッフが預かって、安価でゲストとの2ショット写真を撮っていました。しかし正直、これではあまり売上になりません。2019年からは国内外のコンベンションのように、プロのカメラマンが撮影した背景付きの2ショット写真を、その場でプリンタ出力するシステムを導入しなければならないという結論に達しました。

2016年12月にNYで開催されたコンベンション「Winter con」。「スター・ウォーズ」キャストのサインを待つ行列。この日の一番人気はチューバッカを演じた故 ピーター・メイヒューだった


 元々は営利目的ではないファンイベントとして立ち上がったMMconですが、もうそんな事は言っていられません。勉強がてら、海外コンベンションの進行や価格設定を色々調べてみると、主催サイドはゲストのサインよりも、フォトセッションを売りたがっている傾向が見えてきました。
 例えば、フォトセッション1回5000円としても、ゲストとの配分が発生します。その配分条件の話はひとまず横に置いといて、きちんとやれば単価も高く主催側に利益が残りやすいものです。来場者からのニーズももちろんありますし、やはりこの手のイベントには欠かせないサービスなのだなと、ようやく気づきました。
 となると、その環境構築が何より先決です。2019年の3月頃、国内コンベンションにおいてフォトセッション経験があるカメラマンに通訳さん経由で繋げてもらい、概要をうかがった上でまずオファーする事に決めました。
 次にやるべきことはプリントアウトのシステムの手配です。早さとクオリティが求められるサイン会場でのプリント出力。この手のイベントで一般的に使われているのがDNPの昇華式プリンター(※)という事が分かりました。お値段は1台20万円オーバー。しかし万が一の事を考えると、複数台ないとリスキーです。
 カメラで撮ったデータをプリンターへ即転送して出力する仕組みで、印刷速度とインクの乾きも早い。また、お客様が撮影データをスマホ経由でダウンロードするためのサーバ確保とプログラムの作成。こういった仕組みを新規で一から作るとなると、一体幾らかかるのやら…。ちょっと気が遠くなります。

※DNP(大日本印刷)の昇華プリンター DSシリーズ。
高速度・高精細な出力でイベントの写真撮影会の定番と言える機種


 数ヶ月、あれこれ方法を探しているうちに、DNP自体がイベント撮影用にプリンターはじめ、システムをまるごと1セットにしてレンタルしている事が判明しました。これ、公式ホームページの階層の奥の方に隠れていたのです。良いサービスなのになんとも勿体ない!
 レンタルの内容は、プリンター2台とシステム制御用ノートPC2台の貸与、出力用メディアの支給、データアップロード用サーバスペースの提供といった内容です。
 価格としては結局、プリンターを複数台購入できるくらいのもので、お安くはありません(これはMMcon2019の二週間後のゾンフェスvol.1でも使うという前提)。
 高額でレンタルして、手元にプリンターが残らないのはもったいない気がするのですが、そもそも私は年がら年中こういったイベントをする訳でもありません。また、完全自前だとプログラムを一から組むだけで、7桁のお金は飛びます。インクリボンやメディア代も馬鹿にならないでしょう。
 で、レンタルした場合、おおよそ何枚フォトが売れるかシミュレーションしてみて、レンタル代とカメラマンさんのギャラを払った上で、なんとか利益は出そうな予測が立ちました。とにかく経験値もありませんし、今回、まずはDNPのシステムを借りる事に決めました。
 こうなると、あとはもうイベント当日にDNPのスタッフが現場でセッティングまでしてくれるので、仕込みに時間をかけなくていいのです。この一点でも元が取れる気がしました。
 よって、これにてこの問題は解決です!

