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流れをつかみ取る瞬間

▼8/5(土)~7(月)和歌山大会
 全国大会の余韻が残る中、バタバタと和歌山大会が幕を開けます。
 思い起こせば1年前、優勝に手をかけたように思えたが、あと一歩のところで優勝を逃し、悔し涙を流しました。先輩達の思いを背負って今年こそはという思いを胸に挑みます。

▼初日 <1回戦 京都ピュールヤング対和歌山ホークスヤング>
 初戦の相手は京都ピュールヤング。油断はもちろんできないものの、頂上決戦までは3日間で5試合、出来るだけ主力投手の球数を抑えながら勝ち抜きたいところではあります。

 後攻のホークスは1回裏に2点を先制し幸先の良い滑り出し、このまま勢いに乗じて一気に攻勢をかけて楽な展開に持ち込みたいところでしたが、2回以降相手投手をとらえることができません。結局、追加点を奪えないままずるずると5回が終了、先発の中山も球数いっぱいに近い投球数を投げて深本にスイッチ。

 試合の行方を大きく左右する次の1点を奪ったのはピュールヤング。6回表、守りのミスが絡んでの失点で2-1と一点差に迫られます。試合が動いたものの、結局6回裏の攻撃も追加点を奪えず。7回表をしのいで何とか勝ち切ったものの、明日以降に弾みをつける勝ち方とはいかなかったのも事実。不安要素を抱えたまま初日を終えます。

▼2日目 <2回戦 和歌山ホークス対御所南都ヤング>
 2回戦はお互いに戦力を熟知している御所南都ヤングとの対戦。全国予選では危なげなく勝てているので、ここでも出来るだけ消耗を抑える勝ち切れるかが課題です。先発投手は最近安定感が増してきた堂本、スタメンにはレギュラーの試合にはなかなか出番が与えられなかった選手もスタメンに名を連ねます。

過酷な日程を勝ち進むための大切な役割であるとともに、与えられたチャンスで目いっぱいのパフォーマンスを見せて欲しいものです。
 試合はホークスが常に優勢に進めます。相手投手も少し意識しすぎたのか制球が思うように定まらず、四球でランナーをためてからの攻撃で得点を重ねることは出来ていたのですが、中途半端なスイングでの凡打、粘りが感じられない三振など、打線自体は波に乗り切れないまま。コールドゲームが成立する点差に入り、2年生加藤が最後を締めてゲームセット。3回戦にコマを進めます。

▼2日目 <3回戦 貝塚ヤング対和歌ホークス>
 和歌山大会は例年3日間連続のスケジュールで行われます。ベスト4に進出、つまり3日目を試合で迎えることが出来れば、指導者としても肩の荷がおりる思いがするものです(当然、新たなプレッシャーが襲ってきますが)。その準決勝進出をかけた対戦相手は貝塚ヤング。観戦していても個々の能力も高く強敵であることは間違いありません。しかも、前の試合ではシーソーゲームを制して最高の形で勝ち上がってきており、何となく勢いに乗り切れないホークスとは対照的です。
 貝塚ヤング先攻で試合開始。ホークスの先発は木下。良い流れを作っていきたいところですが、初回に1点を先制されます。普段であれば初回の1点はほとんど気にしないところですが、何となく重い空気が感じられます。相手投手は変化球を効果的に織り交ぜながらテンポよくストライクを投げ込んでくる好投手。ここまでの不調もあいまってか、打線は的が絞れずつかまえることが出来ません。木下は2回以降は危なげないピッチングを展開するも、攻撃はチャンスでの凡退にスクイズ失敗、唯一打撃好調の木下の大飛球も相手の好守に阻まれるなど、完全に貝塚ペースで試合が進みます。

▼流れを変える
 4回終了時点で0-1の1点ビハインド、1点差とは思えない重い空気の中、5分間のインターバル。高校野球を見ていても、インターバル後に流れが変わる場面を見ることは珍しくありません。監督はここまでの試合展開もプランにあったのでしょう。インターバルが終わる間際に「強いチームは自分達で流れを持ってこれる」と選手に檄。本当に強いチームになるには乗り越えなければならない壁です。勝負は5回以降と踏んで、中盤はとにかく最小得点差で我慢の野球に徹していたように思います。
 5回表の守り、ベンチからも流れを変えようという空気を作っていきます。木下は簡単にツーアウトを取り、何としても3人で終わりたいこの場面でビッグプレイが飛び出します。センター前に抜けると思われた打球をショート浦野が横っ飛びで好捕からの好送球、大きな意味を持ったアウトをもぎ取ります。ここまでの悪い流れを断ち切ろうという意思のこもった浦野のプレイ、この瞬間、見ていたもの全員空気が変わるのを感じたのではないでしょうか。


 大切な5回裏の攻撃、8・9番は凡退するがツーアウトから1番上田が出塁、すぐさま2塁をおとしいれて2死2塁の場面で、先ほど好守を見せた浦野。上田の走力を考えると単打でも1点はほぼ間違いない場面、ツーストライクと追い込まれるが、ファウルで粘り切って甘く入った6球目をとらえ、右中間を破るタイムリースリーベースヒット。まだ、どちらに傾くか分からなかった試合の流れを完全にこちらに引き寄せました。

 妙なプレッシャーから解放された打線は、さっきまでとは完全に別物です。続く3番中山もタイムリーツーベース、4番木下は申告敬遠、5番山本は死球で2死満塁。ここで、今日は全く打てる雰囲気がなかった堂本が2点タイムリーを放って一挙4点をあげ、試合をひっくり返しました。

▼準決勝進出
 木下は6回で投球数制限いっぱい。7回のマウンドは中本、3点差とはいえ難度の高い場面、最初のアウトは何としても取りたい先頭打者はファーストの後方に小フライ、ここでのアンラッキーなヒットは嫌な展開になってしまうイメージが頭をよぎったがライト田宮が猛然と前進して好捕。流れを渡しません。中本はその後も丁寧な投球で3人で締めてゲームセット。準決勝進出を決めました。


 ただ流れが変わるのを待っていたらおそらく0-1のまま負けていたでしょう。自分達で流れをかえるプレイを勇気をもって選択していこうという監督のメッセージが選手に届き、自分で流れを引き寄せ、相手に行きそうな流れを食い止めようとする姿は、彼らの成長を感じずにはいられませんでした。
 準決勝はタイガースカップ優勝の湊クラブ。このような舞台で挑戦できることに感謝して、最高のパフォーマンスを見せて欲しいものです。

<続く>

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