離人感

精神疾患の症状のひとつに「離人感」というものがある。

不快感があったわけでも、特段困っていたわけでもないんだけど、多分、私は子供の頃にこれもしくはかなりこれに似た感覚を日常的に感じていたのではないかと、大人になってから摂食障害を始め色々と調べていくうちに思うようになった。もしかして、自我がはっきりする前の比較的内向的な子供にはあるあるなのかもしれない(これまた医療の分野に素人が出過ぎた見解を差し挟むのは大変にリスクがあるので話半分に読み流して頂きたいが)。


離人感とは一体何か。

離人感・現実感消失症では、身体または精神から自分が切り離されたような感覚が持続的または反復的にあり、自分の生活を外から観察しているように感じること(離人感)や、自分が外界から切り離されているように感じること(現実感消失)があります。
MSDマニュアル家庭版より


いくつかのソースを当たってみたものの、ううん、どれも大変にわかりにくい。

体験したことがない医療者がこれを判別することは可能なのか。私だって症状を詳細に医師に説明して「ああ、それは離人感と言うんですよ」と言われた経験があるわけではないからな。


だから本当の離人感の定義に、私の経験が当てはまるのかどうかは定かでないけれど、子供の頃の私のしばしば経験していた感じは、こうだ。



・何かふとしたときに、自分の手のひらなんかをじっと見る(石川啄木先生ではありませんよ、子供ですからね。)


・「生きてる、生きてる、生きてる」と頭の中で繰り返す。(完全にヤバい子供だな)


・そうすると、どこかでふっと、「ん?なんで私はこの器(身体)の中にいるんだ?あれ、何でだっけ、ここ、てか、どこ?」みたいな感じになる。


それがなんとも言えぬ、快適ではないんだけど新鮮な感じって言うのかね、なんとも言えない驚きをもたらすんだな。ほんとになんか、今自分がこの身体の中にいて、周りの現実、家族とか家とか全ての現実がなんか突然全部今始まったことのように感じられて(記憶は勿論確かに繋がっているんだけど、それと併存するんだ、その感覚が。)本当に不思議な感じ。


もしかしたら自分の身体を傷つけることで生きていることを確認したり、現実の心の痛みを物理的な痛みに転嫁したりする、そういうのと根底では起きていることは共通しているのかもしれない。


だから結構しょっちゅう、意図的に私はそのゾーンの中に入りに行っていたなあ。

小学生~中学生くらいの頃のことだったかな。


それが、なんか、成長して行くにつれて再現がだんだん出来なくなってきて、うーん、いつ頃だろう、少なくとも、就職する頃にはその現象が存在していたことすら忘れていたかな。

最近になって、改めて精神医療について当事者目線で検証することを始めてみて、どうだろう、今の私に再現できるかな、と、実はお風呂の中なんかで時々試すんだけど、まあ上手くいきませんね。


なんとなくだけど、大人になったら魔法が使えなくなっちゃいました的な、一抹のさみしさをおぼえるような気持ちもする、不思議不思議な感覚でした。

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