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【ファニーゲーム】人の神経を逆なでするような映画

この世の中には様々な映画あるが、『ファニーゲーム』ほど風変りな映画は珍しいかも知れない。『ファニーゲーム』 (Funny Games) は、1997年のオーストリア映画。監督はミヒャエル・ハネケ。2008年には『ファニーゲームU.S.A』という名前で、ミヒャエル・ハネケ自身がセルフリメイクしている。

カンヌ映画祭出品時、その凄惨さからヴィム・ヴェンダース監督や批評家、観客がショックのあまり席を立ったと言われる。ロンドンではビデオの発禁運動まで起こった。暴力的なシーンが意図的に映されないことや、犯人が映画を鑑賞している観客に時折サインを見せたり、語りかけてくるメタ演出なども特徴。(ウイキペディアより)

ストーリーを簡単に言うと、押し入ってきた2人組の若者に、夫婦と子供の3人が痛めつけられ、翻弄されるという内容。これだけ聞くと、どうにも面白そうな映画には感じないが、そもそも面白い・面白くないという視点でこの映画を観ること自体、ナンセンスなのかも知れない。

とはいえ映画を観る場合、面白いか否かは映画の評価そのものと言えるのだが、この映画に関してはその視点で言えば面白くないかも知れない。面白くない上に、観ていて苦痛であるし、2人の若者に対して抱く激しい嫌悪と怒りの感情、そして観終わったあとの後味の悪さは群を抜いている。言うなれば、黒板を爪で引っ搔いた時のような不快感さを味わえる、極めて珍しい映画である。

fani-ge-muファニーゲーム

「人間が一番怖い」を肌で実感できる映画

この映画を観て感じるのは「人間が一番怖い」という事。この映画、別にホラー映画ではないし、ジェイソンのような殺人鬼が出てくるわけでもない。一見ごく普通の若者二人が「悪意」を露わにして、幸せそうな家族をもてあそぶ様を延々と見させられるだけ。どう考えても観客に「苦痛」を味わう事を強要しているようにも思える。

そして思うのは、この映画の中で展開されるような事件が、世の中では絶対に起きているという事実。「現実は甘くないよ。誰も助けに来てはくれないし、起死回生の一発逆転など、現実世界ではあり得ない」と、ミヒャエル・ハネケが観客へ語りかけているかのような映画だ。

この映画に、一つだけ利点があるとすれば、それは一種の「防犯意識」が芽生える、と言う事かも知れない。私もこの映画を観たあとは、鍵の戸締りと、いざと言うときの「備え」を考えるようになった。つまり防犯意識が高まったという事。防犯に対する意識が普段高くない方も、この映画を観れば、一気に高まることは間違いないはずだ。

それでもやはり、お勧めはしない映画

ここまで解説しても、「観たいな」と興味をそそられる方も、もしかしたら居るかもしれない。ごく普通の映画に飽きて、変わった映画を観たい、刺激のある映画を観たいという方なら、是非一度ご鑑賞いただきたい。ただし、やはり普通の方にはお勧めは出来ない映画であることは間違いない。

私自身、この映画を他人にお勧めする事はない。ないが、強烈なインパクトを残した映画としては、ピックアップしておきたい映画なのは間違いない。他の映画では味わう事の出来ない、独特の感覚を得たい方ならば、一度鑑賞して観ては如何だろうか・・・お勧めはしませんが。

ファニーゲームパケ画像


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