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【最終回】森川ジョージ『はじめの一歩』×二宮裕次『BUNGO』豪腕特別対談Vol.6

「BUNGO」27巻発売記念!特別企画!

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ついに最終回!ヤングジャンプの人気野球コミック「BUNGO」の二宮裕次先生と、言わずと知れたボクシング漫画の超名作「はじめの一歩」の森川ジョージ先生の対談第6回!改めて息の合う師弟のお二人がお互いに思うこと。ここまでご愛読、ありがとうございました!

一歩も文吾も恋愛偏差値は低めだけどモテるって共通点があるじゃない? でも作者に関しては決定的な違いがあるわけ。(森川)

―鴨川会長と野田監督の雰囲気や髪型、野田と文吾、宮田と一歩のライバル関係など、両作品には共通点も感じます。

二宮:意識しないようにはしていますが、引っ張られている部分は多いと思います。本当に僕は、森川先生に会っていなければ漫画家になれていないので…。

森川:あ、そうそう二宮先生に質問! 一歩も文吾も恋愛偏差値は低めだけどモテるって共通点があるじゃない? でも作者に関しては決定的な違いがあるわけ。『BUNGO』はモテる男が描いている漫画なわけですよ自分で描いていて「なんだよ、もどかしいな」って思わないの?

二宮:本当にモテたわけではありませんが、もどかしいのに憧れがあるのかも。一歩と久美ちゃんのような素敵な関係に…。一歩と久美さんの恋愛模様は、どうやって描かれていますか?

森川:あれ以上の経験がなくて描きようがないから、あそこで止まってるだけだよ。

二宮:先生、お子さんいらっしゃいますよね(笑)。

森川:それは大人になってからの経験値だから。でも君は若き修行中の身でありながらも恋愛してたじゃん。

二宮:そうなんですけど…。でも先生だって「二宮はもっと頑張らなきゃいけない。頑張れば30歳までには連載を取れるから。まだ取れてないなら頑張ってないということ。つまりそういうことだよ。ただ、デビューする前は俺も女遊びはしてたよ」って言ってましたよ。

森川:「おまえは女遊びが激しいから、その年までデビューできなかったんだろ」って言ったんじゃなかったけ?

二宮:あ、あと思い出した。真琴ちゃんは文吾のことが好きなのかな、どうなのかなってときに、「胸がトクントクンしているから、この鼓動が答えだよね」と描いたら、すぐに森川先生からLINEが来て「な~にが“胸の鼓動が答え”だ! 意味わかんないこと言うな」って(笑)。

森川:嫌な先輩だね(笑)。「これ言われたら嫌だろうな」と思ったから、LINEしてみたんだ。

二宮:なんで嫌がると思うことをしちゃうんですか!?

川:だって二宮先生が僕の前に餌を垂らしてくるんですよ。「食べて食べて」って。「胸の鼓動が答えだよ」って餌が来たら、どんな魚だって針にかかる。あれは「ツッこんで森川先生!」ってことでしょ。

二宮:思ってないですよ。今は「編集さん、なんでリテイク出さなかったの!?」とは思っています。

森川先生からはお褒めの言葉をいただくことも多いので、ありがたくはあるんですが…。

いつものやり取りのつもりだったんですが、偶然通りかかった真島先生に「君、大丈夫か!?」って結構怒られましたよ(笑)(二宮)

森川:でも逆はないじゃん! なんでだよ? 俺にも「あそこよかったよ」とか「うまくなったな」とか言ってくれよ。

二宮:1回言ったことあるじゃないですか。僕が講談社でネーム作業をしていたら、原稿を持った森川先生がいらっしゃったんです。諫山創先生もその場にいて、森川先生が「諫山くん『進撃の巨人』面白いね。凄いね、何歳だっけ? 26? 二宮くん何歳だっけ?」とはじまって。「30ですけど!」「デビューしてるんだっけ?」「してないですね!」と散々イジってきたあとで、持っていた原稿を「これ僕が描いたんだよ」と見せてきたので、そこで「うまいじゃん、おまえ!」って言ったじゃないですか(笑)。

こちらとしてはいつものやり取りのつもりだったんですが、偶然通りかかった真島先生に聞かれてしまって。「君、大丈夫か!?」って結構怒られましたよ(笑)。

森川:覚えてる! 二宮が「うまいじゃん、おまえ」って言った瞬間に真島ヒロがやってきてね。「大先輩に向かって君、なんだ!?」って凄い剣幕(笑)。僕らの関係性を知らないから。

二宮:「違うんです違うんです!」って大変だったんですから。なので、それ以降は迂闊に褒めないようにしています(笑)。

森川:わかった。『BUNGO』読んだら褒めるようにするよ。毎週ケレン味のない感想を送ろう!

二宮:毎週はいいです、半年にいっぺんくらいで(笑)。でもいつも勉強になります!ありがたいです。

―お二人は『はじめの一歩』でいうと鴨川会長と鷹村、もしくは鷹村と一歩のような師弟関係なのかもしれませんね。

二宮:それなら適切な例えがあります。鷹村と青木ですね(笑)。もちろん、僕が青木です。

森川:なんでどちらにしても鷹村なの?

二宮:あとで今回の対談の録音なりを聞いてください。そこに鷹村がいますから(笑)。

―最後に、同じ業界で頑張る先輩と後輩に、それぞれお言葉をお願いします。

僕の中でひとつだけ「一人前の作家とは何か」という定義があって、それは最終回を迎えることなんです。(森川)

二宮:森川先生が教えてくださったことを自分なりに解釈して表現することで『BUNGO』という漫画が続いてきたので、これからもそれを続けていこうと思います。

森川先生は出演番組や取材で、「『はじめの一歩』だって打ち切りになることもあります。読者から求められなくなったときが終わるときですから」と謙虚におっしゃっているので、僕もそういう姿勢で、これからも謙虚に描き続けたいと思っています。

森川:これYJだから、二宮先生を持ち上げなきゃいけないよね。いつの間にか二宮先生も立派になられて…。

二宮:気持ち悪っ(笑)! なんなんですか!?

森川:いや本当に。30巻を近いうちに迎えるでしょ。30巻って言ったら長期連載で、立派な作家さんになったなと本当に思います。僕の中でひとつだけ「一人前の作家とは何か」という定義があって、それは最終回を迎えることなんです。

よく、漫画家でデビューしたら単行本を名刺代わりに持っていくという人がいるんだけど、例えば連載打ち切りになったものを名刺代わりに持って行っても、なんの役にも立たない。最終話まで描き切って、自分の意思でここまでやりました! っていう一区切りがついて、やっと一人前だと思うの。

だから僕自身も半人前だと思ってるし、二宮もそうだと思うから、お互いきっちり最終回を描き切って、「漫画家として一人前になれたかな。男になれたかな」と思えるところまでやってみたいね。…キマったかな(笑)!?

二宮:話すの上手くなりましたね!

森川:嬉しい~やっと褒められた(笑)!

最後までお読みいただきありがとうございました。森川先生、二宮先生のさらなるご活躍にご期待ください!

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