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Exploration Daysと変革の取組みをふりかえる

この記事はManagement 3.0アドベントカレンダーの5日目の記事です。

Exploration Daysとは

Exploration Daysとは、Management 3.0ファウンダーのヨーガン・アペロ氏の著書「Managing for Happiness」に記載されているプラクティスです。

「Managing for Happiness」では著者が言う「マネジメント」の定義から原理原則が書かれていますが、特徴的なのは、その原理原則を経験から理解できるような(時には遊び心溢れる)ゲームやプラクティスがふんだんに紹介されているところです。

Exploration Daysは言ってみれば、いわゆるハッカソンみたいなもので、組織に効果的な自己学習を定着させるためにはどうしたらいいか」といった問いへのひとつの答えとなるプラクティスです。

Exploration Daysで大事にしているポイント

熟達(Mastery)好奇心(Curiosity)自由(Freedom)のような内発的動機から人々の探究心を刺激すること、予算やアイデアが必要であればそれを民主的な形で獲得できるようにすることがExploration Daysのポイントです。

後者はイノベーション株式市場(Innovation Stock Market)とか社内クラウドファンディング(Internal Crowdfunding)という言葉で表現されていますね。

要は、学習の対象ついて自分の興味関心との繋がりを強めて自分が選べるようにし、会社や組織はそれを支援することが大事なのかなと思います。

ある取組みの話

この本のこの章を読んだとき、私は自分が起こしたある取組みのことを思い出しました。リンクしている点がとても多いな、と。

数年前、私は大きく言えば会社の事業のあり方やそこにいる組織の人々のあり方を変えるための取組みを提案し、実施してました。

なかなか捉えどころが難しい取組みではありますが、半年の期間で実施するハッカソン勉強会の2軸で構成されるものでした。詳しくはこのあたり。

ある取組みをExploration Daysを下敷きにふりかえる

あの取組みのハッカソンパートの方がExploration Daysそのものだったなとの印象を受けました。ハッカソンパートは「プロダクト化するアイデアとチーム決め」「チームビルディング」「チーム開発」「プロダクト発表」で構成してました。

「プロダクト化するアイデアとチーム決め」は2〜3時間枠のイベントで実施するもので、そのイベントはEngagementと呼んでました。

この取組みでは、取組み自体や各イベントなどいくつか名付けをする機会があって、意図的に今は馴染みが薄いけどこれから自分が会社で流行らせたい(根付かせたい)言葉で名前をつけていました。Engagementの他にもValueとかVisionとかね。

こういうときの名付けはとても大事です。また、ある程度の型が出来たら、その名付けの機会ごとを委譲するのも有効です。愛着やオーナーシップはまず名前からなのです。

Engagementは、参加するしないを個人の自由意志とし、自分たちだけで何のアイデアを採用するかチームをどう構成するかどのチームがどのアイデアを開発するかを決めるような構成でした。

ここを強制とか各組織から参加者を選出とかアイデアは会社が決めるいう形にしなかったのは私のこだわりポイントであり、私のバイアスです。私は何をやるにもその人の意思や合意を尊重する(してしまう)傾向を持っているのです。

このときの理由は会社を「自分(たち)が」なんとかするという意思を醸成するにはできるだけ会社が介入しない方がいいはずだと考えたためです。

Managing for Happinessにもリーダーや周りに従うだけでは人々は探求しないという一節があるように、意識的にも無意識的にも従うことに慣れてしまうと自ら探求するという意識には向きづらいと思っています。

また、Managing for Happinessにはこういったハッカソンでアイデア募集した後にアイデアを会社が決めてしまうと「会社にアイデアを拒否された」感が高まってしまい、提案されるアイデア数が減っていってしまったというエピソードも書かれてますね。こういう際には民主的なアプローチが有効なのです。

Exploration Daysだけに限らず、Management 3.0のプラクティスにはもし評価が必要であれば、それはマネージャーではなく同僚(ピア)からという考え方があると思っています。

ここは功を奏した部分も大きかったのと思っています。実際、参加意識(という言葉が妥当かどうかはわからないけど)が高い人たちが集まってくれて、想像を超える活動になったしね。

ただし、はじめのうちは。

ある取組みの終わりから学んだこと

会社が介入せず自分たちでやりきるという点はこれまでの会社の文化ややり方から大きく離れたものであり、会社にいる多くの人が持っている考え方やあり方からすると変化量が大きすぎたのです。

なので、そもそも関わってくれる人がその変化量に耐え得る人に限られてしまうし、その人たちですら、継続的に参加するには自分自身で周りとの折り合いをつけていくしかなかったのです(正確には会社から推奨するような動きを少しはしていましたが、迷っている参加候補者がそこを理由にできるほど大きな動きにはできなかった)

Managing for Happinessには自己学習に向かうにはボトムアップを推進する必要はあるが、トップダウン(マネジメント)によるアプローチが全くなくていいわけではない。マネジメントはボトムアップがうまく回るようなシステムをつくって、ボトムアップの動きがうまくいくよう支援する必要がある的な表現もあります。

その観点でいくと、この取組みはボトムアップ色が「今の自分たちには」強すぎたということでしょうね。

いかに自分たちの状況を客観視できるか、その状況に合わせて(必要であれば自分が持っている傾向とも折り合いをつけて)ボトムアップートップダウンの間にあるスライダーをどう調整するか。

このあたりの観点を持つことがこういったExploration Daysのような取組みをうまく導入し、実施し続けられるようにするためのコツなのかなと思います。

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