実際にMMcon2019で、フォトセッションのお客様に配布したデータダウンロード用QRコードが付いたカード



●映画館とのコラボ

 3つ目の必須条件。それは映画館にイベントへ絡んでもらう事です。
 2017年、「マッドマックス2」に出演した3人のゲストがMMconのために来日してくれました。これに向け、映画館での上映イベントを組みたかったのですが、私には映画館方面の人脈がなく、ノウハウもありません。
 当初、第三者(某配給会社大手)の担当者が間に入って、映画館での記念上映をセッティングするという話があったのですが、待てど暮らせど具体的な話が出てきません。で、直前に確認したら完全に立ち消えになっていました。やはり人任せではなく自分で動かなければ駄目という事ですね。
 そんな中、なんとMMcon2017開催間際のタイミングで、某都内映画館に「マッドマックス2」がかかる事が判明しました。その上映最終日は平日でしたが、ゲストたちは日本に到着しており、イベント開催を控えた予備日で自由がききます。私はとにかく劇場に連絡はしたものの、先方は特にゲストの登壇イベントなどには興味を持ってくれません。もちろんきっちり決まった時間割りの都合はあるでしょう。突然のこういった申し出にノーリアクションでも、仕方がないところはあります。
 しかし、キャスト3名は都内にいるし、彼らが出演した作品が劇場で上映されているのに、コラボができないという実に苦々しい状況が生まれました。自分の人脈やステイタスの無さが原因です。二度とこんな歯噛みするような思いはすまい、とこの時に誓いました。

2017年に来日した『マッドマックス2』(81)出演の3人。右からブルース・スペンス、ヴァージニア・ヘイ、エミル・ミンティ。彼らが浅草観光をしているその日、都内某所では皮肉にも『マッドマックス2』がスクリーンにかかっていたのである…


 MMcon2019では、フォトセッションの手配同様に、3月段階から候補の劇場(立川シネマシティ)と打ち合わせをし、おぼろげながらも道筋を立てました。おそらくイベント開催は10月〜11月頃になるでしょう。半年以上先の話です。
 この時点では劇場側も先の予定が読めないので、即断という訳には行きませんでしたが、前向きに検討してくれる事になり、ひとまず種を撒く事ができました。
 映画イベントで映画館を絡める事については、自分なりに思うところがあります。やはり映画は、映画本編=それをかける劇場あってのものだなぁ、という事です。自分が映画系のイベントであるMMconをやって、「300名以上集まった!」と喜んでみても、人気のある劇場が「怒りのデス・ロード」をかければ、一回の上映にそれくらいの観客=マッドマックス・ファンが来場する訳です。
 また、例えば2018年には『ロボコップ』4Kニューマスター版を作って上映するためのクラウドファンディングが実施され、大変好調な結果を迎えていました。こういうのを見ても、当たり前の事ですが、映画はまず映画館やスクリーンあってのものなのである、という事です。

新宿ピカデリーにて。MMcon2015では、ワーナー・ブラザースの『怒りのデス・ロード』のプロモーションに乗る事ができたため、『マッドマックス』『2』の記念上映の場に、MMconのゲストたちが登壇する事ができた


 もう一つ、自分にとって象徴的な出来事があったのです。2014年に初めてMMconを開催した数ヶ月後、私はブルース・リー研究家、ちゃうシンイチーさん主催のイベントに参加させてもらいました。
 それは『ドラゴン怒りの鉄拳』でブルース・リーと戦った日本人俳優、橋本力さんのお誕生日会を、カラオケボックスの一室で行うというものでした。アットホームな雰囲気の中、20名前後のファンが橋本力さんのお誕生日を祝ったのですが、実はその日、そこから徒歩圏内にある劇場で、『ドラゴン怒りの鉄拳』を上映するという企画が併せて組まれていたのでした。
 訳もわからず劇場へ連れて行かれた橋本さんを待ち受けていた、全席(200席くらいだったか?)を埋め尽くすブルース・リーファンたちというサプライズ。そこであらためて橋本さんのお誕生日を祝い、一緒に『ドラゴン怒りの鉄拳』を観るという素晴らしい仕掛けでした。
 これは映画本編の上映と、愛のあるファンイベントの理想的なコラボに思えます。ちゃうシンイチーさんが持つ人脈や、ブルース・リーファン界隈におけるステイタスの高さがなし得た事でしょう。ひたすら目からウロコな一日で、私にとっては大きな刺激となりました。
 映画館の外でやる映画イベントは、ファンの濃度も高く、ニッチかつマニアックなものになりますが、映画館で映画を観るという行為は、それこそ基本中の基本。来場するファンの幅も一気に広がります。
 MMcon2019はマッドマックス・シリーズ作の本編上映をイベントプログラムの中に組み込む事で、ニッチ・マニアック以外の一般性を獲得したいと私は考えたのです。またプロモーションとしても大きな効果が期待できます。
 最終的には、劇場側と時間をかけて調整を続け、MMconゲスト6名登壇によるトーク付き『怒りのデス・ロード』上映という形として結実。300を超える入場券が早々に完売するという盛況へと繋がり、またそれがイベントの宣伝にも大きく貢献する事にもなりました。劇場の協力のおかげで、企画は大成功に繋がりました。
 個人的には2017年の『マッドマックス2』事案のリベンジを果たした部分もあります。しかし良いことばかりではありません。その顛末は後ほど。

