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ムーン・キャンサーとアーキタイプという言葉について考えてみた。

この記事はソーシャルゲームアプリ
Fate/Grand Orderの期間限定イベント
アーキタイプインセプション(Fate/EXTRA CCCも)の内容に触れます。
ネタバレやめて!って方はブラウザバック推奨です。




「響け!」の記事しか読んでない方は突然の他ジャンルの投稿にびっくりしたと思います。
実は私はTYPE-MOONという日本のゲームブランドが出す作品が好きでFate/Grand Order(以下FGOと呼称)もゲーム性はともかくメインシナリオが好きで読んでいます。
今回期間限定のメインシナリオ「アーキタイプ・インセプション」をプレイしてそのあまりのシナリオの出来に椅子から転げ落ち今筆を取っています。
多分書き出したら無限に書けてしまうためコンパクトにまとめようと3つの主題に絞りました。以下目次です。



新しい形の”人類悪”について


人類悪とは…

第1部終章の退去前のギル

これが現代の人類の発展を阻む悪としてこれまで描かれてきた。
そして1000年後の並行世界の未来
西暦3017年、この約1000年の間に人類は、不老不死、労働からの解放、富の再分配、貧富の差がなくなったことによる恒久的な世界平和と、人類の夢を余すことなく実現させてきた。
そんな世界には人類悪は存在しえない。
だってもう人類の発展は必要ないから。より善い未来を望む精神どころかこれが人類のより善い未来そのものだから。これが人類という種の限界点。

いやいや一つ忘れてるよ!
宇宙への進出も人類の大きな夢でしょ!まだ終わってないよ人類!

だが残念ながらそれだけは叶わない
その理由がムーン・キャンサー(注:”月の癌”ではなく”月の暈”)
そもそも月は魔術的な地球の防壁としての役割を担っている。
地球圏に落ちてくる邪なものを何万年もかけて受け止めてきた巨大な暈
しかし、その防壁も宙(ソラ)を見上げるには邪魔となるもの。
そんな天蓋(フタ)の幻想が極限まで浸透し現象となったもの。

これらが1000年かけても人類が宇宙進出できなかった原因。
人類は月から先への宙(ソラ)へたどり着くことができない。
人類の発展を人類自らの同調圧力が阻害している。ここが人類悪と少し性質が似ている。

人類が次代の霊長の金型であるアーキタイプの開発に成功し
月から先の宙(ソラ)へ行ける可能性が生まれた時でさえ
霊長の座から転落を恐れる人間の本能が
奪い、作り、与えてきた人類が
これまで愛玩してきた動物と同じ存在になる屈辱が
アーキタイプを次世代の霊長として認めないというムーン・キャンサーの集合的無意識がそれを目覚めさせることはなかった。

ここで登場した
勝たせる気のない人類悪
という言葉

遠まわしにムーン・キャンサーも人類悪の一つだということを
示唆しているように思う。

藤丸立香がムーン・キャンサーの集合無意識が集まる白い空間にいた時に
触れた苦悩、嫉妬、我執、悲しみ
これら負の感情は人間の悪性とも言いかえることが出来る。
ここでFate/EXTRA CCCでギルガメッシュが語ったBBへの言葉を思い出してみる。

CCCシナリオ集4巻より

彼はBBを”全く新しい人類悪”と評している。
但し、この時のBBは人間の悪性情報をリソースに稼働したままムーンセルに接続したため完全に人類への悪意マシマシ状態だったので素のBBではない。
つまり人類の悪性情報は人類悪になりうることを既にギルガメッシュはここで発言していた。この伏線が今シナリオで新人類悪:ムーン・キャンサーとして回収されたのかなと私は解釈した。
ちゃんと明言されてるわけじゃないので私独自の解釈になるが。

余談だが、そのビーストとムーン・キャンサーの中間にいる存在が
保存の理、無の獣 アンキ・エレシュキガルだったのかなと。
ナンバリングがないし、女神とビーストが合体しちゃってるし
兎に角、かなりのイレギュラーな存在であることは確か。
彼女の考えは人類の魂の価値を落としたくないと言う人類愛に満ちていたものの、不老不死(人類の発展)を妨害しており、ビーストとムーン・キャンサー両方の性質を併せ持つのかなと読んでいて思った。

超絶簡単にまとめると

人類の発展を願うが故にそれが人類を滅ぼす 人類悪:ビースト
人類の停滞を願うが故にそれが人類を滅ぼす 人類悪:ムーン・キャンサー

こんな感じだろうか。

アーキタイプをソラ(宙)へ飛ばす意味


アーキタイプ・インセプションのテーマはとても分かりやすく明確だった。

”継承”

