『ビースト覚醒』 超ネタバレ感想

8/4から公開している映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
今回からゴリラのコンボイ率いるビースト戦士が参戦!ということで、子供の頃にビーストウォーズを見て育った“ビースト世代”の僕としてはとても楽しみにしていた作品です。

早速、公開最初の週末に見てきたんですが……いや、面白かったですよ。
面白かったんだけど……思ってた感じとは違ったなっていうか……原作に思い入れがある分言いたいこともいっぱいあるんすよ。
めんどくさいぞ俺は。
以下、ネタバレだらけの感想です。
本編を見てから読んでくれ。
この感想だけ読んで映画の内容知った気になるのはナシだぞ。

「TFがどんなシリーズでビーストウォーズがどんな内容か」みたいな基本的な情報はすっ飛ばしますよ。
各自調べて……っていうかそこがわかんない人はそもそも読まないな、この記事。


◆全体的な感想

「さぁ!ビーストウォーズの始まりだ!」と意気込んで映画館に行ったはいいけど。
あの……意外とビースト組の出番少なかったね……。
これまで通り、G1コンボイ率いるオートボットと事件に巻き込まれた人間達が話のメインで、ビーストコンボイらマクシマルは「今回のゲスト」な感じ。(重要な役目もあったけど。)
もう5本だか6本だかG1コンボイ中心で映画やってるんだから、思い切って主役交代してくれてもよかったのに……と思ってしまうのは、やはり俺がビースト世代だからだろうか。

……でも考えてみれば世界中のTFファンの中でも、ビーストウォーズ直撃世代はせいぜい3年分ぐらいしかいないので、「ゴリラメインでやってくれよ!」と思う人なんて客層の中でも少数派なんだろうなぁ。
それにしたってタイトルが『ビースト覚醒』なんだから、もっと話の中心に来るかと思ったけど……印象としては『ビースト登場』ぐらいでしたね。
キャラによっちゃあセリフも少ないし。
喋らない人だっているし。
人っていうか、サイだけど。

ビースト組の活躍はもっと見たいところではあったけど、しかし映画としてはしっかり楽しめた。
話もそうだけど、今回は特に画面の作り方がカッコよくなったと思う。
これまでの実写TFって、ロボのデザインも変形工程も画面も、ゴチャゴチャしてた印象が強いからさ……。
前作『バンブルビー』からはロボットデザインが原作に近くなって変形もいくらかシンプルになり、全体的に見やすくなった。

特に変形。
これは俺の好みだけど、いくら精巧なCGが作れるからといっても、車の外装も中の機械も何もかもか細かくバラバラになって、ゴチャッとうねりにうねってロボットに変形するようなのはあんまり好きじゃないんですよ。
ボンネットがそのままストンと胸にくるような、目で追える程度の変形が好きなんです。
今回ぐらいのがいいよ。

それに加えて、今回は颯爽と登場したり爆発を背負ったり、「どうだ!カッコいいだろう!」っていうわかりやすい決めカットが多かった気がする。
最初にオートボット達が集合するシーンでも、サクサクッと変形して各々の立ち姿をビシッと見せる。「彼らが今回の主役だ!」っていうアピール。
ピンチに現れて屈強なメタルボディを見せつけるかのような力強いポーズ。
全体的に見やすくわかりやすくなって、ロボットの活躍を楽しむ映画としては満足でした。

◆吹き替え版

ビーストウォーズといえば、どうしても気になってしまうのが日本語吹き替え
……なにも、ギャグ満載を期待していたわけではないよ。
当時と同じキャストで、俺が好きだったキャラクター達が帰ってきたら嬉しいなっていう話。
今回の映画に登場するビースト戦士は少ないけど、その中でも子安コンボイ高木チータスが続投。
あの声のゴリラコンボイがいて、「じゃん」をつけて喋るチータスがいたのは嬉しかったですね。

そんな吹き替えビースト戦士に期待していたのが、変形の掛け声。
昔のアニメと同じように「変身!」にしてほしかったんだけど、やっぱり原語通りの軍団専用ワード「マキシマイズ!」だったね。
しかも個人で変身コードを叫ぶのではなく、ビーストコンボイが号令のように叫ぶのみ。
Netflixで配信してる『キングダム』でも同じ描写だったから、ちょっと予想はしてたけど……でもやっぱ「変身!」聞きたかったなァ。

また、映画の吹き替えで毎回いろんな意味で気になる……いやハッキリ言って悪い意味で気になるのが、本職の声優でないタレント吹き替え。
今回はメイン格3人……ノア(中島健人)、エレーナ(仲里依紗)、ミラージュ(藤森慎吾)が該当。
事前に公開された舞台挨拶の映像では、音響監督の岩浪さんが「今回は大丈夫」的なコメントをしていたので、まぁ大丈夫だろうとは思っていたけど。
(しかも「話題作りのためのヘタなキャスティングってあるでしょ」「過去にはキャストを理由に断ったことだってある」と、公式側からはあまり聞くことのないトークを展開した上で。)

