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なんとなく嫌だという理由で断って良いということに長いこと気づかなかった

昔から断るってことが苦手です。

なんか微妙な空気が流れてしまいそうだし、相手に嫌われてしまうかもしれないし、断る理由もないから受けてしまおう。

いっそ「それじゃあ仕方がないね」と思ってもらえそうな「理由」があれば断れるのに…

私にとって「断る」ということはずっと正当な理由がなければいけないものでした。

でも今は、「なんとなく嫌だ」っていう自分の気持ち。
これ断って良い立派な理由だよな、と思うのです。


***

忘れもしない小学校4年生の頃。


私は図工という科目が好きでした。

普段から工作のために発泡スチロールやスパンコール、毛糸やきれいな箱など、図工のためにコツコツ収集していました。
母に頼んで色んな色の絵の具やクーピーも買ってもらいました。

図工の時間が始まると、明らかに私はクラスの誰よりもたくさんの材料を持っていました。


そうすると、クラスの子が言うのです。


「その余っている材料、ちょっとくれない?」
「その色の絵の具素敵だね、ちょっと貸してくれない?」


このとき、きまって私の心にちょっとモヤがかかりました。
だって、私は自分のために、大好きな図工のためにコツコツ大事に集めた材料です。どうしてあげなければいけないのか。

けれども当時の私は咄嗟に「それはいけない考えだ」と思い直すのです。

だって、たしかにそれは今使わない材料であり、絵の具だって少しくらい減っても私は困らないはずだからです。

つまり、断る理由はない、と思ったのです。


それでなんとなく釈然としない気持ちのまま、私は彼ら彼女らに材料を渡していました。
ひとりに渡せばみんなが欲しがり、結果的に私は材料で個性を出すことが難しくなりました。

私があげた材料でクラスメイトが作った作品が褒められていたりすると、なんだか悔しいな、と思ったのを覚えています。


家に帰ってまとまらない気持ちを母に打ち明けたところ、

「それはあなたが努力して集めたものなのだから人にあげる筋合いはない。あげなければ良いでしょう」

と一蹴されました。

母が金を出してくれている道具もあったため、人にあげたことを咎められもしました。

しかし、あげなければ良いと言われても、断る理由を持たない私は、断ったときのギクシャクした雰囲気が苦手でどうすることもできませんでした。

***

その後のある図工の時間。私は青色のクレヨンが無いことに気づきました。

青が使いたかった私は、隣の席のキョウコちゃんに


「青色のクレヨン貸して」


と頼みました。すると彼女は、


「ないよ」


と言いました。

でも、明らかに、彼女の机の上にあるクレヨン入れの中に青色のクレヨンが収まっています。

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