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太極拳の中国人選手たち

以前の投稿で「自選難度の套路をたくさん観てほしい」と述べましたが、具体的にどんな套路を見ればよいかわからない、という方の為に自分が見て勉強している中国人の選手たちをまとめてみました。

完全に自分の独断と偏見でまとめています。
また今回も全て太極拳の内容であることをご了承ください。
今回は中国人選手に絞りましたが、これが好評であれば海外編も考えていきます。
(※敬称については、既に引退して選手でない方も多くいますが、便宜上「〜選手」と統一させて頂きました。)

陳洲理 選手(福建省)

まず現在の自選難度太極拳を語るにあたって彼を除いて語ることはできないでしょう。
太極拳としての技術はもちろんのこと、套路構成、難度の安定性、スタイル、どれを取っても完璧です。
中国国内の各大会だけでなく、出場した国際大会の全てで優勝してきました。
自分も含めて憧れる選手が多く、現在の太極拳のスタイルは彼から始まったと言っても過言ではありません。

呉雅楠 選手(陝西省)

呉雅楠選手は自選難度競技の初期の頃からの選手で2013年の全国運動会で引退しています。そこで引退するまでは彼が国内外でのチャンピオンでした。
身長が180cm以上もあり、その高身長を活かしたダイナミックさと太極拳特有の柔らかさを兼ね備えた演武が特徴的です。

周斌 選手(福建省)

先に紹介した呉雅楠選手と同時期の選手であり、当時のチャンピオンの座を争っていました。
呉雅楠選手とは対象的に低身長ですが、跳躍が高く、套路後半の発勁動作には素早さと迫力があり、そのような見た目とのギャップを上手く活かした演武が特徴的です。
自分も自選難度太極拳を始めた頃は彼の太極拳が好きで一日2〜3時間も彼の動画ばかり観ていました。
(ちなみに自分の自選難度太極拳の一番最初の套路は彼を真似しています。)

黄穎棋 選手(福建省)

彼も、呉雅楠選手や周斌選手と同じ初期からの選手です。
彼の太極拳は正確な太極拳と言われています。
動作一つ一つが綺麗に正しく、かつ時に大胆さもみせる演武が特徴です。
後の陳洲理選手にも繋がる福建省の太極拳を代表しています。

馬建超 選手(河南省)

馬建超選手も自選難度競技初期の頃からの選手ではありますが、つい数年前まで現役を続けていた大ベテランな選手です。
彼の太極拳は独特な動きの中に高い表現力を見せる演武が特徴です。
跳躍難度は、重力を感じさせないような綺麗な着地をします。
2018年に北海道江別市で行われた舞台『武術太極拳』では太極毛筆を演武し記憶に残っている方もいるかもしれません。太極毛筆は彼が創始したようです。

以上紹介した呉雅楠選手、周斌選手、黄穎棋選手、馬建超選手は同時代の選手として当時四天王などと呼ばれ各選手の個性的な特徴で競っていました。

楊順洪 選手(河南省)

呉雅楠選手が引退後にコーチとして教えている選手であり、現在の中国のチャンピオンです。
呉雅楠選手と同じく高身長ではありますが、動作一つ一つに力強さと大胆さがあり、現在の太極拳のスタイルを代表しています。
発勁動作は自分も見ていて面白いと思うような組合せの演武をします。

王静申 選手(浙江省)

王静申選手も現在のトップを争う選手です。
高身長だけでなく手足も長く、その特徴を活かして大きく柔らかい太極拳をします。
自分も彼と同じ国際大会に出たことがありますが、14m×8mのコート内での存在感は大きなものでした。

梁壁瑩 選手(広東省)

続いて女子選手の紹介です。
女子選手の中で自分がよく見るのが梁壁瑩選手です。
彼女は身長が低いながらも丁寧で深みのある太極拳が特徴であり、その小さい身体とのギャップを上手く利用しています。
起勢(套路の始め)に、中国人の中でもできる人が少ない頂天頭という高難度のバランス動作をしています。

于萌萌 選手(天津)

女子のチャンピオンとして長い間、君臨していた選手です。
彼女の特徴は何といっても難度動作の成功率の高さです。
プロである中国人選手は全体的にも難度の成功率は高いですが、やはり試合となれば失敗してしまうこともあります。しかし彼女はその中でもほぼ100%の成功率でした。それが彼女がチャンピオンの座として長く居続けた理由だと思います。

庄瑩瑩 選手(福建省)

庄瑩瑩選手も福建省の特徴の一つである正確な太極拳の演武をします。
女子選手の中で珍しく高身長であり、その大きい身体を活かした綺麗な演武が特徴的です。
余談ですが先に紹介した黄穎棋選手と結婚しています。

童心 選手(福建省)

童心選手は歳が20歳前後と比較的若い選手ですが、早くも中国内でトップを争う選手です。
一つ一つの動作の正確性や発勁動作での素早さ、迫力が特徴的で彼女も低身長ながらそのギャップを利用して上手く表現しています。

巨文馨 選手(河北省)

巨文馨選手は手足の長さが特徴的です。その手足と長さと身体全体の柔らかさを上手く活かした伸びやかで素早い動作をします。
現在の女子選手の中で優勝することも多い選手です。

このように今回自分が日々みて勉強している選手たちを紹介させて頂きました。
もちろんここで紹介した選手のほかにも素晴らしい選手は数多くいますが、全てを挙げるとキリがないので、この辺で区切らせて頂きます。
またここで紹介してない選手でも将来大きく成績を残す選手もたくさんいると思います。なのでこれをお読みになり参考になったという方は是非他の選手も見てみてください。


またここからは少し余談になりますが、
自分がこのようなことを紹介する理由について、それはこのようなことが自分が一番自信のもてる分野だからです。
自分はこれまで武術太極拳の中でも更に自選難度太極拳という狭い分野しか経験がなく、その分他の分野にはめっぽう弱いですが、だからこそ自分が自信のもてる分野だけでも後に残るものを作らないといけないと思い、このようなことを書いています。
最近はこれまで武術太極拳しかやってこなかったことを反省し、色々と他にも勉強し挑戦していますが、他の人に伝えられるまでにはまだ時間が掛かります。
自分は太極拳としての実力も成績もまだまだ足りない身ではありますが、残り決して長いとはいえない競技キャリアの中で、現役選手だからこそ伝えられることを残していこうと思います。
需要としてはとても少ない分野ですが、特に将来の自選難度太極拳をする選手たちの為に、少しでも役に立つことを発信していけるように尽力します。

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