ノア、エレーナは……文句を言うほどではないけど、やっぱりちょっと気になっちゃったかな。いや、他のキャストが本職ばっかりってのもあるし。
でも、見ていくうちに気にならなくなった。

そしてミラージュ藤森はとてもよかった。
なんだろう。多少ロボっぽく加工はしてるだろうけど、そもそもの声質がちょっとキャラクターっぽい?
ヘラヘラと軽口を叩くミラージュにあの声はハマってたと思う。とてもよかった。
……ふとした瞬間に高木渉に似た声に聞こえることがあったんだけど、俺だけかな?
その辺も聞きやすさの理由の一つなのかな。

あと吹き替え版だけのジョークと思われる、仕事の面接に落ちたノアが弟のクリスに励まされるシーン。
「スーパーマンだって何度も面接に失敗したよ」
「俺はクラーク・ケントじゃない。見当ケント違いだ」
中島健人ケントが言うからこその楽屋ネタだと思うんだけど、普通に聞いても成立するし、演者の名前で引っ掛けても成立する、うまいセリフだなと思いました。
原語だとなんて言ってたんだろう?
同じくスーパーマンの話だったのか、全く違う会話だったのか?

◆キャラクターについて

全員ではないけど、気になった人物をピックアップして。

◆ビーストコンボイ

予告では豪快に現れてドラミングをし「何しにきた!」と詰め寄る野生的な姿しか出てこなかったゴリラのコンボイ。
本編ではその直後にオートボットと和解してくれたからよかったよ。
正義側の内部で揉めるのとかあんまり見たくないからさ……。
それに原作のビーストコンボイの性格からすれば、好戦的な人……もとい、好戦的なゴリラではないし。(無茶はするけど。)
「今回はクールなG1コンボイとワイルドなビーストコンボイの対比?ウーン……そんな荒くれではないんだけどな……?」と思っていたぐらいなので、早々に誤解が解けてよかった。

一番良かったのは、人間との協力について否定的だったG1コンボイと対照的に、「目には見えないパワーがある」と言って人間を信頼しているところ。
やっぱり俺にとって思い入れのあるキャラクターだし、20年以上前には「やぁみんな!元気だったかな!」と親しげに語りかけてくる存在だったし、実写版でも人間に寄り添ってくれているってのは嬉しい。
それでこそ俺達のコンボイだ。

◆エアラザー

ハヤブサ戦士エアラザーは一番目立ってたかな。
最初に登場したマクシマルでもあるし、登場時間も一番長かった?
その割には一回もロボットモードにならない上に、最終的に死んでしまうんだけど。
同じく一度機能停止したバンブルビーは蘇生した上にメチャクチャ見せ場があったのに、エアラザーは意識を乗っ取られてビーストコンボイの手で……ってのは救いがないな……ロボットモードも一回ぐらい見せて欲しかったよ……。
まぁ、ビーストの姿のままでいないとオートボットと差別化できないってのもわかるんだけどね。他のメンバーも最終決戦しか変身しなかったし。

◆チータス

高木渉さんが予告動画で「自分もちょっと喋らせてもらってます」って言い方してたのが気になったんだけど、なるほど。あんまりセリフがなかった。
戦闘シーンで「撃つべし!」とか入ってたら嬉しいなーと思ったけど、実写版チータスの獲物は槍だったのでそれも叶わず……。
……っていうかそうだよ。あのロボットモード。
チータスは胸にチーターの顔を抱えてるのがカッコいいのに、なんですかあののっぺらぼうなロボットモードは。
オートボットの原作準拠デザインは好きだけど、マクシマルズはもうちょっとなんとかしてほしかったなぁ。
あとはお調子者のミラージュと似た者同士もっと絡んでほしかったけど、特にそういうことはなく。
(まぁミラージュはノアとの交流が主軸だから仕方ないとは思う。)

◆ライノックス

こいつだけ吹き替え声優が一向に発表されないな……と思ったら、セリフなしでやんの
これは……いや吹き替え以前に、原語でもずっと出てんのに無言ってことでしょ?
せっかく出てるんだからちょっとぐらい喋ってもいいじゃないか……。
ただこの件に関しては舞台挨拶の動画でも言及されてて、「吼える時にダナーッ!って入れて、その後ずっと無言ってのもね……」と、わかった上で吹き替えナシだったみたい。
サイの姿でウロウロしてるのは結構見たけど、変形した後とか数カットしか見た覚えがないな……。
お馴染みのガトリングではなく、ハンマー振り回してたね。
彼は無事に生存しているので、次回作でセリフあるといいね。

◆その他、マクシマルあれこれ

あとあれだ。冒頭に出てきたエイプリンク
目次でネタバレしたくないから項目は立てないけど。
俺も詳しくはないんだけど、エイプリンクっておもちゃで設定されたビーストコンボイと同型の赤いTFだよな!
「そんなところまで拾ってくるのか!」
とビックリしたよ。
しかも声が大塚明夫で、存在感があってよかった。

そういえばエアラザーがコンボイに「仲間は死んでしまって私一人」みたいなことを言ってたけど、二手に別れた時には他にもいたのだろうか。
トラか?白いトラでもいたんか?

