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【本人訴訟シリーズ】本人訴訟で未払い残業代を請求する

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未払い残業代問題を取り上げます。自分だけの力で労働審判を起こしてブラック企業から未払い残業代を取り戻す!そのための実務的なノウハウや労働審判手続申立書など書面の作成について解説し…
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#法廷

労働審判の目的はあくまで和解すること

労働審判は労働に関する紛争を早期に解決するための制度。100%満足できるものではないにせよ、申立人・相手方双方が「これなら納得せざるを得ない」と思う金額ラインを、原則3回以内の期日に探るものです。 例えば、大雑把には、このようなケースです。申立人は、未払い残業代を100万円請求。相手方は、申立人は管理監督者(「管理監督者性」については、改めて解説します)の地位にあったのでそもそも残業が不存在と主張。労働審判委員会による審理・調整の結果、申立人は30%譲歩した70万円で納得。

労働審判or民事訴訟、どちらを選択?

前回は労働審判のメリットとリスクについて解説しました。では、労働者が会社と未払い残業代などの紛争を抱えてしまって、それを本人訴訟で解決しようとする場合、民事訴訟と労働審判のどちらを選択すべきなのでしょうか? 証拠にもとづいて事実を一つ一つ認定し、法的な勝ち負け、白黒をはっきりさせるのが民事訴訟。そのかわり、判決がでるまでに相当の時間がかかります。対して、労働審判は事件の解決自体を重視し、3ヶ月程度で終わります。申立て費用もリーズナブル。しかし、早期解決が優先されるために、申

労働審判を選択するメリットとリスク

前回までのコラムで、労働審判についておおまかにはご理解いただけたでしょうか?今回は、法律や訴訟のことをあまり知らない労働者が本人訴訟を起こすにあたって、民事訴訟ではなく労働審判を選択するメリットとリスクについて書いていきます。 労働審判には民事訴訟と比較していくつかのメリットがあります。原則3回以内の期日で終わるので、解決まで時間が短い。訴訟の提起に比べて収入印紙代と郵便切手代が安いので、費用面でお得。時間とお金。確かに、これらはメリットと言ってよいでしょう。しかし、私は、