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【サイコブレイク】味わい深く分かりにくいホラーゲーム

【サイコブレイク】は、発売してから既に6年の月日が経っているゲームだし、今さらプレイする人も少ないかも知れない。先に言っておくと、このゲームにはいくつか欠点がある。そのせいで、ゲーム自体の評価も当時は今ひとつであった(但し、その後のアップデートで解消された点もあり、実際にsteamのレビューでは「非常に好評」となっている)。

ゲームのいわば「欠点」を、「味がある」「スパイスのようなもだ」と考えられる方なら、このゲームは傑作ホラーゲームになる。どちらかと言えば私はそちら側の人間だ。このゲームをしっかり味わい、非常に楽しむことが出来た。その視点で私が想う、サイコブレイクをまったり語りたい。

一撃死の恐怖

このゲームが不評を買った点の一つとして、「難易度」が挙げられる。基本的に難易度が高いのだ。中でも、一発アウトの仕掛けが多い事が、難易度を上げてしまう要因となった。「捕まったら死亡」「トラップで死亡」なと、難易度に関係なくプレイヤーを殺しにかかる一撃死は、アクションゲームが苦手な方にとっては、心が折れる瞬間だっただろう。

青画面ルヴィク

この「画面が青い」状態になると、ルヴィクという敵キャラが現れ、「触れられるだけで即死」する。ランダムで発生するこのイベントは、正直プレイ上の演出として必要があったのか疑問が残る。

トラップ

ゲーム内には、様々なトラップが仕掛けられている。失敗すると、もれなく即死する。イラついた方も多かったろう。

なかなか見えてこない物語と世界観

このゲーム、主人公の「セバスチャン・カスティヤノス刑事」の視点でゲームが進行していくのだが、なかなか話が見えてこない。状況が呑み込めぬままに、ゲームはどんどん進行していく。ルヴィクと言う人間が敵である、という事は辛うじて分かるのだが、それを取り巻く世界感はサッパリ頭に入って来ず、目の前の敵を倒すだけで精一杯になってしまう。結果、せっかく作り上げられた、STEMを取り巻く世界感が今ひとつ見えてこない。

暗躍する「メビウス」と言う組織も見えてこない

マイラ2

このゲームにおける本当のヒール役は、ルヴィクではなく「メビウス」という組織であることは、本作をプレイすれば分かる。しかし、組織の全貌や「ジュリ・キッドマン」との関わりなど、ストーリーに深く関わってくる重要な部分が見えてこない。メビウスは、本作および次回作であるサイコブレイク2にも登場し、常にゲームの渦中にある組織だ。しかし、本作を普通にプレイしているだけでは、この組織の関わりが非常に分かりにくくなってしまっている。メビウスはこのゲームの「キモ」なので、これは残念だ。

完全に「ただの被害者」の主人公

タティアナ1

大きな視点でみると、「ルヴィク」すら被害者の一人と言えるのだが、それ以上に可哀そうなのは主人公の「セバスチャン」。彼は、何が何だか分かぬまま、この事件に巻き込まれていく。子供リリーの死、妻マイラの失踪と不幸が立て続けに身に降りかかり、最終的にはSTEM世界に「コマ」として繋がれてしまう。彼の身に起きる数々の困難をプレイヤーは共有する事になるのだが、状況が全くつかめぬ状況で、ホーンテッド化した人々に襲われるのだから、本当に可哀そうな人間だ。ある意味、「恐怖と混沌」をプレイヤーは共有できるのだが、後半に差し掛かっても状況が見えて来ないままなのは頂けなかった。もう少し、分かるように説明があれば良かったのだが。

謎が謎のままで終焉を迎える本作

レスリーの後ろ姿

本作は、最後まで謎が多いまま終焉を迎えてしまう。それはそれで味があって良いし、考え方によっては考察する余地があって良いとも思うが、あまりに投げっぱなしの謎も多かった。「ジュリ・キッドマン」は敵なのか味方なのか最後まで分からないし、妻「マイラ」の失踪や、娘「リリー」の死は本件と関係しているかどうかも分からない。こういった謎について、本作では答えが無いまま終わってしまう。

追加DLCで開かされる事実

アサインメントjpg

コンセクエンス

本作の謎の部分を補完する意味で、追加DLCとなる『ザ・アサインメント』及び『ザ・コンセクエンス』は役に立つ。このDLCをプレイすれば、少なくとも「ジュリ・キッドマン」の立ち位置や、メビウスの思惑は見えてくる。妻「マイラ」についても、少しだが事実が分かる。ただ残念なのが、上記DLCはいずれも有料(1,000円)であること。2本で2,000円を追加で払わなければならない。ユーザーからは事実を切り売りしているように見られてしまった可能性がある。

好みは分かれるが、素晴らしいホラーゲーム

色々書いたが、私は本作については非常に肯定的に捉えている。クリーチャーの造形は最高だし、STEMというシステムを中心に作られた、非常に凝った世界感。そして、STEMというシステムがあることで、精神世界の中で起こる様々な出来事が、現実世界の出来事でないからこそ、逆にリアルに感じる。別の記事(【サイコブレイク/サイコブレイク2】における【STEM】に想うこと)でも書いたが、STEMというシステムが本当にあるのならば、メビウスでなくてもその可能性に魅力を感じるのではないだろうか。

ホラーゲームとして傑作であることは間違いない本作。ホラー好きの方であれば、是非一度プレイして頂きたいと思う。

サイコブレイクパケ画像


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