知っていること

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一度目の同窓会の葉書が着たのは十年前です。実家に帰った時に母親から手渡されました。その頃海外留学してましたので日本に戻ってきた時に知りました。懐かしさもあり、あて先が幹事の真奈美ちゃんに電話しました。同窓会に行けなかった事、今住んでいる東京の事、海外留学の事、主に私の近況報告をしました。真奈美ちゃんは色々聞きたがりました。私の母親が先生と言う職業だったせいもあり、子供の頃から「大人になったら英語が必要になるから」と絵本や、ドリル、パソコン通信教室で英語を勉強していました。いつか日本を出て行くんだと小さい頃思ってました。逆に真奈美ちゃんはそんなこと一度も思った事は無かったみたいでした。今でもあの村の、いえ、もう村じゃないですね、町から出て一度も他所で暮らした事が無いって言ってました。出たのは忠明ちゃんと勝ちゃんと芙美子ちゃんと・・・・あと誰だったかなもう一人、ああ、真琴ちゃん。真琴ちゃんは東京に出たっきり帰って来てないみたいですね。他の三人は一度他所に出て実家に戻った組です。出る前は田舎が嫌で、出て行けば本当の自分になれるかもとか、何か楽しいことが待っているとか色んな甘い事考えたりするんですよね。実際親元離れて知らない場所で暮らすのは大変で自分が惨めに思えたりする時があったって言ってました。「車買ってやるから家に戻って来い」と忠明君は親から言われて一年もしないうちに戻ったみたいです。私は高校時代カナダに交換留学生として半年、都内の大学に進学して二十一歳の時一年半アメリカに留学しました。三年の終わりに就職内定しました。ええ、今も勤めてます旅行会社です。

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