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壁越しの同居生活



私の住んでいるマンションは、築30年くらいの鉄筋コンクリートマンションで私の部屋は三階角部屋307号室。お隣306号室には若いカップルが住んでいるのですが

わたしはその二人の部屋の出入りや生活リズムをある程度…いやほぼ完璧に把握しています

決して、私がその情報を仕入れるために何かしらの犯罪を犯しているわけではありません。
向こうから、勝手に舞い込んでくるのです

どうしてそんな個人情報が手に取るようにわかってしまうのか?


そう。実はこの物件…
音を通す力が尋常じゃないからです。

引っ越してきた当初ここの音の通気性を知るやいなや……うわぁあぁぁぁあ!!なんてとこに来ちまったんだ!!!!!!!
ここは木造でも、鉄骨でもない、鉄!筋!コンクリート!!(一番強そう)
なのに?!なんでッッ?!????

と、壁づてに伝ってくる野太いいびき声に怯えながらほとんど泣き出しそうになっていたのですが

この生活、、、

気づいたときには、たいへん心地の良い居場所となっていました。

超ラッキーなことに、隣の若いカップルはめちゃくちゃな仲良しこよしだったのです。


咳払いをする程度の、少し大きい音を発せようもんなら途端に筒抜けになるうっすい壁(ほぼ紙)から、共鳴し合うような笑い声が聞こえてくること聞こえてくること
いつも、何がそこまでおかしいのかまでは把握できないのが悔やまれどころですが
これが誘い笑いというやつなんでしょうか、どんな時もつられて一緒にわらけてくるんですよね。

そして、凄いことに越してきて1年近くたっているにも関わらず、悪意がこもったような、耳が嫌がる音が聞こえてきたことが一度もなく(喧嘩するときはそこらへんの森とかまでいってるのか?)とにかく淡々と、穏やかに笑い合っておられるのです

おかげさまで一人暮らしにはつきものの寂しさが紛れて、夜中に決まって聞こえてくるいびき声も子守唄と化しました
越してきて約一年。いまとなってはほぼ紙切れみたいな壁で本当によかったと、ここへ導いてくださった全ての方々に心から感謝をしています



さてこの隔たり
もうないも同然と言いますか。

現在私の中では
隣のカップルと私は一緒に住んでいて、つまり壁越しの同居生活中なのだ!
ということになっています。

となると同居人に対して、遠慮をしすぎるのは返って失礼。
わたしもまけじと、バラエティ番組を見ながらゲラゲラと笑い、お気に入りのCDをかけながら高らかに歌い、タンスに小指をぶつけたら腹の底からの悲鳴をあげる。

おそらく向こうもそんなわたしのことをかなり気に入ってくれているのではないでしょうか。


なんとも素晴らしく、
この上ない特権つきの鉄筋コンクリートマンション。カップルとの同居生活。



ところがどっこい、そんな毎日が脅かされるような今日このごろ。
わたしは、、、この暮らしを、意地でも手放したくない。手放さぬぞ!!

これは、わたし側から今日の社会風土への身体いっぱいの小規模宣言。通常事態防衛宣言!