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とべ動物園のサルたち⑨「タイワンザル」

タイワンザル
 Macaca cyclopis
 Taiwan macaque
 お次はニホンザルと最も近い親戚、タイワンザルだ。見かけもよく似ていて、ニホンザルと違うのは、長くてふさふさとしたしっぽがあることぐらいで、あとちょっと面長なぐらい。最もこれは単なる個性かもしれないが。
 ここでは6頭がケージで生活していた。道後動物園時代の昭和50年、愛媛新聞の記事では「芸なしの見本」なんていうあんまりな小見出しが切られて紹介されているが、今砥部にいるやつはそんなことはない。他のサルは真似のできない「ちょうだいちょうだい」という仕草で訪れる人から人気を集めている。
 だいたいサルは賢いというのはどれくらい本当なのだろうか。後で出てくるチンパンジーのところで触れようとは思うが、ニホンザルやこのタイワンザルぐらいだと、だいたいイヌやネコとそう変わらないという報告もある。ただ、姿形が人間に近いのと、器用な手を持っているので「賢そう」に見えるのかもしれない。文字を見せて理解させたり、鏡を見せて自分と他人を区別させたりという実験では、類人猿とイルカは確かにずば抜けていい結果を出すが、他の動物では実験にならないそうだ。ただ、何をして賢いとするかは問題があるが。
 このタイワンザルや、近縁種のカニクイザルの仲間は、体も小さくて扱いやすく、飼育環境にもよく適応することから、実験動物として大量に捕獲され、その数が急激に減少している。開発と環境保護は今のところ対立項としてあちこちで問題を内包しているが、どんな理由があるにせよ、ある生物種が絶滅してしまうということは、人類にとってもとても大きな損失ではないかと思う。


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