背を押したそよ風

久方ぶりに外でお酒を頂いた。

帰りしな、走れば30分、帰宅を早められることに気づいて、2度3度と疾走する。

息も絶え絶えだけれど、酔いのためかさほど致命的な苦しさにはならず。

こんな無理も効かなくなっていくのだろうけれど、接続の違いで30分も帰宅が変わるなら、頑張ってみたいなと思った。

恥も外聞もかなぐり捨てて走る。


1分2分を争う時刻だと思っていたけれど、5分も早く駅に着いて、安堵した。

ともすれば、走らなくても間に合っていたのかもしれない。


それでも、週の末の金曜日、不格好に走ってでも早く家にたどり着かんと背を押した力が、安堵して座席に腰を鎮める今は妙に暖かくも感じるのだった。

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