夢だけが不都合を消し去る(日記)

今日、久々に朝の雷を聴いた。
こんな冬に、そして夢の中で聞こえた雷だったので、これはわたしの幻聴じゃないかと思った。だけど昨日は雷に関する情報を見た覚えがない。では本当に雷が鳴っているのだろうか。
そんなことを考えながら、わたしは窓の奥を見つめていた。夢の中だからか、空はとても不思議な色合いをしている。水色と紫色のグラデーションの空は大雨と雷の音とどこか不自然で、夢らしさが表れている。
その光景に魅入られて、不思議と足は家の外に向かっていた。
まだ雷はここまできていないようで、大雨だけがこの街を占拠していた。傘も持たずに歩いたからか、肌に伝う水滴の感触で風邪をひきそうだ。それにしても雷の音が大きい。もしかしたら、この街に来る頃にはこれまでにないほどひどくなるかも知れないぞ。
わたしは家の近くにある薬局に寄っていくことにした。アイマスクとお菓子を買うためだ。雷が来る前に寝ついてしまえば、きっとまた夢が雷を忘れさせてくれるんじゃないかと思ったからだ。薬局を見ていたら、いつのまにか16時になっていた。天気予報では20時に雷が来る。しまった、これじゃ間に合わないぞ!
なんとか家に帰って、寝る支度をする。どこかの書籍では深部体温がさがる時にねむくなると読んだので、お風呂にも入る。暖かさを感じているうちに、だんだんと誰かの声が気になってきて──
雷の音と家族の声で目が覚めてしまった。どうやら外ではほんとうに雷が鳴っていたらしく、二人は会話で盛り上がっている。会話は別にいいが、場所を考えて欲しいものだ。せっかく暖かいお風呂に入っていたのに……すぐそばの時計はまだ9時だ。夢の温もりを思い出しながら、久々に熟睡できた自分に驚いた。

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