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化粧考〜赤い口紅
今どきの子は化粧が上手いなぁと感心する。自分の顔を良く見せる方法をちゃんと知っている。化粧をしていないのかと思えば「ナチュラルメイク」なるものだったり、それどころか使用前・使用後で別人のようになる動画だって溢れてる。もはや職人技ではないかと感服する。
昔、母の化粧台の引き出しにあったのは、白粉、口紅、眉墨、ほお紅、それにリップクリームみたいだが中身が真っ青だったあれはアイシャドウだったのだろう。どれもひとつずつしかなかったし、普段は化粧なんかしてたっけ。。。
今は種類が多過ぎて何が何やらわからない。下地にコンシーラーにファンデーション、ハイライトにチークにアイシャドウ、アイライナーやらアイブロウ、マスカラにチ口紅、、、わたしに分かるのはそこまでだ。しかし、こんなもんじゃないらしい、顔を小さくしたり目を大きくしたり、顎を、頬骨を、二重瞼を、いやいや、ナミダブクロなんてのも造るのだ。外科医か?
そうしてのっぺらとした顔がぐんぐんと立体的になり、眼はうるうるとして、半開きの口に吸い寄せられるオトコもいるのだろう。ほほぉ、なるほどな、そこにそう、影をつけるのだな。職人技をボケーっと観ているわたしの口も半開きだ。
海外のドラァグクイーンのメイク画像などほとんど芸術的でさえある。そこにそんな派手な色を入れちゃうわけ?マジで?斬新な手技に目を見張る。そして、出来上がりの美しいことよ!エクセレント!出来上がった顔は素晴らしい作品である。
で、60を超えたわたしは化粧をするのか?するのである。ガッツリするさ。ナチュラルメイクなんかするわけない、60のナチュラルじゃあ、ただのバアサンだ。目指すは50年代のVOUGEの表紙である。笑わば笑え、目指すのは勝手だ。
眉はあくまでキリリと。アイラインはキッチリ入れる、口紅はもちろん赤だ。
うん、まぁ目指すだけ。脳内の理想はな。。。
VOUGEどころかスーパーのチラシ的な仕上がりであったとしても致し方ない。鏡の前で己の顔を睨んでいるときは VOUGEだったんだ、脳内では。
ヨレヨレのTシャツに真っ赤な口紅はどうなのさ?ってことだってよくある。なので、真っ赤はもうちっとくすんだ色に変更され、あるいは更に薄めの色でお茶を濁したりもする。しゃーないじゃん。
なので、他人が見れば結局はそのへんのオバさん、もしくはバアサンなんだろう。でもいいんだ、誰の為ではない、自分の目指すところはあの表紙のキリリとした顔なのだ。そうありたいと思い続けることが大事なんだ、、と、少々気弱になる。ちなみに赤い口紅は何本も持っている。つける機会は滅多にない。いや、たまに塗ってみる、で、鏡を眺めて「いいな」って思う。それからティッシュで拭き取って違う色を付けてからゴミを捨てに行ったりする。
いつかまた、お気に入りの服に真っ赤な口紅をひいて、何処かに出かけよう。誰かの為じゃなく自分のため、VOUGEの表紙の顔して出かけよう。
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