MMcon2019、立川シネマシティでの登壇イベント

見つからない会場


 2019年。まだ春の段階では、ゲストも確定しておらず、MMcon2019がどのようなイベントなるかは分からない状態ですが、とにかく一刻も早く会場を確保しなければいけません。
 本当だったら、1年以上前から動くべき案件です。実際、安くて広い都内会場の週末利用なんて、半年前から動いても空いている訳がありません。などと偉そうに言っていますが、私自身が毎年、遅すぎるタイミングでようやく会場探しに動き出し、右往左往しているのです。この年もまったく同じパターンです。
 結局、あれこれ探した結果、町田駅前の「パリオ町田」というレンタルスペースに11月の週末に空きがあったので、早速下見に行きました。
広さは約450㎡。MMcon2017でサイン会行った新宿の貸会議室が200㎡。車両展示イベントを行った山梨のホール、アイメッセ(1/3スペースを使用)が1500㎡。感覚的には、サイン会イベントにはちょうどいい広さかもしれません。

パリオ町田4Fのイベントスペース


 町田という都内から少々外れたエリアですが、駅前立地で、アクセスは大変良好。悪くないかも知れません。ただ、車両展示が行えないのが残念です。2017年に使ったアイメッセ山梨のような大きなホールが、車両展示が絡むマッドマックス系のイベントには理想的なのです。
 しかし自分の調べた範囲では、もう2019年秋の週末は、大きな会場に空きがありません。困りました。取り敢えずパリオ町田で11/16(土)、17(日)の二日間、というのを最終手段と考えて仮予約を入れました。
 ところが、ここでいつもお世話になっているイベンターのモグラハウスさんが11/17(日)、静岡のホール「ふじさんめっせ」にぽっかり空きがある事を調べてくれました。広さは1/3スペース使用で1700㎡。アイメッセ山梨よりも少し広いくらいです。たまたまキャンセルが出たとかで、運良くそこへ滑り込む事ができました。

ふじさんめっせ。最寄り駅は新幹線、新富士駅


 実は、会場選びに関してはいつもイベンターの大先輩であるモグラハウスさんのお世話になっています。2017年のアイメッセ山梨も同じパターンで、運良く空いていた11月の日曜日を紹介してもらいました。なのでモグラハウスさんがいなかったら、2017年もどうなっていたか、まったく読めません。先にも書きましたが、人の縁というのは値千金です。
 こうして綱渡りに近い形ですが、土日二日間の会場がかろうじて確保できました。こうなると各会場でやれる事の逆算から、イベントの輪郭が見えてきます。

■11/16(土) パリオ町田(JR町田駅前)
主にサイン会。比較的アクセスしやすい都内会場でのインドアイベント

■11/17(日) ふじさんめっせ(新富士駅すぐ)
都内からはやや距離あり。ホールを借りてのサイン会&車両の展示会。コスプレやケータリングも交えたお祭り要素あり

 こうして、週末二日間を使ったMMcon2017の拡大版的なイベントを目指す事になりました。
 会場を仮予約から本予約に切り替えると、まず予約金の支払いが近々に発生します。相場は5%〜10%くらいでしょうか。額面的にひとまずそれは、自分の貧相な口座残高から支払う事ができます。いざ本番の会場使用料はイベント開催直前に支払うケースと、当日支払うケースがあります。今回のケースだと、パリオは当日払い、ふじさんめっせは事前払いでした。
 会場使用料を開催前に支払わなければならない場合は、入場チケットの前売り収入を事前に得られるようなキャシュフロー体制を組まなければいけません。このチケット販売についても後の章に記します。

★会場の同一縮尺での比較

お願い、クラウドファンディング!


