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稽古考24

■ 2003/10/09    「飛び受け身」考

飛び受け身について道場生から質問があった。それについての私の応えです。確かに、入身投げの【飛び受け身】は、危ないのかも知れません。敢えてそれを行う必要は無い、とも思います。しかし、考えてみると四方投げ、小手返しなども同じ事が言えるでしょうね。

私の事を言います。私の場合、野村師範の前立ちの「受け」を長くとっていた関係上、流れに乗ってゆくと入身投げの受けは「後ろとび受け身」になりました。「四方投げ」などは、前受け身で「跳んだ」方が楽。なまじ踏ん張ると、翌日腕と腰がエライ事になります。「小手返し」は、シッカリ「跳ばない」と畳で太ももを擦り剥き、翌日青アザです。

相手が大柄の人の「入り身投げ」の時は首つり状態になります。つま先立ちがつらい、畢竟、「後ろとび受け身」をよくやりました。そう考えてくると、やはり、「成り行き」と言うか「必然」と言うか、「取り」次第で「受け」の変化が出てくるのではないか。

今でこそ師範と「互い稽古」をやることは殆どありませんが、かつて、少人数で稽古していた頃は、野村師範に投げられた後、次は田中さんと続いたら、これはもう大変でした。冗談でよく言っていますが、私の段(昇段)は受け身でとったようなものです。だから、受け身から学ぶ事は、非常に多かったと思っています。

では、その必要もないのに、また、その段階にも至っていないのに、入り身投げの「とび受け身」稽古をしても意味がないのでは。と言われそうですね。ですから、「敢えてそれを行う必要は無い、と思います」。と、先に述べたました。でも、咄嗟の、技の流れに応じて「跳ばねばならない」事もあるのではないか、かえって「跳んだ」方が安全な場合もある。そんな風に考えることもあります。

現在、奈良の道場でよくやっている入り身投げの「とび受け身」は、小手返しなどの時の受け身と同じ「前とび受け身」の応用だと考えられます。小手返しや四方投げの「前とび受け身」が出来ていれば、比較的容易く、安全に出来るのではないでしょうか。

また、私の事を言います。私が初心者の頃、野村師範も入り身投げに対して、普通の「後ろ受け身」を取っておられました。しかし、ある時期から私の入り身投げに、殆ど「前受け身」で応じられるようになりました。「首根っこ」を意地でも(上腕、或いは胸から)離さない私の投げ技に対する、或いは、背丈、体格の違いからくる、「受け」対応なのかも知れません。先述の「入り身投げの受け」を考えるに、そこには受け身を「前受け身」で取るか、又は「前とび受け身」で取るかの違いがあるだけです。

要は「取り」の状態に合わせて「受け」が変化する。それが「後ろ受身」或いは「前受身」、「前とび受身」、そして「後ろとび受身」と、そのいずれであっても、その人が何を稽古したいのかを基準に考えれば良いのではないだろうか。


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