某無線専門誌でもこの程度
ちょっと、それは管制官に失礼では?
某無線専門誌…と言っても業界向けじゃないラ○オライフとか、そっち系の雑誌で「航空無線入門」みたいな生地があったんですがね…
端的に言うと「日本の管制官や日本のパイロットはカタカナ英語だから、すぐに航空無線で話している事は理解できますよ、」と仰ってましたが…
んな訳あるか!そもそもカタカナ英語って言うのが失礼でしょ?管制官が仮に高卒で航空保安大学校に入って2年間の学習の間にどれだけの時間を英語に割いているか調べた?あなたは成田や羽田の管制官の英語を聞いた事はありますか?謝りなさい!
そもそも航空無線と言うのはね。
管制官と交信している航空機だけではなく、その管制官が担当している空域の全航空機で情報を共有するためのものです
航空機は当然ですが飛んでいます=動いています。着陸時で190kt程度だとしても1時間に190nm進む速度です。1nmはおよそ1820mですから351,880m/hですね。ざっくり計算すると毎秒おおよそ97mの速さで移動しています。
管制官やパイロットが話している間に、遅くてもこの速度で全ての航空機が移動しています。もちろん上昇や下降・旋回などもしています。
そんな状態で長々と話す訳にいかないのは自明ですよね?
なので日本では国交省航空局の定めた管制方式基準(通称しろ本)に「こういう場合はこう言う。」と言う用語やフレーズが決められています。(Terminologyと言います。)
もちろん、国内基準だと海外のパイロットには理解できへんので基本はICAOの定めたものを翻訳しています。
つまり航空無線は英語を母国語とする人にとってもわけわけからんな言語なんです。ただ、その人工言語の土台として英語を借りてきているだけです
簡単なところで英語圏の人でも「?」ってなるのが“niner”でしょうか?これ何の意味か判りますか?ちなみに略語ではありません。
正解は数字の9です。普通“nine”って発音しちゃうとドイツ語の“Nein”とほぼ同じ音になっちゃいます。いかに訓練を積んでいて航空業界に長く携わっていたとしても、母国語で話した期間よりも長く航空用語で話している人なんていません。
ですから母国語が聞こえると、本能的にそっちの意味で考えちゃうんです。でドイツ語の“Nein”って英語の”No”ですから、数字を伝えたいのに「だ8メ!」って勘違いされたら困るでしょ?
とにかく航空無線のterminologyは簡単には覚えられません。私が航空交通管制職員基礎証明を取得した時点でおよそお1割程度しか覚えていませんでした。そして後は現場で先輩にマイクで殴られながら覚えていくんですよ。
また飛行場毎に独特のterminologyもあります。もちろん、これはAIP等と言われるパイロットが出発・目的飛行場について調べるための資料集にも掲載されています。
まだ新千歳空港が無かった頃は現在の航空自衛隊千歳基地で軍民共用で運用されていました。言ってみればバスとF1を同じ駐車場から出し入れしているみたいなもんです。
両者は速度・飛行方法が全く違います。戦闘機は着陸する時にピッチアウトと言って、滑走路と並行して飛んでいるレッグから、機体を大きく傾けて急減速と急降下をして180度旋回して着陸します。
これは、戦闘機にとって離着陸時は速度が遅く危険な為に、最終着陸が決定するまでは出来るだけ速度を維持して、いつでも戦闘機動が取れるようにしている為です。
通常は滑走路末端を超えたらピッチアウトしますが、千歳の場合は民間機がちんたら離陸しているとかファイナルアプローチにしる事が多々あって、他の飛行場では意味が通じ無い“Extend Pitch Until Further Advice.”と“Cleared on Pitch.”と言うteminologyがありました。意味は「ピッチアウトは次に連絡するまで待って、そのまま真っ直ぐ飛んでね!」と「お待たせー!ピッチアウトしていいよん♪」と言うものです。
これを30年来のベテランの国交省(当時は運輸省)の管制官が聞いて、「どういう意味ですか?」っていつも質問されてました。
管制官同士でも、こう言うやり取りがあるのを「カタカナ英語だからすぐに判る」とか言われると「お前はできるんだな!?」と小一時間問い詰めてみたいと思います。
あぁ、全然役に立たない事を書き散らかしてしまいました…それだけ怒ってるんです…
次回はちょっと変わり種の英語についてお話ししたいと思っています。(あくまでも予定ですけど💦)