見出し画像

次につながる終わり方

▼3年生最後の公式戦、3戦敗退
 東関西大会。3年生にとってホークスで戦う最後の公式戦です。優勝すれば11月に実施されるグランドチャンピオン大会の出場権が得られる大会で、1回戦・2回戦を快勝したのですが、3回戦でいつも紙一重の勝負を演じてきた貝塚ヤングに敗れました。
 1回表に3点を先制したホークスでしたが、2回に6失点。
 3回4回は攻撃の糸口をつかむことが出来ず。
 5回・6回はともに2人のランナーが出塁してチャンスメイクをするも無得点。
 悪い流れのまま3点ビハインドで7回(最終回)の表、結果は上述の通りですが、ここから3年生のプライドをかけた攻撃を見ることになります。

▼7回表の攻撃
 打席に向かう選手にベンチメンバーが近づき「お前ならやれる」と声を掛けます。思いを託すとはこのような場面のことを言うのでしょう。


 打順は1番上田から。3点差を追いつくには上田の出塁が不可欠と思われる場面でしたがサードゴロに倒れワンアウト。


 続く2番深本は空振り三振に倒れ、ツーアウトランナーなしとなります。


 次のアウトでホークスでの3年間が終わるというプレッシャーの中、打席に立つのはキャプテンの3番木下。フルスイングしたいという思いもあったと思いますが、追い込まれながらもファウルで粘ってフォアボールを奪います。勝負を避けられる場面が多く、四球で歩かされることに対してネガティブだった木下が四球を選んであげた「よっしゃ」という声は、チームメイトに「まだいけるぞ」「あきらめるな」というメッセージに聞こえました。


 4番は不調と言わざるを得ない中山、この日の打撃内容を考えると良いイメージを持ちづらかったと思いますが、ファーストストライクを一球で仕留め、レフトオーバーのツーベース。中山の覚悟が感じられた一振り。ここまで努力してきたという自負が、この場面で自分らしいバッティングにつながったのだと思います。


 一気に反撃ムードが高まる中ですが、依然3点差、次のアウトでゲームセットの状況は変わりません。判定協議による若干の中断があり、集中力を保つのが難しい状況の中、続く5番山本がレフト前タイムリーヒット。初回以降、遠かった4点目をついに奪います。チームの雰囲気が後押しした、山本らしいバッティングでした。


 2点差となり2死1・3塁で6番浦野。打者へのプレッシャーは大きくなっていきます。中山、山本と違い、慎重にボールを選び、追い込まれたあとも丁寧にボールにコンタクトしてファウルで粘る姿からは「絶対につなげる」という強い意志を感じました。そして甘く入ったボールを見事にとらえてレフト前タイムリー。ついに1点差に迫ります。


 再び2死1・3塁で7番堂本。同点のランナーが3塁、浦野は盗塁を決めて逆転のランナーが2塁、一打逆転の場面を作りましたが、3ボール2ストライクのフルカウントから、アウトコース低めのストレートを空振り三振。打者としては四球も頭をよぎるこの場面、厳しいボールに対してスイングするのは勇気が必要だったと思いますがよく振ってくれました。

▼最後かもしれない打席で思うこと
ホークスは選手がそれほど多いチームではないので、3年間で多くの打席に立つ機会に恵まれます。しかし、初打席と最後の打席は誰にでも平等に1打席づつで、そこにはきっと特別な意味があるはずです。
 自身も経験がありますがこれが最後かもしれないという打席では「悔いが残らないよう思い切り振ろう」と考える球児が多いように思います。それ自体は非常に理解できるもので、批判すべきものでもありませんが、7回の攻撃で打席に立つ選手達の思考はそうではなかったように思います。仲間が作ってくれた究極の場面で、その打席を全うしようとする姿は見ている人たちの心を動かしたことでしょう。
 途中交代で打席に立てない選手、準備をしながらもチャンスが回ってこなかった選手、プレイ以外の場面で試合に貢献し続けた選手、最後まで声を出し続けた選手、みんなの思いを背負って打席に立ってくれた選手達に本当に感謝です。

▼もし、終わり方を選べるなら
 悔しい負け方でした。
 対戦相手、試合展開、届かなかった目標、大会の結果自体は不本意なものであったことは間違いないでしょう。
 ただ、終わり方に必要な要素があるとするならば
 「今まで支えてくれた見ている人達の心を動かすこと」
 「次へのエネルギーとなる記憶に残る試合であること」
といったことは良い終わり方の条件のような気がします。
そういう意味でも、7回表の攻撃の持つ意味は本当に大きかった。この時の気持ちを深く刻んで、どうかこれからも努力をおしまぬ選手になって欲しいと願うばかりです。


 最後になりましたが3年生保護者の皆さん、皆さんのご協力のおかげでチームも大きく前進したと思います。本当に本当にありがとうござました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?