いらっしゃいませルナでございます

あのお店には可愛い兄妹猫が居るんですよ 全然似てないんですけどね

そう、全然似てないの。っていうか似てなくて良かった。鬼瓦権蔵みたいなフェイスの兄とおんなじ系列遺伝子だったらルナもう死んじゃう。ママがヤリ子だったお陰で兄貴は茶トラ、私は全身黒と額にクリーム色の月がちょこんと乗った柄、妹達は靴下履いた白茶黒ミックス。ここんちに拾われて猫カフェ最重要従業員、つまり店の主力ね主力、その主力として毎日働きに働いて兄妹五匹頑張ってきたわ。どうしたらお客の心を掴めるのか、猫の可愛さを研究し、お互い切磋琢磨し一級の愛され猫として日々精進してきた、つもり。

そう、つもりだったのよ。下の妹達は一級の愛され猫として店の売り上げに貢献する人生、いや猫生よりも家族を欲しがったのよ。寂しさは仕事と兄妹愛で埋められるとルナは信じて頑張ってきたんだけど別れ際、妹に「おねいちゃんいつまでここに居る気なのぉ?畠山君だっていつまでも学生さんぢぁないんだしぃ、そのうち恋人でも出来て結婚したら」ここで猫パンチお見舞いしてやったわ。

そう、いいのよ。残った兄妹はブサイクな兄といたいけな妹の私だけ。人の良いオーナーは捨て猫達を近所の人達に毎度押し付けられてここで育てる。オーナーは自分の事「何にも出来ないから一所懸命目の前の事をやるだけ」って言ってるけどそれって大事なことだとルナは思うんだ。過去の事、先の事を考えてたってどうにもならないしやる事やって店の役に立つなら頑張っちゃうもんね。八割畠山君の為なんだけどねっねえ聞いてるの畠山君っルナは畠山君が居るからここに居るのよ家族なんて欲しくないし仕事が生きがいの働く女なのっ輝く女性なのっ去勢されてカマ口調の兄貴と違うのよっカマ次郎はオーナーの愛人気取ってるんだからっまちかど情報室で仕入れた情報なんか役に立たないんだからぁぁ!

ぐすぐす・・・本当はルナにも家族が欲しいの・・・。うぇうぇうぇっ   えっ・・畠山君今なんて言ったの?ルナの事大事な家族の一員ですって・・?本当・・・?ルナ嬉しい。もっとなでなでしてぇぇ

そう、私は働く女ルナ。日々畠山君に愛され、時には愛情を確かめ合い、ここ猫カフェの最重要主力従業員として今日も元気に働いています。月の光が暗闇で輝くように凛とした猫生を生きていきたい。こんにちはぁ~いっらっしゃいませ~いらっしゃいませぇ~本日お相手しますルナでぇ~ございまぁ~す!どぞお気の済むまでなでておくんなまし~!

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