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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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#訴訟

本人訴訟は不利なのか?-最も大切なのは事実を立証すること

本人訴訟は不利なのか。読者の皆さまはどのように思われますか? 原告たる労働者が本人訴訟を起こす一方で被告たる会社に代理人弁護士が付けば、「原告たる労働者本人 VS. 被告代理人弁護士」という構図になってしまいます。労働者には弁護士は付かないのですから、訴訟の経験と法律の知識についての原告・被告間の差は圧倒的かつ一目瞭然でしょう。前コラム【本人訴訟で未払い残業代を請求する(4)】で書いた通り、労働者には「必要な弁論ができないために、本来持っている権利にもかかわらず、その保護が

本人訴訟のデメリットは必要な弁論ができないリスクがあること

今回は本人訴訟のデメリットについてお話しします。 提訴の手続きがわからない、争点がわからない、どのような証拠を用意すればよいかわからない、法的な主張ができない、法律や判例を知らない、裁判官や被告代理人弁護士の言っている意味がわからない、主張や反論が感情的で争点に関係ないものになるかもしれない、事実関係や法的な主張を訴状や書面でうまく表現できない。まず、こういったテクニカルな問題が起こってくるでしょう。そうすると、必要な弁論ができないために、本来持っている権利にもかかわらず、

本人訴訟のメリットは費用を節約できること

今回は本人訴訟のメリットについて書きたいと思います。一番わかりやすいメリットは、やはり、費用を節約できることです。 ここで、民事訴訟にかかる費用の説明をしておきましょう。民事訴訟にかかる費用は「訴訟費用+実費+弁護士費用」の合計です。 第一に訴訟費用。訴訟費用とは提訴にあたっての収入印紙代のことです。例えば、被告へ請求する額が300万円なら、2万円の収入印紙が必要です。そして、予納する郵便切手が6千円分。原告が郵便局で収入印紙と郵便切手を購入、印紙は訴状の正本に貼って、切

本人訴訟って特別?

今回は本人訴訟について書きたいと思います。 民事訴訟では、弁護士を代理人に選任しないまま、原告でも被告でも当事者みずからが第一審から最高裁まで裁判を受けることができます。これを本人訴訟といいます。日本の民事訴訟法は弁護士強制主義を採用していませんので、本人訴訟が可能なのです。 本人訴訟も弁護士を代理人に付けた訴訟もどちらも同じ訴訟です。本人訴訟だからと言って裁判所の対応が変わることはありません。ネットで、「裁判官は、弁護士が代理人として付く側の主張を採用する傾向にある」と

本人訴訟のすすめ!

労働者なら、法律で定められた一日の労働時間は8時間。8時間を超えて仕事をすると、超過分は時間外労働になります。時間外労働をすると、労働基準法にしたがって割増賃金(残業代)が支払われなければなりません。 しかし、残業代がきちんと支払われているかと言えば、多くの会社ではけっしてそうではないかもしれません。時間外労働をしたことを会社に申告できない・・。申告しても会社が払ってくれない・・。固定残業代のみ支払われている・・。課長職なので残業代をもらう権利がない・・。未払い残業代の発生