 3月の終わり頃、朗報が届きました。色々と開催を想定して下準備をしているところへ、メインゲストであるヒュー・キース・バーンが、イベント参加のための来日にゴーサインを出してくれました。ヒューの奥様と、彼のアシスタントとして、マッドマックス研究家ティム・リッジも同伴しての来日です。
 ジョン・アイルズ、シェル・ニルソン、スティーヴ・ビズレイ、デイル・ベンチ、ポール・ジョン・ストーン。この5名からも来日OKをもらっています。これにてMMcon2019は正式に開催が決定しました(自分の中でだけですが)。
 となると、運転資金を得るために未経験でしたが、クラウドファンディングを立ち上げなければなりません。色々と調べる中、

■手数料が安い
■振り込みのスパンが短い

という二点を重視して、「READYFOR」というサイト使う事にしました。日本で最古のクラウドファンディング会社のようです。
 手数料は達成金額の12%。これはシンプルプラン(READYFORのサポートなしに自力ですべて行う)の場合です。また、クラウドファンディング終了後、すぐに達成金額が手元に欲しい場合は、早期入金オプションを3万円支払えば、翌週3営業日に振り込み完了という形です。

2019年時点でのクラウドファンディング手数料比較


 クラウドファンディングを使って私が手に入れなければいけないのは、ゲストたちの渡航費です。今回のゲストたち、それぞれオーストラリア各所からの羽田空港へのビジネスクラスのフライト×人数分。航空券の購入が早ければ、安いチケットが手に入る可能性があります。逆に日程が近づくと価格は上がり、下手をすると席がないという事もありえます。
 気分としてはクラウドファンディングを早々に立ち上げ、支援金を獲得し、すぐに航空券を購入したいところです。加えて準備のための運転資金がいくらか手元に残れば尚良しです。
 私は、まずヒュー・キース・バーン、ジョン・アイルズ、スティーヴ・ビズレイの3人の来日を発表して、目標額200万円で支援募集を開始する事にしました。それを達成したら、ネクストゴールという形で、シェル・ニルソン、デイル・ベンチ、ポール・ジョン・ストーンの来日をアピールし、更に追加支援金を募るという戦略です。300万円ほどあれば、すべての来日予定者の航空券を買ってギリギリ。本来ならもう少し支援が集まると、イベントの立ち上げ資金の足しになるでしょう。
 支援金200万円到達が難しそうな場合は、不足分を自分で支援金に投入して、ゴールに持っていくつもりでした。そのお金はどこから出てくるのか? あまり深く考えないようにしていましたが、コンビニのキャッシュディスペンサーから、クレジットカードで現ナマを借りるというシチュエーションが、想定しうる最悪のシナリオでした。
 クラウドファンディングを始めるにあたって、まずREADYFORに企画書を提出しなければいけません。誰が、いつ、どこに来て、何をするのか? かなり細かいところまで記述しなければいけません。
 そして支援してくれた人たちへのリターンの設定。そもそもお金がないので支援金を募るのですが、さりとてお気持ちだけではこちらも申し訳ありません。あまりお金をかけられないながらも、プレミア感のある感謝の品をリターンとして支援者にお渡しする義務があると考えます。そこで、以下4点を用意する事にしました。

①5000円 お礼状

 リターンの基本となるお礼状で、ペラ紙ではなく、ある程度のクオリティを伴った印刷物。更に何か有り難みを付与できないかと考えました。結果として、来日ゲストのイラストをプロに描いてもらい、その原画をゲスト帰国時に、支援者名簿と共に贈呈。その瞬間を写真に撮り、お礼状に掲載するというものです。これによって印刷物ながらイベントに参加したという感触を、支援者に感じてもらえればと考えました。また描き下ろしの自分自身のイラストというのは、ゲストにとってもサプライズの記念としておそらく喜ばれるでしょうし。

②10000円
イベント録画のDVD+①

 MMcon開催中に撮影したものを、終了後に動画編集ソフトでまとめ、DVD-Rに焼けば出来上がりますから、それほどコスト高になるものではありません。ディスクコピーの量産は業者に投げても良いでしょう。

③30000円
オーストラリアのロケ地を撮影・編集したDVD+②

 ロケ地撮影のDVDも②と同様に、2月に私がオーストラリアで撮影したばかりの映像が手元にあるのですから、それを30分程度の尺に編集するだけです。これを使わない手はありません。

④80000円
イベントで展示使用するスタンドバナーにゲスト全員のサイン入り +③

 この80000円コースは高額なのでほとんど需要はないでしょう。イベント用に作るディスプレイ用スタンドバナーを流用し、閉会時、ゲストにサインを入れてもらうだけなので、経費は実質ゼロです。

