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【家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった】読書感想文

 私は、家を離れたくて仕方がなかったので、大学デビューを機に一人暮らしをはじめ、卒業後はそのまま、いえ、より遠くに永久就職してしまいました。

 生まれ育った家族と離れることに何の疑問も持たず、将来どうなるかなんて考えもせず、若さゆえの勢いもあって、新たな家族と暮らし始めていました。

 あれから数十年……。ふとTwitterで見かけたこのタイトルが、だからとっても不思議でした。失礼ながら、もしかして、実は養子だったとかの問題を抱えていた、なんていう誤解を一瞬してしまい、思わず実物を手にとり、レジに向かいました。

知らんけど。最強ですね。

 読みはじめるとそこには、涙なくしては語れないはずの岸田さんのこれまでが、コミカルで軽妙なタッチで綴られていました。まるでご本人が喋っているのを聞いているかのようなスピードで染み込んできました。

(先日の配信で聞いている限り、しゃべるスピードはその3倍くらいとお見受けしました。失礼しました)

 赤ベコには笑いました。ブラジャーにはハラハラドキドキでした。ミライロや沖縄旅行はワクワクしながら読み、お父さんのネットの話には苦笑しつつもウルウルさせられました。喜怒哀楽が目まぐるしくやってきて、忙しかったけど、本当に面白かったし、楽しかった。勇気づけられました。

 最後に一言、知らんけど、ってあるのがいいですね。適当に言ってるんだよねともとれるのに、独特のやわらかさが添えられていて、こっちもフフフってなりました。

優しい人たちばかりではないでしょうに

 そうやって話ができるまでにどれだけの葛藤があったことか。個性強めな家族には困ることも多いはずなのに、どうしてこんなに前向きで、と思っていたら、やっぱり鍵はお母さんだった。最後の章にあった、オーバーなくらいの愛情表現。ここだ、ひろ実さんすごい。取り繕うことなく正直に向き合う姿にホレボレしました。

家族を選ぶこと、選んでもいいということ


そしてやはり最後の幡野さんとのエピソードには、ぐっとくるものがありました。岸田さんとは違う意味で、涙があふれてきました。この数年間悩み続けてきた問題だったからです。ここでようやくタイトルの不思議な感じも氷解しました。

 一緒にいる家族を選ぶ。目からウロコがポロポロ剥がれ落ちた音が聞こえるようでした。まだまだ考えることはたくさんありますが、確かなこと、大事にしなくちゃならないことを教えてもらいました。

最後に

読書感想文を書く、という目的を持って読むのは久しぶりでした。疲れましたが充実した時間でした。ありがとうございました。

以上。

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