個人的カービィサウンド考察

初めに、皆様LTお疲れ様でした。鶴君を初めとして皆様の協力でこのような機会を与えていただき、感謝するばかりです。また、本来5分という制約だったのにも関わらずかなり延長させてしまい、本当に申し訳ありません!正直5分ではシリーズの魅力を語り切れませんでした。

私が考える「星のカービィ」の一番の魅力は音楽であると考えています。私がこのシリーズのファンになったきっかけもカービィサウンドの奥深さでした。よくBGMのクオリティが高いゲームタイトルとして「ドラゴンクエスト」があげられますが、あちらがオペラとしたらカービィはミュージカルといった具合でしょう。すなわち、カービィにはDQとはまた違った音楽の良さがあるといえます。そこでこの場をお借りしてですが私がカービィシリーズの音楽について個人的な考察を語りたいと思います。個人的研究成果の一部が皆様にも知られれば幸いです。

1.特徴的な主旋律

 これは初めてゲームが発売されてから今まで大事にしている、とサウンドチームの一人が語っていました。どの曲も特徴的な主旋律を持っていて聞けばすぐに思い出せるほど印象的です。これがカービィサウンドのポップな雰囲気を醸しているといえるでしょう。私は何気なく小学生のときに「星のカービィ スーパーデラックス」をプレイしたのですが、何回かプレイするとほとんどの曲を覚えてしまった思い出があります。

 たとえば、「GREEN GREENS」は口ずさみやすい主旋律が特徴です。なによりこのフレーズの汎用性は非常に高く、こっそりラスボス曲に仕込まれてたりします。単体だけでも何度もアレンジされており派生版として凱旋(凱旋のテーマ)組み込み型や「Re:」型なども存在します。CMでも起用されることも多いので最も有名な曲といえるでしょう。


 また、メロディで見せる曲として有名な曲の一つとして「スカイタワー」があります。1ループ45秒という昨今のゲームのBGMとしては恐ろしい短さ(しかもアクションゲームのステージ曲)ですが、特徴的なメロディと音使いから中毒になる人が続出。あまりの人気に6年前の曲であるにもかかわらずハル研公式のサウンドチームによるアレンジが3回もなされたwii末期の名曲です。


2.ノスタルジー

 カービィのBGMは明るい中にもどことなくノスタルジーな雰囲気を醸すものが多いです。メロディからその雰囲気が感じ取れるのもその一つですが、現代において多くの会社が高い音質のシンセサイザーを使う中において、ハル研究所はファミコンから録音した音源、SFCや64時代のシンセサイザーで奏でる音を積極的に使っていきます。このこともノスタルジーを感じさせてくれる要素の一つではないでしょうか。

 特に顕著に表れているのが「トイリズム」。ファミコンの音を序盤から惜しげもなく使っていきます。比較的短めのループ時間や繰り返されるフレーズもあいまってどことなくノスタルジーを感じさせてくれる曲です。
この曲以外にもあの曲のこんなとこで!?というファミコンの使い方をしているのでぜひイヤホンヘッドホンで注意深く聞いてみてください。


 隠れたファミコン時代の名曲「レインボーリゾート」もまた、元々電子音しか使用できないという違いこそありますが、メロディと音源の合わせ技でノスタルジーと「冬」を感じさせる一曲でしょう。隠れた人気の割にはなかなか注目されない曲ですが、時折公式アレンジされるのでもしかしたら聞いたことある人もいるかもしれません。


3.挑戦的な音楽

 ここまで聞くと「カービィサウンドって保守的…?」というイメージを持たれそうですが決してそういうことはありません。むしろ今までの雰囲気と全く違ったBGMを作り出すことを意欲的にしており、ファミコンの音を使うのもあくまでその一環に過ぎないのです。ここでは具体例を複数あげて説明していきたいと思います。ある意味ここからがカービィサウンドの真骨頂かも…。

 まず一番目を引くのは「メタナイトの逆襲」でしょう。知名度は比較的高いほうですがそれでも知らない人が聞けば間違いなくどこのゲームが間違えるでしょう。シリーズ初登場となる戦艦のステージを進んでいくのですが、音楽も同様にこれまでシリーズで使ってこなかった楽器を使って緊迫感を再現しています。シリアスなストーリー展開をするゲームの雰囲気に非常にマッチしており、名曲といえるでしょう。実際20年以上経った現在においてもなおこのシーンは名シーンとして語り継がれており、スマブラでこの2曲がまとめてアレンジされています。


 サイバーパンクにチャレンジした異色の曲でいうと「L86」でしょうか。終始電子音が不穏なメロディを奏でる中でサビに向けてバイオリンが緊張感が大きく高めていき、サビのとこで大きく盛り上げる構成です。拍が不安定なところがより一層これを強めていると言えます。映画に使われても違和感がなさそうなそのクオリティはシリーズ屈指の怪作といえます。とても「GREEN GREENS」の作曲者制作とは思えない…。ちなみの本作のディレクターのお気に入りの曲とのこと。


 挑戦的な姿勢はラスボスのテーマに置いても通じるところがあります。例えばこちらの「V.S.マルク」。やはりこの曲もこれまでの雰囲気とはがらりと変わった曲でしょう。この曲で頑張って拍子を取ろうとするとどうしても拍がずれてしまいます。それもそのはず、この曲は変拍子であり、3→5→3→5・・・と何度も何度も拍子が変わります。打ち込みならではの特長でしょう。なによりこの曲はパートが5つしかないのですがそれを感じさせないほど深みがあります。スーパーファミコンの性能を存分なく生かした名曲といえましょう。



 お次は「狂花水月」。ラスボス曲といえば戦闘の熱気を感じるもの、緊張感を感じるものといったものが中心ですが、この曲はとことん「美しさ」を追求した音使いです。イントロはピアノのソロから始まり、ハープが奏でる主旋律がラスボスの風格を感じさせながらも、畏怖というよりは芸術品を見るような、そんな気持ちを与えてくれます。そしてそこからガラっと転調、ドラムと電子音、管楽器が上手に盛り上げていきラストは再びハーブが主旋律を奏でるサビに入ります。全体として美しさを感じさせる曲ですが、それと同時に哀しみ、勇気を感じさせ、ストーリー展開にもピッタリの名作といえるでしょう。当時NHKラジオに放送されたほどの話題作になりました。


 以上ざっと説明しましたが、とりあえずまずはカービィのBGMを是非聞いてみてほしいです。言葉では語り切れない魅力があります。最後になりますがこの記事を読んでくださって誠にありがとうございました。

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