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週刊実話

開運は何かと聞かれたらまず「挨拶すること」なのだ。という話を100円出してとある方のノートを購入してなんだ簡単なことじゃないかと思った。
そう思った事を今日改めてというか尚更、というかなんというかドカンと感じた出来事があったので書いておく。

職場で働く仲間は色んな人が居て出たり入ったりの繰り返しだったりずっといる人はごく稀だった。そんな所に十年居た私も今月で退職することにした。
十年居れば見送る方が多くなって出ていく理由は大体「人間関係」であって仕事がキツイだとか給料が少ないだとか言う人は意外と少ない。皆割り切って給料貰って我慢して「人間関係」という仕事よりも遥かにメンドクサイことにもう付き合えなくなって出て行ってしまう。

彼女は日本語の読み書きで出来ないことをいつも「ゴメンナサイ」と謝る。日本人の男性と結婚している東南アジア出身三十代半ばで日本在住歴10年。名前はジーナ。ジーナは20代の時に日本にやってきて1日12時間立ちっぱなしの労働で休みなしの1か月「ナナマンエン」しか貰えない仕事で「ヒャクマンエン」貯めた。貯めたお金を実家に送って土地を買って余ったお金を寄付した。「イスラム教徒はあんな酷いことしないよ」と過激派イスラム原理主義の話をうっかり聞いてしまった時何度もそう言われた。チガウアレハマチガイホントウダヨ。ホントウノイスラムハミナマジメニチャントヤッテル。

日本語が書けない読めないから自動的に肉体労働の仕事が割り当てられいく。いくらなんでもこれはキツイのではないのかと聞くと「ダイジョブダイジョブ。ハタラクノスキダカラネ」と笑顔で答える。入社して6キロ痩せたと喜んでいたけどそれぐらい働いて居るのだ。それなのにいつも笑顔を絶やさないジーナ。その笑顔が段々と曇って来たのはここ1か月前からだ。

朝彼女が来ると「オハヨー!」と両手広げて挨拶を交わすのに今日は沈んだ顔でオハヨウゴザイマスと声に力が無い。理由は分かっている。50代半ばの同僚からずっと無視をされ雑に扱われ彼女の自尊心が傷ついて我慢出来なくなって泣きながら昨日帰ってしまったのだ。あと30分で終わりの所で心が折れたらしい。タイムカードの打刻が退勤時間に満たしていなかったので部長が呼びに来て彼女は連れていかれた。

ジーナは言った。
おはようしても返してくれなかった。いつも無視された。おはようございます言うの何故無視する?皆おはようは言うよ?初めの1か月我慢した。でもずっと挨拶返してくれない。それも言えないなんてこれ以上、心ずたずたにされるの我慢出来なかった。今すぐ辞めたいけど我慢する。1か月前に言わないと辞めること出来ないの分かってる。だから1か月我慢してから辞める。仕事キツイけど大丈夫だった。でももう辞める。


言い終えて彼女は大量の涙を拭って仕事を始めた。
無視されても挨拶し続けた彼女と挨拶されても無視し続けた彼女。
これからどちらに運が開けていくのだろうか。


私はジーナに運が開けると思う。
ジーナの手相は豊臣秀吉と同じますかけ線がある。
それをジーナの家で東南アジアの手料理ご馳走になった時教えた。
「とよとみひでお?」って言うから爆笑して違う秀吉!将軍だよって教えた。だからきっとジーナは将軍になる。
そして将軍になったジーナは笑顔で皆に言うだろう。
「オハヨウゴザイマス」


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