私の芝居日記 4号「反応工程」
フルオーディション
夏だからでしょうか、今回も戦争のお話です。5月から「父と暮らせば」「母と暮らせば」「夏・南方のローマンス」と戦争がテーマの観劇が続いています。
今回の芝居は「反応工程」。どんなストーリーか知らずにチケットを購入しました。それは4月に同じ劇場で観た三好十郎の「斬られの仙太」が印象に残っていたからです。何か気になる、思い出す、心に残る芝居でした。役者全員オーディションで選ぶという日本では珍しいシステムで作られています。
今回の芝居もフルオーディションです。そんな訳もあり、テレビで皆が知っているという役者は出演していません。厳しいオーディションを勝ち抜いた、確かな演技とやる気満々の役者達が、たっぷり稽古して臨んだ舞台です。
役者達はオーディションを勝ち抜いた達成感で、最初の稽古では「気が抜けたよう」な感じだったと演出の千葉哲也さんは言っています。
若くて無名な役者に凄いチャンスを与える。こんなシステムは国立の劇場だからできるのでしょう。千葉哲也さんはオーディションで選ばれなかった若い役者から「また挑戦します」と笑顔で言われたそうです。
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私の芝居日記 4号
「反応工程」(新国立劇場)
作:宮本研
演出:千葉哲也
芸術監督:小川絵梨子
出演:天野はな、有福正志、神農直隆、河原翔太、久保田響介、清水 優、神保良介、高橋ひろし、田尻咲良、内藤栄一、奈良原大泰、平尾 仁、八頭司悠友、若杉宏二
日時:2021年7月24日(土)18:00~20:50
劇場:新国立劇場小劇場(東京初台)
九州にあった軍需工場が舞台。「反応工程」とはロケットの燃料を生成するための一工程。この職場で職工や動員学徒たちがどう働き、どんな事を考え、戦争とどう向きあったかが描かれる群像劇です。時代は戦中から戦後。昭和20年から昭和21年くらいだと思います。
若手もベテランも競い合い、2時間半のすごいセリフ劇を演じています。主役の久保田響介(動員学徒)も良かったし、八頭司悠友(見習工)も良い。ベテランの胸を借りて若手が爆走してました。
では、また次回お会いしましょう。さようなら。
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