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負けられない戦い(和歌山大会①)

▼負けられない戦い

和歌山大会の初戦は「勝たなければならない」というより、「負けられない」という言葉の方がぴったりあてはまる気がします。ネガティブな印象を受けるかもしれませんが、関わってくれる人が多くなればなるほどそんな思考に入りやすい気がするんですね。「自分たちのために→勝ちたい」、「応援してくれている人達のために→負けられない」は多少なりともある気がします(あくまで個人的見解)。ただ、そのプレッシャーと向き合うことは極めて貴重な経験ですし、その感情自体は和歌山大会特有のリソースだと思いますので、選手達がどんなプレイでそれに応えてくれるか楽しみです。

▼1回戦「意地」

<1回>
何が何でも負けられない初戦のマウンドを託されたのは檜尾、良い流れを生んでいきたいところでしたが、まさかの初球デッドボール。動揺もあったのか初回に4四死球と1安打で3点を与える最悪の形で幕を開けます。

悪い空気のまま中盤までもつれ込むようなことになると確実に焦りが生まれる状況でしたが、1回の裏に空気を変えたのは山本、左前打で出塁し、すかさず2盗を決め2死2塁とし、工藤、北岡の2年生コンビの連打で1点を奪い返します。


<2回>
2回のマウンドは櫻井、予定よりも早い登板となりましたが、丁寧な投球で3者凡退に打ち取ります。

良い守りから流れを作っていきたい2回裏の攻撃、2死から平岡(到)が四球を選び、籔本、山本の連打で2死満塁となり打者は檜尾。

1本出れば確実に流れを引き込める場面でしたが、あえなくキャッチャーフライで凡退。試合中に「切り替えろ」とよく言いますが、そんな簡単なものではなく、特に檜尾は切り替えるのがものすごく苦手な選手なので不安がよぎります。

<3・4回>
2回を終えて1対3。この展開(負けているチームが押し気味)になると、よく言う「次の1点」が大切になってきます。じわじわと引き離されることは何としても避けなければなりません。無駄な四死球や失策は絶対なしというこの状況で奮起したのは櫻井。3・4回を1安打のみの打者7人で打ち取ります。

中盤で何とか1点差にというところでしたが、相手投手も粘りの投球で打ち崩すことが出来ません。時間制限により6回までしか出来ないだろうということも計算に入れておかなければならない状況です。

<5回>
時間制限もあり6回で終わることも想定しておかなければならない5回。表の守りは1番からの好打順を3者凡退に打ち取り、裏の攻撃に入ります。

ここで投球数制限により攻めあぐねていた相手投手が交代、何としてもここで試合を動かしたい場面です。打順はこの日2安打の2番山本からの好打順でしたが、山本はライトフライで1死、2番手投手を波に乗せたくありません。ここでの凡退は大きく負けに近づくという場面で、打者はここまで良いとこなしで切り替え下手の檜尾。しかし、ここでライト線を破る三塁打を放ち空気を一変させます。

勢いに乗じて1死3塁から工藤のタイムリーで1点差、続く北岡が四球で1死1・2塁、何としてもこの場面で追いつきたいところ。代打楠本が果敢に初球から打って出るがセンターフライでツーアウト。

7番櫻井は追い込まれながらもしぶとくレスト前ヒットで2死満塁、一打逆転の場面を8番加藤に託します。

つなぎにつないで作ったこの場面、チーム1のお調子者が皆の期待に応え、センター前2点タイムリーでついに試合をひっくり返します。

ここまでブレーキになっていた檜尾、加藤でしたが、開き直るのではなくこのままでは終われないという意地を見せた打席だったと思います。

<6回(最終回)>最終回の守り、逆転した後の守りは本当に難しいものです。ここまで無四球の櫻井が先頭打者に四球を与えてしまいます。しかし、次打者の初球でダブルプレイ、何とか最後の打者もしのぎ切って初戦を突破することが出来ました。

▼簡単な試合などない

「ここはいけるやろう」とさらっと言われることもあるのですが、今年のチームにとって、絶対勝てるような簡単な試合などありません。特に和歌山大会は一昨年は準優勝、昨年はベスト4まで進んでいることもあり、周囲の期待も自然と大きくなっていることも感じます。その重圧を感じ、思うようにいかなかった序盤、その重圧を力に変えた終盤、決して快勝とは言えない試合内容かもしれませんが、ここで勝ち切れたことは大きな意味があると思います。2日目以降は初戦の重圧から解放され、のびのびと一つでも多く勝ち進んでいってくれることを期待します。


※続く


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