実際に作られたディスプレイ用バナー

 自分の想定としては、イベントに参加して現場でお金を使ってくれるファンたちからお金を二重取りするよりは、イベントに来られないであろうファンからの支援を募りたいところです。ならばと、イベントの模様を録画したDVDをリターンにした②をメインに考えました。他のコースは自分の気持ちの中では見せ球です。
 我ながら、これらはコスパの高いリターンとなるのではないかと考えたのですが、こうやって今書いていて自分でもゾッとする安直さです。
 誰がMMconの現場でムービー用の素材を撮影するのでしょうか?ほんとに2種類ものムービーを自分でささっと編集できるのでしょうか? ゲスト全員のサイン入りバナーはそんな簡単に用意できるのでしょうか?
 これらアイデア自体は我ながら悪くないと思うのですが、そのツケは後ほど色々な形で支払う事になります。
 このクラウドファンディングは4月半ばに申請を出して、何度か項目の再記入を求められ、実際に申請がREADYFORに認められスタートしたのは、6月1日からでした。えらく時間がかかりました。
 終了日の設定は、そこから二ヶ月後の7月31日。募集期間としては少し長い方かもしれませんが、これには理由がありました。
 CS放送局のザ・シネマが、『怒りのデス・ロード』の新しい吹替版を作り起こし、7月26日に放送する話が5月中に私に伝わってきました。私はその告知イベントの中での景品提供や、web特集記事への寄稿で企画に関わる事になります。 
 7月26日にそういうイベントが発生するなら、マッドマックスへの注目もUPし、露出が増えるかもしれません。であれば、最後の駆け込み支援を期待して、クラウドファンディング終了日を7月31日と設定しました。
 こうして6月頭にスタートした、MMcon2019支援のクラウドファンディングは、目標額200万円を終了間際である7月24日に達成し、ネクストゴールとして追加の支援金も集まり、トータル2,735,000円で終了しました。
 結果の中で、当初予想と大きく異なったのが、最も高額な8万円コースの需要の高さです。一番多いと見越していた1万円コースの合計獲得金額を上回っていた事でした。つくづく有り難いやら、申し訳ないやらです。
 そして待ちに待ったREADYFORからの入金。この達成金額から12%の手数料と、早期振り込みサービス分の手数料をさっぴいた約240万円が、8月初旬に私の口座に振り込まれましたが、その数日後、旅行代理店での航空券購入等であっという間にそれらは溶けました。

クラウドファンディングは無事成立!

 一方、クラウドファンディングと並走して、企業からの協賛金も募りました。こういうのはやった事なかったのですが、結果、知り合い含め、幾つかの会社から支援を受ける事ができました。大口支援をしてくださったところもあります。
 正直、来日ゲスト6人(最終的に7人)という規模でイベントを立ち上げるにあたって、最終的に振り込まれたクラウドファンディングのお金だけでは、航空券確保の時点で少々足りない状況だったので、これは大変助かりました。すでにファーストステップから首の皮一枚でのやりくりだったのです。
 今思えば、厚かましい話ですが、もっとクラウドファンディングのゴールを高めに設定すべきだったのでしょう。また、映画館とのコラボ企画がこの段階で100%確定していれば、それを前面に押し出す事で、注目度が上がり、支援を得やすくなったかもしれません。

 余談ですがクラウドファンディング会社に支払う手数料について自分の考えです。今回はREADYFORに35万円ほど手数料を支払った形です。1万円の支援なら、35人分です。なんとも勿体ない!とも思えますが、ここにはカード決済手数料も含まれています。自分のサイトで、支援を呼びかけて、直接支援金を送金してもらうにしても、カード決済なら3〜4%の手数料は持っていかれます。
 次に身元の保証と企画の信ぴょう性をどう担保するのか。身元がしっかりした法人の審査を通過したクラウドファンディングには、支援する側も疑念を挟む余地が少ないと思います。
 今いくら集まっているのかリアルタイムで可視化されたシステムも重要ですし、クラウドファンディングが目標額未達で終わり、キャンセルとなった場合の返金手続きなども、自前だとかなりの面倒さがつきまといます。
 私なりにクラウドファンディングを使ってみた感触としては、カード決済手数料、身元保証料、システム利用料として考えると、READYFORの12%というのは、決して高くはないというところでした。審査が長引いてスタートが遅れたのは大変残念でしたが。 
 あと、RADYFOFのサイト上での告知効果。これはどうでしょう。プラスがあったような感触はありませんでした。人を助けたい、発明品の製品化を支援したい、といった幅広いところにアピールするネタであれば期待もできそうですが、結局、こういう映画絡みの話はやっぱりニッチ枠で、プラットフォームの告知力頼みではなく、自分で宣伝して回るしかないのではないかとも思えます。

つづく

MMcon2019 新富士会場にて


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