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15年越しの念願叶ったり

15歳の自分は地球温暖化がHOTだと思っていた
世間的にどうだったかなんて今や知る由もないが
地球温暖化の話ばっかりだなぁと思っていた

中高一貫校に通っていた当時、
それは名ばかりの卒業論文にも多く登場していた
180人中70人くらい、いやそれ以上の人がそれについて書いていた気がする
本当に興味があるかどうかなんて関係なかった
情報があふれていて、だれでも手軽に書けたのだ
僕もその有象無象の一部だった

地球温暖化というテーマのもと、僕はゴミに注目していた
東京都の中であまり治安のいいイメージのなかった街に住んでいた僕は
登下校中、毎日のように通学路にゴミがあることに滅入っていた
特にタバコの吸い殻だ
見るたびに気持ちがげんなりしていたのを今でも覚えている
というか、今でもげんなりしている

いつだか母にタバコの吸い殻を拾いたいから吸い殻入れを買ってもいいか
と相談したことがある
「あなたが吸ったように思われるからダメよ」
そんな考え方があったかと驚きを隠せず
目をぱちくりさせ、タバコを吸うような口で固まった
まさかゴミを拾うという行為が許されないとは思わなんだ

以来、つくしのようにぽこぽこ生えてくる吸い殻をみては辟易していた
大人が背広のポケットから出す高そうな吸い殻入れさえあれば
僕は街を日本を世界をきれいにできるのにと歯がゆさでいっぱいだった

二十歳を超え、自分が吸ってもおかしくない状態になっても僕は悩んでいた
母が許可しなかった理由からも解放され、
許可も何も成人しているし、すでに母親はいないのに…
自分が吸いもしないのに、吸い殻入れを買うの気持ち悪いなと
100均で安いの買うのもあれだし、わざわざ高いの買うのもあれだし
心地よい妥協点のようなものを見つけられず彷徨っていた


なんで今更こんな文章を書いているのかというと
察しのいい読者ならウンヌンカンヌン
15年来の念願が満を持して叶ったからである

昨日散歩をしていて、運命的な出会いをした
あつらえ向きな吸い殻入れに出会ったのだ
サイズ、デザイン、価格に文句の付け所はなく
製作者と何気なくかわした会話から拝借したナラティブが決め手だった

吸い殻入れを頂いて、帰路に着くなり、
2月の半ばと少し早めのつくしたちを収穫していった
見る度うんざりしていた彼らを見る度こんなに心躍るなんて
春は出会いの季節とはよく言ったものだ

今から僕は街へ走りに出る
新たな素敵な出会いを心待ちにしながら

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