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とべ動物園のサルたち⑩「シシオザル」

シシオザル
Macaca silenus
 Lion-tailed macaque
 シシオザルは南インドの西側、ガーツ山脈というところの常緑広葉樹林に棲んでいる。このサルも他の多くの種と同様にかなり深刻な絶滅の危機に瀕していて、現在の生息数も一説には1000頭以下という報告もある。この動物園には3頭が飼育されている。
 この種にかかわらず、全国の動物園では繁殖のために常に飼育動物の家系や年齢などのデータ交換を行っており、とべ動物園のスタッフの方はそのことを尋ねた時に真っ先にこのシシオザルの名前を挙げていた。動物園の動物たちは、僕達の生きた教材として、自然環境を離れて窮屈な環境の中で生活することになるのだから、死んでしまったら次々野生のものを補充するなんて許されない。少しでも彼らが生活しやすいような環境を作って、繁殖のお手伝いができるように努めなくてはいけない。だから動物園によくある「指定以外のエサを与えないように」といった種類の注意書きは絶対に守らなくてはいけない。
 シシオザルは、その名の通り先端がふわっとふくらんだ、ライオンのようなしっぽを持ったサルだが、顔つきもライオンのようなたてがみがあり、「シシガオザル」でもよかったんじゃないかと思う。マカクの仲間では飛びぬけて樹上性が高く、1日中ほとんど樹の上で過ごす。そのためかほかのマカクには見られない、どちらかと言えばテナガザルなどの新世界ザルに見られるようなラウドコールと言われる大きな声での音声コミュニケーションを行う。この声は群れの間でなわばりの調整などに使われているのではないかと言われているが、詳しい研究はされていない。



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