喧嘩〜パートナーとの話⑦
ケンカっていうものは、どうしてこうも飛び火して火元が見えなくなるのだろうと思う。
私の意思で、消防車を呼ぶことができない。
昨晩、彼と電話で少し言い争いになった。
きっかけは、私が自由に楽しみはじめたこのnoteや表現に、彼がチャチャを入れたこと。
『自由にやりすぎや』
と、彼は言う。
自由にやりすぎ、を指摘されたのはもうすでに3度目だった。
1度目は笑えても、3度はしつこい。
私はそう思った。
なぜ自由にしてはいけないのか。
自由にやるのが最高ではないか。
やりすぎくらいがちょうどいいではないか!
と自分MAXの私は彼を跳ね返した。
追加攻撃をかます。
あなたは自由にやりすぎてる私が羨ましいんでしょ!
かっこいいセリフまで彼に投げる。
どこかで鼻が伸び切ったテングをみたら、それは私だと思って欲しい。
『そんなことはないよ。冗談だったんだ。
自由にしてるマチを見れて僕は嬉しいんだ。』
彼は言った。
じゃあ、チャチャ入れないで。
冗談がつまらなすぎる。
一つも笑えないじゃないの。
もっとセンスのいい冗談を言って欲しい。
私の言葉たちは、口から飛び出していくのをやめなかった。
『なんて言ったらいいかなぁ…
とりあえず、一旦仕事に戻る』
彼は疲れたように、呆れたように、電話を切った。
私も家に戻り、お風呂に入った。
お風呂で考える。
確かに無駄に怒っちゃったかも。
でも、自由に描くのを止められるのは嫌なんだ。
消火作業だ。
なかなか燻って消えない怒りの。火を消そうと頑張る。
あとで、電話して謝らないとな。
私はそう思った。
お風呂から出てiPhoneを見ると、通知がきていた。
彼がSNSに写真をアップしている。
彼が撮ったものだった。
どこぞの女か知らないが、なにやらお褒めのコメントを寄せていた。
気持ちが落ち着いているときなら、
おお、楽しそうだなぁ
で終わりだ。
だが、今は無理。
どこに対してかわからない嫉妬がメラメラした。
女性に嫉妬なのか
はたまた、褒められてる彼が羨ましいのか。
両方だ。
謝るはずの電話が、変わった。
コールする。
彼が出る。
わかりました、わかりました。
どうやらコメントをもらって喜んでるアナタが腹立つみたいです!
突然暴走する私。
私の中の怒りが飛び火して、それは飛んだ先で火玉のようになっていた。
私1人で消火せねば!と思うと余計にできない。
笑う、彼。
『おまえ、大概だぞ』
彼はそのあと、私のジェラシーをしばらく聞いた。火玉になった私は、言葉を選ばず、女性に対して持った嫌な気持ちも伝えてしまう。
『おまえ、そういうのもう無いってゆうてたけど、やっぱあるよな!』
笑い続けたまま、彼はいう。
『いや、妬くのもなんでもかわいいからいいけどさ』
その瞬間、火玉の私は
ヒューーーーっと上に登っていき、空中で弾けた。
パンパーーーン!
【たーまやー】
彼は凄腕の花火師だったらしい。
私の怒りの火玉を消火しようとしなかった。
逆に、花火として扱って綺麗に打ち上げさせてくれた。
なんと!そう返してきたか!
私はそう思った。
簡単にごめんね、などと言われても、心の消防車はこない。
下手すると、逆に燃えさかったりする。
火玉をそのまま受け入れて、
弾けて良いのですよ、それがかわいいのです
と言われれば、カラフルな色をひっさげて、思いっきり散れる。
そして、何もなくなる。
綺麗だったね、といい思い出になって終わるのだ。
さすがですよ、さすがです。
彼の火玉の扱いに
スタンディングオベーション、拍手喝采だ。
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