◆オートボットの皆さん

ビーストコンボイの描き方はおおむね満足だったんだけど、G1コンボイ人間を信用しないあんまり余裕がないわで、ちょっと思ってたのと違った。
もっとどっしり構える人だと思ってたんだけど。
まぁ舞台が90年代ということで一応は過去編の扱いで、これから頼れるリーダーになっていくのかな。(TFの感覚で見れば全然最近かもしれないが。)
人間と協力することを知ったし、最後にいい感じのコンボイポエム詠んでたし。
あ、口は悪かったけどそれは元から割とそうなので特に疑問はないです。

あとはあれだな。ミラージュ
ノアの前で擬態モチーフをコロコロ変えて見せるくだりがあったけど、あそこで出てきた車種は過去のミラージュのおもちゃをなぞってる?
フォーミュラカーとか出てたでしょ、確か。
こういう小ネタいいね。

◆ノア

人間側の主人公であるノア。
いやもうなんというか。
ミラージュから武器を受け取って左手に装着するのカッコいいな、と思って見てたけど、まさか変身するとは思わなかったよ。
トランスフォーマーでこんなのアリ?っていうか元ネタあるの?と色々思ったけど、カッコいいからもうなんでもいいです。

や、カッコいいってのは何も見た目だけの話ではなくて。
偶然出会って半ば強引にミラージュの“ダチ”にされてしまったノアが、冒険を経てここまでの信頼関係を築いたってのがいいよね。
ミラージュがノアに力を渡す時のセリフ「ハンドルはお前が握れ」がまたシャレてる。
G1コンボイがずっと疑問視していた「人間と協力できるのか?」を証明する姿でもあるし。
人類とトランスフォーマーの関わりを描いてきた実写TFシリーズなので、たまにはこういう力の合わせ方があってもいいな、と思います。

……でもさすがに「相棒をバトルスーツにしました」で終わりはヤダな……と思っていたら、ラストで車に再改造されたので一安心。
特に説明はなかったけど、やっぱりミラージュの“核”になる部分を纏って戦ってたんですね。
世界を救うのはいいけど弟の病気(の治療代)は結局解決しなかったな……と思ったけど、最後の最後で解決。
よかったね。だが俺はそれどころではなかった。

◆注・最大のネタバレ

全てが終わって日常生活に戻ったノア。
就職面接に向かったはずが、相手は何やら謎の組織に所属する男。
世界を守る組織……?
今回の活躍のお礼に、弟の治療費を出してくれる……?
何の組織だ?
時系列的には映画第1作より前だから、セクター7でも出てくるのか?
でもやけに引っ張るな……?
男の渡した名刺を早く見せろ……見せろ……見えた!
組織名は……?

「GI JOE」……

ゑ!?!?!?!?!??!?
GIジョー!?!?!?!?!??

マジかハズブロ!!!!
マジでやるのか!?!?!?!??!?!?

最後の最後で一番ビックリした。
衝撃の展開ですよ。
いやまぁ言われてみれば同じハズブロだし、コミックで共演したことがあるとは聞いていたけど……。

俺はGIジョーについてはあんまり詳しくなくて、実写版『GIジョー』『バック2リベンジ』『漆黒のスネークアイズ』の3作を見ただけなんだけど。
それでもやっぱり好きなシリーズ(2がお気に入り)なので、この発表には大興奮です。
……じゃあ今後出るであろうスネークアイズは、こないだの映画のスネークアイズなんだろうか?
映画館に向かう時はビーストウォーズで頭がいっぱいだったが、帰りはGIジョーで頭がいっぱいなのであった。

◆この先のシリーズ

この先の映画の展開、どうなるんだろうね。
このままビースト合流を維持したまま「トランスフォーマー ビースト2 with GIジョー」になだれ込むのか。
それとも「ビースト2」と「TF&GIジョー」は別の作品になるのか?
……ただでさえビースト戦士は影薄めだったのに、これ以上愉快な仲間達が増えたらまた出番削られちゃうからな。
ビーストシリーズとGIジョーコラボは別枠がいいな。

そうなったら、やっぱり今回物足りなかったビースト成分を……とりあえずプレダコンズをしっかり登場させてほしい……。
ビーストコンボイがいるなら、ビーストメガトロンがいなきゃ。
ゴリラと恐竜の取っ組み合いを見せてくれ。

今回の『ビースト覚醒』、期待していたビーストウォーズ方面はあんまり……だったのはちょっと残念だけど、まさかのハズブロバース突入で別な方向に楽しみになってきた。
次回以降も期待して待ちたいと思います。