この物語では”継承”という事柄が
マクロ的視点では人類が霊長の座をアーキタイプへ譲ることで描かれており
ミクロ的視点では先輩と後輩という関係性でそれを表現していた。
しかし、それは必ずしもポジティブな意味で使われてはいなかった。
先輩である海賊たちに狩りつくされたもう夢も希望もない海に漕ぎ出した後輩海賊であるバーソロミュー。彼は船員の未来など案じておらず、自身が好きに生きて好きに死ぬのだと言っていた。
天才発明家の先輩であるエジソン、彼の唯我独尊的な思想はライバルであり後輩でもあるニコラ・テスラを最期まで認めることはなかった。
これらは先達より先に行くことを許さない、未来のことなど関係ない、後継などいらない。
その行動が生命として誤りであるということを伝えてたのだと思う。
(生き方が誤りという意味ではない)

生命であることの責任
不老不死となったことにより
子孫を残し、次代へ繋ぐ責任を放棄してしまった人類。
この時点で人類は生命として終わっていた。
この時点で人類は停滞してしまった。

しかし、アンソニーの説得により
第三世代のAIたちは気付いた。
不老不死となったせいで人類が停滞したわけではない
不老不死になってまで達成しなければいけないこと
人類にはまだやり残したことがあるのではないかと。

それがアーキタイプをソラ(宙)に飛ばすこと。
自分たちが生み出した次世代の霊長(子孫)を宇宙に送り出すこと。

ここでのアーキタイプという言葉は星の頭脳体としてのアーキタイプとは少し異なると考えている。

上記の説明では
アーキタイプ:天体
とあくまで天体のアーキタイプはこうゆう成り立ちで生まれるのだと説明されている。

アンデルセンが言うアーキタイプとは私が勝手に名づけるのならば
アーキタイプ:霊長

作中の説明には
アーキタイプ:天体は、その星の霊長の成熟期に
自分たちの幻想(はじまり)は、自分たちの本質(けつろん)は
こんな姿をしていたのか
と夢見ることで生まれるとある。

つまりアーキタイプ:天体は
星の夢=霊長
そしてアーキタイプ:霊長は
霊長の夢=次代の霊長

この霊長の夢とは”宇宙進出”
年表を参照すると西暦2400年に人類は成長限界域に到達したとのこと。
つまり”宇宙進出”は、今の人類のフォーマットでは不可能な
人類最後の夢。
ならばそれを成し得る生命体を人類は夢見た。
それがアーキタイプ:霊長ではないのか?

ここでアーキタイプ:天体が生まれる一連の流れを簡単におさらい

”星の卵”と”星の魂”が好条件で同じ宙域に存在した時に
天体が誕生する

知性体が生まれる

その知性体が霊長となる

アーキタイプ:天体が生まれる。
アンデルセンの言葉がアーキタイプ:天体にも当てはまるなら
アーキタイプとは”その星の最終的な霊長と同義”
逆に言えば人類をその星の最終的な霊長であると星が認めたから
アーキタイプ:天体が生まれたということになる


その時点で星の役目は終わり
この星の最終的に霊長である人類を生み出したことが成果

ここら辺がややこしいんですが
星の成果はこの星の最終的な霊長を生み出したこと(=アーキタイプ:天体を生み出しこと)
霊長の成果は自身より優れた次世代の霊長(アーキタイプ:霊長)を生み出したこと

アーキタイプが生まれるということは
そのモノ(星/生命)が生まれた成果(意味)を残すということではないだろうか。

星は霊長を生み出したことでその役目を終え
霊長は次世代の霊長を生み出したことでその役目を終える。
もしかしたら次世代の霊長は次々世代の霊長をこの宇宙のどこかで生み出すかもしれない。その次々世代が今度は宙(ソラ)の外に飛び出すかもしれない。
”夢の継承”
それがアーキタイプを宙(ソラ)に飛ばす理由だと私は解釈した。

実際のところ、宙(ソラ)に飛ばしたアーキタイプ:霊長が具体的にどうなるかは不明ではあるが…特定の星を居住地としない宇宙に適応した生命として生まれたりするのかも?

個人的に刺さったやつ


BBドバイが起こした事件が本質的にはCCCでBBが起こした事件と同じで

人類の足跡をなかったことにする人理に反逆したAI
自身にいのち(あい)をくれた白野を生かすためにムーンセルに反逆したAI

どちらも自身のワガママにより”世界”を敵に回していて、最後までそれを明かさず、悪役を演じるところまでそっくりで。

どんな平行世界のBBでも変わらないんだなと。
でもその原型は月の裏側で起きた特殊事例(CCC)で生まれた。
路傍の石を気にかけてくれた、無いもの同然のものを”有る”と言ってくれた彼/彼女がいたから。
BBは人間の善性を信じることが出来たのだと思う。

最期の1枚絵…もうこれCCCのファンディスクだなって

CCC自体がEXTRAのファンディスクなのにその更にファンディスクってなんですか?

お別れ
ではなく
見送り
と白野が言ってるところが”継承”という奏章Ⅲのテーマに沿ってて
旧人類が新人類へ移り変わっても
そのいのち(あい)を人類のために使うと言った彼女がとても美しく誇らしかった。





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